【趣味/BF小説】酔っ払い (第三話) | BANANAFISH DREAM

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時計の針は午前三時半をまわっていた。街は静まりかえり、窓から見える光もわずかだ。



疲労感とわずかな眠気からか、アッシュはソファに腰かけてぼんやりとしていた。



「はい。お待たせ」



振り向くと、顔の真横にバドワイザーと英二の手が見えた。



「…サンクス」



ニヤッと笑い、アッシュはビールを受け取った。



「今日はケインとどんな話をしたの?」



「ダウンタウンのことだな。どこでどんなもめ事が起きたとか、今どこのグループが一番勢力があるかとか……つまんねぇ話だよ」



そう言ってアッシュはバドワイザーを口に含んだ。



「お前は何をしていた?」



「そうだな、写真の整理をして、伊部さんとマックスと電話で話して、そのあとボーンズが少年サンデーを届けてくれたから少し話して、そのあと君の服にアイロンをあてて……それからカレーを作ったよ」



「結構、色々していたんだな」



「うん。忙しい方が好きなんだ」



その言葉にアッシュはわずかに胸がチクリと痛んだ。自由に外出できない彼に対して悪いと思っているが、今は仕方ない。



英二は何も不満を言わないし、楽しそうに笑っていてくれるのがせめてもの救いだった。


「――そうか」


アッシュはうまく笑えなかった。



「カレーの隠し味にチョコレートを入れたんだ。きっと君は気付かないと思うけど」



「カレーとチョコ?すげぇ組み合わせだな」



「ほんの少しだけだよ。今度、隠し味に納豆をいれてやろうと思うんだけど――」



「!!――絶対にヤメロ!・・・・ゴホッ!」


英二ならやりかねないと思ったアッシュはむせてしまった。



「ははは・・・・大丈夫かい? でも、この間君が美味しいって絶賛していたカレーだけど、あれ実は……」


そう言って英二はニタニタと何か企んでいるような表情をうかべてニタついている。



「うそだろう? まさか納豆をいれたのか?」


アッシュは悪寒がした。英二はアッシュの顔を覗き込み、わざとイジワルな笑みを浮かべた。



「ブー! 醤油とソースを入れたのさ。でも君が僕に何かひどいことを言ったりしたら、納豆を入れてやるつもりさ」



「やめろよ。気持ち悪い」



「あははは。僕に対する言葉遣いに気を付けるんだな」



腰に手を当てながら英二はわざと偉そうに言った。



「脅迫じゃねぇか、そんなの…」



たまったもんじゃない、とアッシュは先ほどよりも疲労感を感じた。



「へへへ」


苦笑しながらもアッシュは心が穏やかになっていくのを感じた。ごく自然に笑ったり、驚いたり、困ったり・・・素直に自分の感情をさらけ出していた。仲間と飲むときには絶対にありえないことだった。



疲労感と安心感からアッシュは心地よく酔いがまわってきていることに気が付いた。



(こんな気分が永遠に続けば・・・俺は・・・)



「俺は・・・」


(俺は幸せだ・・・)



「うん?どうした?」



英二が自分を見ていることに気が付いた。思わず思っていることを声に出しそうになっていたことにアッシュは気が付いた。照れを隠すために空になった缶を英二に渡した。



「英二、もう一本・・・」



もうすでに三本飲み干していた。



「もう一本?ペース早けど…大丈夫か?」



心配そうに英二はアッシュを見ていた。心配されるのは、これほど心地よいのかと思わずアッシュは微笑んだ。



「大丈夫、心配するな。でも・・もし俺がここで寝たら、寝室まで運んでくれよ」



甘えたくて言ったその言葉に英二は眉間に皺を寄せた。



「それをしたくないから、心配しているんだよっ!」


嫌そうな顔をした彼を見て、アッシュはムスッと不満げに言った。



「じゃぁ、運ばなくていい。俺は勝手にここで寝るから、放っておいてくれ」



突然機嫌の悪くなったアッシュに英二は少々驚きながらも、構わず言った。



「どうしたんだよ? 放っておくなんて・・・そんなことできるもんか! でも、だからって寝室まで運んだりするもんか。・・・・これでもかぶってな!」



そういって英二は毛布をアッシュに渡して立ち上がった。



「……」



(そんなことできるもんか……)



英二の言ったひとことがアッシュの心をフワリと温かくしていくのを感じた。



(俺は・・・酔って英二に甘えているんだな・・・)



アッシュはほんのり赤くなった頬に指をあてた。



<続>




心を許している英二と共にすごした時間・・・アッシュが本来の自分でいられる貴重な時間ですよね。けっしてアッシュを甘やかすだけじゃなくて、からかったりちょっぴりイジメてしまう英二のナチュラルさがアッシュにとっては新鮮で貴重だったのではないかしら??


今回は酔っているのでちょっと甘えたになっているアッシュでした。個人的には「幸せだ」と口にだして言ってほしい・・・そして英二にそれを突っ込まれて、どう反応するのかしら?



例えば・・・


A 「俺は・・・幸せだ・・・」(心地よく酔いながら)


英 「なにが幸せなの?」


A 「えっ!(しまった・・・言ってしまったのか・・・)」


英 「わかったぞ!僕が君の傍にいるからだな!」(キッパリ)


A 「はぁ?」(大当たり!) 「ばーか!違うよ」


英 「えぇ? じゃぁ何?」(キラキラした目で)


A 「お前のその間抜けな顔をいつも見れるからだ!」(半自棄)


英 「はー? また年上をバカにしたな!(怒)」


A 「俺は幸せだよ、ほーんと」


英 「またバカにしただろう?」


あれ・・・いつもの調子だ(笑)




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