そろそろ更新されるかな?と思った方。
当たりです。やっぱり書いています。まあゆっくりと。
やっとタイトルの由来を書くことができました。
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勉強も忙しく、晩御飯を作るのも億劫な毎日。
――いや、見栄を張ってしまった。おおむね、外食だった。学生生協食堂は実にありがたい。
クラスの何人かが食堂でバイトをしているので、売り物のパフェを横流しなどしてくれる。
そんな生活の中でも、渾身の力で描いた2通のクリスマスカード。
アクリル絵の具でカラフルに彩った1作と、水墨画の1作。
封入する時、ちょっと考えて、水墨画を真美に、アクリル画を凜にする。
彼女たちにはわからないことだが、自分はちょっとイメージと違うことをしてみたわけだ。
自分のイメージを押し付けることが馬鹿らしいことはよくわかった。
思い込みや決めつけを打破するには、少し工夫が必要なのだ。
なんとも手のかかる男だ、俺は。でもやらないよりやった方がいい努力だろう。
二度目の大学1年の新年は帰省して迎えた。
年賀状は前の大学、先の職場、そして今の大学の友人から届く。
これまでの付き合いのものは実家に届くのだが、新しいものは下宿先に届く。
こんなに帰省から戻るのが楽しみだとは思わなかった。
もう友達すらできないかもしれないとまで思っていたから。
そして今のクラスは女性が圧倒的に多いのだ。
生まれて初めて、女性からの年賀状の枚数が男性分を超えた!
…などと喜んでいる自分に気づいて、修行が足りないなと苦笑した。
(ていうか、なんの修行だか。その「修行」ってなにが目標だろ?)
真美と凜もよこしてくれた。
クリスマスカードは好評のようだ。
(まあ、けなす間柄ではないので、正確な評価はよくわからない)
あの研修の、同じ斑の他のメンバーも何人か年賀状をくれた。
今から返事を書かねば!
彼女たちの手紙は、タイムマシンだ。
時を超え、場所を飛び、あの夏の湖畔の奥の山の中を思い出すことができる。
厳しい勉強の時間、苦しい討議、そして「わかる」喜び。
毎夜の騒ぎ。笑いと汗と、涙。
かけがえのない時間を共に過ごした仲間だ。
微妙な歳の差を、遠慮もせずに超えて手を差し伸べてくれた頼もしい連中だ。
そういえば、外池はあの研修には参加していないのだ。
来年度は行くだろうか。いけばいいと思う。
勉強の手法も学べるが、なにより、あのバカ騒ぎを味わえば何年か楽しく生きていけると思うのだ。
学年末のテスト勉強のしんどさを、手紙にぶつけて紛らわせていた。
気持ちが通じたかのように、返事ではなく往信が届く。
手書きのタイムマシン。
いつまで続くだろう。この素敵なマシンが動き続けることを願っていていいのだろうか。
真美は俺を「さわにい」と呼ぶ。
凜はもともと「大澤さん」だったが、クリスマスカード以来「千里さん」と書いてくるようになった。
この親の名付けた重い名前。「千里の道も一歩から」とか。
それも女の子から呼ばれると新鮮な感じがする。
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この物語はフィクションです。