睨みアンプ事情 | 聞きっぱなし言いっぱなし食べっぱなし

睨みアンプ事情

ここ7年くらい使っているギターアンプ、「フェンダーツインアンプ」という量産品の中古品を使い続けてきたのだが、どうも調子が悪い。

 元々フェンダー社のアンプはハリとツヤがあってもちろんコシもある、女性の髪にも優しそうな音がするはず。声に例えたら布施明みたいな感じなのだが、これがどんどん調子悪くなって、気が付いたら「あれ、これって布施博とちゃうか?」と、そんな感じにコモってきたのだった。それをギターの弾き方でカヴァーしようと必要以上に頑張らないといけないので、座ってギター弾いているだけで筋肉痛になったりするようになってきた。普通はそんななる前に買い替えたりするのだろうが、楽器屋に見に行く時間さえなく・・・というのは嘘で、行けば適当な商品で妥協して購入してしまうのを恐れて行かないのだ。だからいつまでも「モゴモゴ」いっているアンプにギターを繋いで「弦が切れる一歩手前」を狙って弾きまくっていたのだった。

 60年代のデラックスリバーブやプリンストンの黒パネルオリジナルとか弾けたら最高だろうなと思うが、車に乗せるのすら気を使ってしまうような年代物のアンプで果たして音楽的精神衛生は保てるのだろうか?。

 先日、久しぶりにギタリストの鈴木茂氏と一緒になったので機材の詳細説明を一通りしてもらったのだが、あれだけ機械好きというかマニアの域に達して数10年という人でも「面倒臭いんですけどこれがなかったら出来ないんです」と言って、全て年代物のボーカルのプリアンプやコンプレッサーなどまで持参して、ギターアンプは2台をステレオで1台をダイレクトの計3台使用してラージヘッドの大改造ストラトキャスターをカッティングする壮大な「鈴木茂セット」は確かに良い音だった。最高だと思う。
と、同時に「この道はワタクシには無理だ」と思った。

しかしあるものを調整することも大事なのかと思い、真空管の調整をやってもらったり、電圧計ってもらったりいろいろ施したが専門家の一言は厳しい。

「ああ、ひどいね~。この手のアンプはね~、プリント基板で出来ているから、修理にお金かける意味ないよ~」
確かに言うとおりですね、それならマッチレスやメサブギを買って、フライトケースに入れるべきである。
そんな調子の悪いアンプを使っていたらついに腰の調子までおかしくなった。

ぎっくり腰(イメージ)
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 浅草HUBで演奏終了後、アンプを車に積み込もうと持った瞬間に電撃が走った。てっきりトランスに電気が溜まってて漏電かまち君にでもなったのかと思ったよ。
音は悪いのに30キロはある無駄に重いだけのアンプを持ちあげてぎっくり腰になったとは恥ずかしくてここに書くのに1か月の時間を要した。

 しかし大変な時に腰を痛めてしまったもので、そのまま自分で運転して関西に遠征、以後毎日ライブというタイミングだったので、病は気からを信じ「腰を少しひねったようだな」とブツブツ言いながら深夜の高速を走り続け、滞在先のワタクシの実家に着いたら早朝6時、起きてきた母由起子に、ぎっくり腰がバレないように「ただいまぁ、ほな飲もかぁ~、板わさ。」と初めてしまったが、さすがに眠いのでしばらくして寝たら激痛で目が覚める。が、痛すぎて身動きが取れず声もあまり出ない。家人に起こしてもらいたい&整体の手配を頼みたいのだがとにかく動かない。

 そうだ、携帯がある。といってもwillcomだが一応電波は通じているので枕元に置いた携帯を探そうと腕を動かそうとしたら・・・動かない。
このまま気づかれずに死んでしまうのではないか?とアナタハン島ばりにビビりながら何とか意思を伝える方法を考える。

 喋れないくらい痛いのだが、その詳細が分かってくる。低音のロングトーンならあまり痛くないことを探し当てて、「あ~」とか「う~」とか試しに言ってみるが息を多く使うのでロングトーンが辛い。
「お~」が一番マシだということも発見したが、「お~っ」になるとズキンと痛むので、試行錯誤の結果、一番効率の良い「お~~む~~」という往年の麻原スタイルで唸っていると母由起子がバタバタ侵入してきた。

