溜まり場にて――
アレックスは仲間とビリヤードを突いていた。
「アレックス、最近付き合い悪いじゃないか。お前の車で走ろうぜ!」
「悪いけどボスに呼ばれているんだ」
「そうか、このところ毎日だな。ナンバー2は大変だ」
「あぁ、じゃぁまたな」
アレックスはボスのアパートへ向かった。
***
― ピンポーン!―
「やぁ、アレックス。よく来てくれたね。あがってくれよ」
いつものように穏やかな笑顔で英二がアレックスを迎えた。
「よぉ英二。これ…土産だ」
アレックスは紙袋の中から厚みのあるコミックを渡した。
「わぁ、少年サンデーだ!ありがとう!」
「アレックス、来たか」
アッシュはアレックスの姿を見て、上着を手に取った。すぐに外出するらしい。
「やぁ、ボス」
「英二、俺は出かけてくる」
「うん、分かった。気を付けて!」
「ボス、英二のことは俺に任せて下さい!」
アレックスは胸を張って答えた。
【アレックス・心の声】
気遣いその1:ボスに英二の安全を保障すると伝えるべし!
ボスの安心=英二が無事であることは必須(^o^;)
「あぁ、アレックス、頼んだぞ」
アッシュの表情がやや緩んだきがした。こうして彼は外出した。
「アレックス、お腹すいていない?何かつくろうか?」
「いや、メシは食ってきた…何か飲み物をもらえるか?」
【アレックス・心の声】
気遣いその2:英二にメシを作らせるなかれ!
ボーンズやコング達は何も分かっちゃいねぇ。
「英二は家政婦じゃないんだぞ」ってボスがつぶやいたのを俺は聞いたぞ。
腹は減っているが、ボスに殺されるよりマシだ(・_・;)
「分かった。コーヒーを入れるよ。はい、どうぞ」
「サンクス」
アレックスはコーヒーを受け取った。英二はアレックスをじっと見ている。何か言いたい事があるようだ。
「どうした?」
「ねぇ、アッシュはどこへ行ったのかな?教えてくれないんだ」
「さぁ、俺も実は知らないんだよ」
【アレックス・心の声】
気遣いその3:英二にボスの行き先を教えるなかれ!
あいつのことだ、ボスを追いかけて行く事だって十分ありえる。
とりあえず知らないふりをしろ
アレックスの言葉に英二は頬を膨らませて言った。
「そうなんだ。残念、後をつけてやろうと思ったのに」
「…(やばかった)」
ほっとアレックスは胸をなでおろした。
「ところでアレックス、最近どうしてた?」
「どうって、いつも通りさ。溜まり場かダウンタウをうろついているよ」
「他の皆は? ボーンズやコングとか」
「あいつらも元気さ。なぁ、せっかく漫画を持ってきたんだし、それを読めよ」
【アレックス・心の声】
気遣いその4:英二に気を遣わせるなかれ!
さっきから少年サンデーをチラチラ見ているくせに俺がいるから読もうとしねぇ。
ボスのことを質問されないように漫画を読ませて静かにさせておくのが一番だ
「あ、いいの? 」
「俺も雑誌を持ってきたから」
仲間から借りてきた雑誌の入った紙袋を英二に見せた。その中にはヌード雑誌もあり、あやうく英二に店そうになったアレックスは慌てて紙袋にヌード雑誌を戻した。
「おっと!」
「どうしたの?」
「いいや、何でもない」
「変なの。顔が赤いよ」
「暑いからな、どうにかなっちまいそうだ」
「ひょっとして夏風邪?大変だ、熱をはかろう!」
「大丈夫だって。馬鹿は風邪をひかないっていうだろう?」
「何を言っているんだい。ほら、おでこをみせて」
英二はアレックスのおでこに手を当てた。
――ガチャッ――
いつの間にかアッシュが帰って来ていた。そしてリビングのドアを開けた。
アレックスのおでこに手を当てて、心配そうに見つめる英二が見えたアッシュは驚いて立ちすくんでいた。
「ボ、ボス!」
(ひぇぇぇ!殺されるよ!)
<続>
皆さまおはようございます。ギャグ小説を連載はじめました。前編後編の二話なのであっという間に終わりますが…。
アレックスの心の声に同情してやってください…ナンバー2は大変ですね^^;