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nutscoのこと

ワタクシ愛用のウクレレ「nutsco」の2010年度2度目の予約を開始したそうです。待望にしていた方は相当いらっしゃると思う。何せ1回で12本から20本くらいしか作らないウクレレを念に1、2度注文とってるだけの「趣味の品」なので当然人気は高い!が、値段が安いということでさらに人気が高いウクレレになっている。
nutsco 3Mとワタクシ
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元々、というか、現在でも全く商売っ気のない広島のウクレレデザイナーシンケちゃんはここでも度々登場するが、犬と料理をこよなく愛する延長線上で気が向いたときに注文を若干受ける程度でしかウクレレ作らないのと、また、そういう情報を他言することなく進行してゆくので存在にすら気づかない人が9割、また残りの1割は「気づいたら予約を終了していた」という悲しいものだった。要するに市販品ではなかったのだ。

ワタクシが巡業に廻っていると、終演後ににじり寄ってくるウクレレマニアの皆さんと歓談していて出てくる話題の大半は「nutscoはどこで売っているんですか?」というもの。
これを、「いや、売っていないんですよ」と答えたら会話が終了するではないか!。知らない人と話すのが極端に苦手なワタクシにとってはこれは一種の暴力である。

気を取り直して、「じゃあ売ってないですけど、冥土の土産に是非触ってやってください」などと差し向けてみたらほぼ全員はびっくりされる。素晴らしい音色とびっくりするくらいの大音量だからだ。
そんなニーズをシンケちゃんに直訴したら、「万馬券が当たったら作る」という天文学的確率でウクレレの注文をとっていたことを若干詫びたのか、「小ロットでWEB予約を受けてみます!」ということになり現在は不定期ながらも予約販売をしているのだ。

ワタクシは元々ギタリストで、ウクレレなど30歳くらいまで弾いたこともなかった。ギタリストからしたらウクレレは大きさも音も「おもちゃ」という評価でしか見ていない人がほとんどだった当時、ワタクシも例に漏れず「音楽」としても認めていなかったように思う。そんなワタクシがウクレレを弾き始めたきっかけは、「仕事」だった。

「バンバンバザールさん、ウクレレを使ってビートルズの曲をカヴァーするコンピレーションアルバムに参加しませんか?」という誘いに二つ返事で「はい!是非!」と答えたのは社長福島氏に他ならないのだが、この時点でワタクシはウクレレなど触ったこともないし、チューニングすら把握していない。これは思い切ったというか何と無茶な受注ではないか!。

こういった「出来ない事」を涼しい顔をして「任せてください!」と言い切る行為は昭和のバンドマンなら常套手段で、全く楽器の弾けない人間が仕事欲しさにステージで演奏するフリをする「立ちんぼ」がキャバレーバンドでは登竜門だった時代がある。

これを、平成の現代に、やってのける社長は奇人中の奇人だとこのとき確信した出来事だったが、問題は、キャバレーの立ちんぼではなく、「実際レコーディングしないといけない」ということだ。これは大変だ。バレたら金がもらえないどころか訴訟になったら困る。

早速ウクレレというものを購入しに出かけた先はドンキホーテ。激安ジャングルの片隅に置かれた5000円のベニヤ板でできたウクレレを買って、古本屋にあった大橋節夫の昭和30年代のウクレレ教本を片手に猛練習。だって1週間後には録音しないといけないからだ。そしてビートルズの名曲「プリーズプリーズミー」をカヴァー。

録音を終えたら、「じゃあレコ発ライブをやりましょうよ!皆さん!」ということになり、人前で演奏することになり、問題はワタクシのレパートリーが「プリーズプリーズミー」しかないということ。ライブでは最低でも5曲くらいは演奏してくださいと言われていたので再び猛練習。

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すると、ウクレレコンピがなかなか好調な売れ行きで、第2弾、3弾とシリーズ化されていって、毎回お誘いを受けてゆくに従って少しづつウクレレに馴れていった。
中でも特にウクレレジブリというコンピはその筋ではなかなかのヒット作になった。この中でバンバンバザールで編曲、演奏した「海の見える街」は我ながら気に入っているアレンジ。

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そんなうちにドンキホーテウクレレはある日突然一人黙ってしまった。表板がバキっ!と剥がれて修理する気にもならず、旅先の高松の楽器屋でハーブオオタモデルという名前だけ立派なウクレレを3万円で購入、その後Gストリングスのモニターしたりしながらいろいろ弾いていたときに、ウクレレコンピを聞いて興味を持ってくれた人がライブにしょっちゅう来てくれるようになる。

来る度毎回酔っ払って気持ちよさそうにライブを楽しんでいるこの人こそシンケちゃんで、しばらくしてウクレレを持ってきて「弾いてください」というのだ。これがnutscoとの出会いである。

以来、ウクレレといういよりもnutscoに惚れ込んでしまったワタクシ、時にはもう少し大きいサイズや、ロングネックに心惹かれるも、音色とテンション感が最高すぎてマホガニーボディの「3M」を愛用している。

バンバンバザールをはじめ、現在ではウクレレでブルームーンカルテットなるバンドもやっているワタクシ、正直ここまでウクレレを弾くことになるなどとは全く思っていなかったが、もうなくてはならない存在になってしまった。浮ついたウクレレブームが去った今こそワタクシ的には「使いどき」である。マルハンの「ごはんどき」の冷やし中華のごとく、「大人の男のアイテム」として愛してゆきたい。



最近は再発売が数度なされたので、巡業先では「先生!nutsco買いました!」という人が増えてきて、皆さん非常に大満足されていてワタクシとしても非常に嬉しくて、「是非見せてくれ」と言っていたら会場に持ってきてくれる人もちらほら現れてきた。

現在では出荷時の標準弦を「aquila(アキーラ)」にしており、これはワタクシの推奨弦でもあるので手にしたらいきなりいい感じである。前回ロットというか、5月出荷分を旅先で購入したお客様に弾かせてもらったのだが、相変わらずクオリティーを保っていて、素晴らしい出来具合だったのできっと今回予約分も素晴らしいはずです、納品は10月予定だそうです。是非ご覧ください。

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