静かにゆっくりと時は流れる 「旅立ち」「お茶漬けとんかつ たなべ」 | ばんじまる@鶴見ほか

静かにゆっくりと時は流れる 「旅立ち」「お茶漬けとんかつ たなべ」

桜が咲いていますねかお桜

すっかり春の陽気ですが、やたらと前線が通過して台風荒れ模様も有るので、そういう時は

海が心配です。


先週の日曜のことですが、製麺王子こと負死鳥カラス氏 のプロレスの試合があり、

応援に行ってきました。


「旅立ち」
「旅立ち」

製麺王子のファンではあっても、プロレスと言うものにあまり興味が無い私でしたが

長い怪我から復帰される記念の試合ということで、これは見ておかなくては、と言う思いで

鶯谷の会場にお邪魔しました。

結果、感動しました。私も剣道の経験が10年あるので、格闘系のハードさは少し分かって

いるつもりです。勿論プロレスには台本があり、それに沿って進行していくのは分かって

いますが、そんなこととは無関係に、あの肉体のタフなこと、俊敏さ、そしてカラス氏の飛翔

など、ものすごい身体能力です。

あれで全盛時には程遠いと言うのですから想像を絶します。

でもなにより、会場に集まった人たちの盛り上がりや一体感は素晴らしかったです。

勿論カラス氏のファンですから(一部ヨシケンさんのファンもいらしたようですが)