「あんた朝からどないしたんや!いまどきオウムにでも入ったんか?近所にバレたらどないすんねん、アホとちがうか!」

まくしたてられ自分がぎっくり腰だということを伝えるのに更に5分かかったが、それからはなかなか迅速だった。
「おかん・・・・ほねつぎ探してくれ、で、連れてってくれるか?」
「全然しらんねんけどなぁ・・・、そやけど探してくるわ!」 ブーン。・・・・・
この人が母で良かったと思う、バンドマンに成り下がったバカ息子のぎっくり腰を思いやるあまりの行動。普通は探すといえばタウンページ、知人、インターネットなどなど、まずは在宅で探すはずだが母由起子は何を思ったのか調べる前に、車に乗り込んで予備知識ゼロで急加速していった。10分後に電話がかかる。
「駅前にきれいな整骨院見つけたわ、あと10分で受付終了やから今すぐ迎えに行くわ!」
すると2分で迎えに来てくれた、さすが元太陽族なだけある。
「あそこの先生はおっとりしとってええけど看護婦がイケズ言うんやで」
「イケズて何言うん?」
「10分以内に来ていただかないと・・・言うんやわ」
「で、どない言うたったん?」
「あんた裁判長かいな?ワタシはボケとうから10分と1時間の違いがわかりませんねん。ええやろ?先生?て言うたってんで」
「ばっちりやなあ、最高や。東京では絶対に通用せえへんけどなww」
「そやけど先生はおっとりしとって、いいですよ~言うたで。アホかカシコかどっちやろ?」
「知らんがな・・・・・・たぶんアホやと思うけどなwww」

心温まる会話とは裏腹に、腰の痛みは絶不調。
おっとりした先生に病状を伝える。
「昨日はねぇ浅草でライブしとってんけど荷物でグキいうて、ぎっくり腰ですねん、早く治してください」
「お~、そ~ですかぁ~。ほんなら~、え~、ハリが~ええんと~ちゃいますかぁ~~~?」
「お願いします。すぐ直るやつ。ハリに電気通したらええねん。絶対電気や、バチバチやで」
「わ~か=り=まーし=た=」

 相当おっとりしていたが、腕は確かなのと、医者の割に聴きわけが良いのでワタクシはこの先生を気に入った。気に入りすぎて先生が勧める「コルセットよりサラシが良い」というオプションに同調してしまい、刺されても内臓が出てこないくらいに強くサラシを巻いてもらい、標準+追加シップまで買わされて、完全に韓国ツアーの土産物店の日本人スタイルを地元明石でやってしまいました。これでロビーで高麗人参茶でも出したら結構流行るのではないだろうか。

 帰宅後、母由起子のタコの茹で方に腹を立てたワタクシが見本を見せていると、
「あんた、もう治ったん?」
「え、あ、ほんまや!」
横行するヤブのカイロ野郎達が「ぎっくり腰は炎症だから3~4日かかる」と口を揃えてホザく定説がデマだと初めてわかった瞬間ワタクシはタコを茹でていた。無論、茹で加減も素晴らしく美味しく頂き、若干痛みは残るものの普通に歩けるようになった。以後、再発はしていないのでご安心を。コツは、ビビるくらい電圧かけることです。電気先生ありがとう!


 治癒したからといって、重いアンプを意味無く使い続ける必要はない。大型アンプに惹かれた時代もあった。
粗暴なピートタウンセンドさん
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マーシャルの壁
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しかしこういったものを自分で運ぶような人はまぁ居ない。またはぎっくり腰になっているはずだ。
ツアーバスがあったり、ボーヤがたくさんいるような位の高い、たとえば寺内タケシさんのような方でないと似合わない。

ツアーバス
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ウクレレのアンプを小型のものを使っているのと、関わっているセッションではあまり大音量が必要ないのだからギターアンプも小さくしてみようかと検討するも、ルックスなどで選んだら大体ギターやアンプは失敗するので、テスコなど、いくら「お!かわいい!」と心が動いても選んではいけない。

テスコ88
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選択としては「何も買わない」というのもアリかと考えたが、世の中の演奏現場に標準装備されているJC-120はなかなか好みの音が出ないので、「何も買わなかったら音楽が嫌いになってしまうのではないか?」と予想される。

ローランドのジャズコーラス
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旅に出たり車に積んだりするのであまり高価なアンプなど持っていても仕方ないので、かといってトランジスタアンプやデジタルアンプなどまだまだ良くないので真空管で探していると、やはりフェンダー社の小型真空管アンプblues junior が3世代目にモデルチェンジしててなかなか良さそうなのだ。



FENDER BLUES JUNIOR III ギターアンプ
フェンダー
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使い捨てにしたら値段も音もそこそこ良いので旧モデルから特に日本では人気が高いモデル。
現在候補の上位に挙がっています。買うか睨むか・・・・・。
実は睨み続けて5年くらい経っている、ケチではないぞ~。