見知らぬ部屋で一晩を過ごしたことに気づいたアッシュは、自分は拉致されたのかと思った。
(まさか、、、ゴルツィネか? それともユーシスなのか?)
最悪の事態から想定する癖のあるアッシュは、絶体絶命の状態に冷や汗が流れた。
ゆっくりと体を起こそうとするが、頭がズキズキする。
「う、、、、いてぇ。。なんだよこの頭痛は。。。??」
なんとか昨晩の記憶を思い出そうとする。
「確か、昨夜はパーティーがあって、、、」
仲間たちとダウンタウンでどんちゃん騒ぎをした。
そこで浴びるように酒を飲んだ記憶はある。シンを少しいたぶってしまったが、誰かに襲われた記憶はない。
(単に俺は酔いつぶれたのか?それとも?? )
今まで仲間たちと飲んで酔いつぶれたことなどなかった。
それは酔いつぶれた時に襲われる可能性もあるからだ。
(子分が俺をここに連れてきたのか?)
思い出そうとするとまだ頭が痛く、喉も非常に乾いていた。
(水、、、、)
左のサイドテーブルにペットボトルに入った水とチェーンのついた鍵が置いてあることに気がついた。鍵にモーテルの名前が書いてあった。
(モーテル? じゃぁ、ゴルツィネやユーシスに拉致されたわけじゃないのか。。。。)
ほんの少し安心し、ため息をつきながらサイドテーブルにあった水の入ったペットボトルを取ろうと左腕を動かすと肌がひんやりとする。そしてアッシュは自分が服を着ていないことに気がついた。Tシャツだけでなくジーパンもパンツも履いていない。
(。。。。。?)
疑問に感じながらもペットボトルを取るとさらにもう1本置いてあった。
アッシュはそのうちの1本を取り、勢い良く飲んだ。
「ふー」
(訳わからない朝だな。。。)
「あー、もう!何なんだよ。。。あ”ー!!」
アッシュは両腕を伸ばしながらもう一度ベッドに倒れ込んだ。すると右腕が何かにぶつかった。
「なんだ?」
驚いてベッドの右側を見るとそこには誰かが寝ていた。頭からすっぽりとシーツをかぶっている。
「え??」
アッシュはようやく自分は誰かと同じベッドで一晩過ごした事にようやく気づいた。
「なんだアレ。。。まさか。。。死んでいるのか?」
アッシュは人の塊を凝視した。死んでいるように静かだが、ほんのわずかピクッと体が震えた。どうやら生きているようだ。
自分への殺気は感じられず、単に眠っているようだった。争った形跡も血痕もないことを確認したあとアッシュはベッドから一度離れ、距離をあけてその人物を観察する。
生きぬく為に名前も知らない大人に自らの体を差し出していた頃をつい思い出し、確認するのを若干ためらってしまった。
(こいつは誰だ?なぜ俺といる?)
アッシュは見るのが何だか恐ろしい気がしてきた。
恐る恐る近づき、シーツをめくリ上げた。
「あっ!」
アッシュは息ができなった。
そこにはバスローブを着た英二が眠っていた。
(続)
なんだか萌え展開?な感じになってきましたが(笑)一体どうなるのでしょう?