有名ラーメン店主やスタッフの方々、大崎氏やラーメンブロガーなどラーメン関連の方々

が多かったですが、皆さんカラス氏が好きなんだなぁと、これだけの人間を夢中にさせる

カラス氏の人間的魅力を再確認しました。


カラス氏とヨシケンさん
カラス&ヨシケン

一応覆面レスラーですのでピンボケ写真を。カラスTシャツを着てミーハー丸出しで

この直後握手して貰いましたが、がっしりと力強く、目力もさらに強くて人間力を感じ

ました。


本題に移りましょう。

また古い記憶を掘り起こさなくてはなりませんが、一ヶ月以上前の2/16に、晩ご飯を

食べに「とんかつ たなべ」さんにお邪魔しました。

このお店はもう10年も前からお邪魔していて、きっとお店は30年くらいここで営業されて

いるんじゃないかと思いますが、とてもお気に入りのお店です。


名前の通りトンカツ屋さんなのですが、何と言っても「お茶漬けとんかつ」、略しまして

お茶とん」が有名?です。

人によっては「お茶漬け」と「とんかつ」を結びつけにくいでしょうし、イメージも湧きにくい

でしょう。

私だってそうです。最初聞いたときはどういう物か想像がつかなかったです。というのも

トンカツはソースで食べる、と言う固定観念があり、やはりそうなると、お茶とソースは

どうしても結びつきませんから、いったいどうなってしまうのか?と、とても心配に

なりました。

今でこそおろしダレであるとか、和風ダシのタレでトンカツを食す機会も増えていますが

その当時の少なくとも私の頭の中では、カツレツにはソースかカレーしか結びつきません

でした。

食べ合わせとか食の美意識を大事にする日本人ですから、こういう物は所謂「下手物」であろうと高を括っていた私の考えは大きな間違いだったのです


さて、「たなべ」さんに入りますと奥様が出迎えてくれます。実は奥様は近年お体を壊されて、

普通に働くことが出来なくなってしまいました。でも、多分リハビリを兼ねて、お店には

出られています。

このお店に良く来る方はご存じで何も思わないかも知れませんが、初めての方は少し

驚くかも知れません。

もともと御夫婦でお店を切り盛りされて、とても繁盛していたお店なのですが、奥様が

お体を壊されてから、お昼の営業は出来なくなってしまいました。お昼に集中的にお客が

来るようなお仕事は出来なくなってしまったのです。しょぼん

ですから、現在は夜の営業だけで、半分居酒屋の様な店になっています。

そうは言っても、普通の居酒屋のような事はなく、とてもひなびた良い雰囲気です。


そんな訳で、このお店には昔からのお客さんが多いようです。でも若いサラリーマンさんが

一人でご主人と談笑しながら食事したり、数人でゆっくりと杯を傾けなんていう風景が

良く見受けられます。

ある時など、OLさんがお一人でいらして「お茶とん」をゆっくり味わった後、安心して

うつ伏せて寝てしまったりしていました。

そういう雰囲気のお店なのです。


さて、大分前置きが長くなりましたが、当日私たちはゆっくり食事してお酒も楽しもう、

と言うことでお店にお邪魔しました。

実はこのお店はトンカツ店でありながら、お総菜がとても充実しているのです。「卯の花

とか、「鹿尾菜」とか、「ポテトサラダ」とか、そんな物もこのお店ではとても美味しい

のです。

いや、今の美味しい物があふれている世の中ではこの単なる「美味しい」という表現では

正しくこのお店を現せないかも知れません。


お通し

お通し

うん、お通しでこういう物が出てくると安心ですね。


お総菜各種
お総菜

卯の花、ジャガイモ、ぜんまい、菜の花、煮物、きんぴら。これ以上日本人は何を望むで

しょう。

そしてそれぞれがきっちり「素朴」な味わいなのです。


お刺身・牡蠣フライ

お刺身 牡蠣フライ

家内が必ずお願いするお刺身と、私のビールに合わせ牡蠣フライです。


磯辺揚げ・銀杏
磯辺揚げ ぎんなん

どれだけお酒お酒を飲もうというのか分かりませんが、頼まずにはおれない品々です。

磯辺揚げは山芋のすり下ろしで、どうまとめているかは分かりませんが、和風ダシに

漬けて戴くとしみじみとほっとする味わいです。

銀杏はどうしたって銀杏ですが、やはり外せませんね。


お茶とん
お茶とん

普通、反対から撮りますよね。orz ロースカツが左奥にありますが、その上にゆでた

キャベツと、少し甘めの和風ダシが掛けられています。食べ方ですが、基本どんな食べ方

でもかまいません。

私共は、まず半分この状態で普通にオカズとご飯として食べます。それで十分、

和風トンカツとして美味しく戴けるのですが、それでは「お茶とん」ではありません。

残ったご飯に、トンカツ、キャベツ、和風ダシを残らず掛けて、お茶を回し掛けますと

ふわっと良い匂いが漂ってきます。

さらさらと口に運ぶのですが、お茶と和風ダシとほぐれた衣、肉が優しく調和して何とも

言えぬ美味しさとなります。


梅茶漬け
梅茶漬け

前の文章は家内の食べるお茶とんを横目で恨めしく見る私の想像の産物でして、私は酒で

カロリーを摂取してしまったので梅茶漬けを戴きました。勿論心に染み入る美味しさ

でした。


ここで、「お茶とん」に関するトリビアですが、これはもともと船に乗られていたご主人が習得された船の賄い食だそうです。

長期の航海で萎びてしまった野菜をどうして美味しく戴くか、という試行錯誤から生まれた

メニューだとのことでした。

私は長期に渡って海に出たりはしませんが、先輩達の時代はちゃんとコック長がいて、

どうやって無駄なく美味しい食事を作るか腐心されていた話しも聞いていましたし、

なんとなく縁を感じずにはいられませんでした。


息子さんとも知り合いなので、そんな話しなどしながら夜は更けていきました。

本当に静かな店なので、普段の喧噪を忘れ、しみじみと時の流れを感じながら過ごさせて

もらいました。


すっかり落ち着いてしまった私達夫婦は、色々と人生を考えながら帰路に就くのでした。

奥様も少しずつ具合が良くなっておられる様ですし、これから季節も暖かくなってくるので

ゆったりと営業して貰いたいです。

興味のある方は、鶴見東口の「はまぎん」の横をウロウロして見てください。地元居酒屋

っぽい店構えで躊躇せず、思い切って入るときっと良いことありますよ。

ご馳走様でした!