AMEBA公式「恋愛」ジャンルに挑戦しているのに、いまだ「カップル」登場せず。

削除されてしまいそうです。

ちょっとだけと思いながらアップしてしまいました。

無事第10話突入です。二けたのった。

手書きのタイムマシン 9.時空移動から。

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1年生が終わろうとしている。

なんとか脱落者もなくクラスみんなで進級できそうだ。

「打ち上げ日程調査しまーす!」

「●日は――!」

「あ、俺その日ダメ」

俺は手帳を見ながらつぶやいた。

「え――っ」

「じゃあ日をずらそう」

「男子に合わせなきゃね」

多分そういうだろうと思った。

実に仲のいいクラス。等距離外交はうまくいっている…と思う。

 

春が来るというのに、真美の手紙は曇り空。

「相談したいことがあるんです」とは珍しいことだ。

思い切って、電話してみた。初めて押す番号。ドキドキした。

「あの…もしもし」

「はい?」

久しぶりの声だ。

一瞬置いて、絶叫「あ――っさわにい!」。

なんて…なんて嬉しい反応だ。

「変わらないなあ」

「はいっ変わらないですよー! 本当に電話くれたんですね、ありがとう!」

引き込まれて俺も声が上ずる。

「あの、今、そっちは、ひまなの? 休み?」

「うん、あったりまえじゃん! 日本中春休みですよ!」

「国民全員が、大学生かよ!」

「あっそうかー! あっははは」

手紙のやり取りを凝縮したような、楽しい応酬がよみがえる。

研修所ではこんな風にやり取りしていたのに。

今、電話越しの話というのはまた新鮮で、くすぐったさを感じる。

 

相談とは。

彼氏のことだった。そうだろうなと思っていたが。

よく知らない人のことを、口をはさむこともできないだろう。

聞くだけかもよ、と前置きするが、それでいいです!とのこと。

「彼は高校の同級生で…進路は別れたけど付き合いは続いてるんです」

専門学校生の彼氏は、今年留年が決定しそうだが、学校辞めてしまいたいなどとふさぎ込んでいるとのこと。

「ケージくん、補修も受けないんです… 努力ぐらいしてみたらいいのに…」

「ふーん。受けたら回避できそうなの?」

「いえ、本人の言うには休みすぎてて無駄だって」

「そうなのかい」

「それにしたって、ねえ」

それは姿勢や誠意の問題だ、自分が来年度頑張れる材料にもなると思う、と彼女は言った。

頑張り屋の彼女らしい前向きな考え方だ。

 

当然だが、結論らしき結論は出なかった。

本人が行動に出ない限り、どうにもならない問題だ。

「ほんとに… ほんとに、ありがとうございました!」

何度も言う。

じゃ…と少し声をかけては、また沈黙が続く。

一瞬おいて、まだつながっている。

ため息。

なかなかどちらからも通話を切らない。

くすくす。ふふっ。

マナーとしては掛けた方から切らないといけない。

俺から掛けたことを思い出し、ようやく俺は名残惜しくも受話器を置いた。

もし、彼女から掛かってきたら(そんなことがあるのかな?)。

俺からは切らないぞ。

そう思いつくと、ちょっとぞくぞくして、ニヤニヤが込み上げた。

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この物語はフィクションです。