皆さん、おはようございます!
今日はアッシュのですね!
長編小説はお休みして、彼のバースデーをお祝いしたいと思います♪
おめでとう、アッシュ!! 君のこと、大好きだよ!
まず二人から皆さまにご挨拶をしてもらいましょう。
【ごあいさつ】
ダァーッ! バブバブ!
アッシュ、どうしたの? よしよし…
今日は君のお誕生日だったね。
オニイチャンがお祝いしてあげるよ。
キャッ、キャッ!
何がほしいの? おもちゃ? ぬいぐるみ?
ウーウー!
ちがうの? 何がほしいか言ってみて。
アーアーア!
(英二お兄ちゃん!)
何かな?君が大きくなったら教えてね。
それまで僕がちゃんと傍にいるからね。
キャッ、キャッ!
あ、嬉しいの?機嫌がよくなったみたい。
アー、ウー!
(大好き!)
よしよし……チュッ!
可愛いからほっぺにキスしちゃった。
あれ、アッシュ…真っ赤になったぞ?
アアア…!
(恥ずかしいよ!)
疲れたのかな?
アッシュ、少し眠ろうか?
ヤアーア!
(嫌だ、一緒がいい)
泣いちゃだめだよ。僕が一緒に添い寝してあげる。
君が成長するところを一緒に見守っていたいなぁ。
アアアーウー!
(仕方ないな、ちゃんと俺の傍にいろよ!)
あ、笑った!
君の為にオニイチャンがお話を聞かせてあげるよ。
「特別なプレゼント」というお話なんだ……
【特別なプレゼント】
8月上旬――
アッシュは外出していて、代わりにアレックスがアパートに来ていた。
英二は雑誌を読んでいるアレックスに聞いた。
「ねぇ、アレックス。もうすぐアッシュの誕生日だろう?」
「そう言えばそうだな……あと数日か」
アレックスはカレンダーを見て答えた。
「どんな風にお祝いをするの?」
その言葉にアレックスは渋い顔をして答えた。
「そうだなぁ、皆でお祝いの言葉を伝えて、乾杯をして騒ぐんだけど……ボスは挨拶程度ですぐに帰っちまうからな…」
「そうなの? てっきりリンクスの皆で朝までパーティーをするのかと思ったよ」
「ボスはクールだから、派手なイベントを好まない」
「ふぅん……」
「ゴルツィネ邸から高級なシャンパンやら食いもんが届くんだぜ?でもボスはそれらに手をつけずに、俺達に全部くれるんだ」
「アッシュらしいね」
英二は妙に納得して頷いた。
翌日、今度はボーンズとコングがアパートに顔を出した。英二は二人に聞いた。
「ねぇ君たち。アッシュの誕生日には何かプレゼントをするの?」
ボーンズとコングは困ったように顔を見合わせてから答えた。
「俺達皆でプレゼントをしたいって毎年言っているんだけど……ボスは何もしなくていいって言うんだよ」
「どうして?」
「『お前達、カネもないくせに無理をするな』だって……まぁ、俺達が何もしなくてもダウンタウン中の女からプレゼントが届くけどな」
「英二は知らないだろうけど、ボスにプレゼントを渡したいから会わせてくれって女どもが俺達の溜まり場に押し掛けてくるから大変だぜ。まぁ、受け取ったプレゼントは俺達のもんになるんだけどな」
「ははは……それは大変だ……」
女の子達が押し寄せ、その対応に困る子分達の姿を想像して、英二は苦笑した。
(うーん、どうしよう……何もしない方がいいのかな?)
子分たちの意見を元にいいアイディアは浮かばないかと考えたが、残念ながら何も浮かばなかった。
買い物をする時も、雑誌を見ている時も英二はアッシュにぴったりのプレゼントは何かと考えていたが、いまひとつピンと来るものがなかった。
何も出来ないまま日が経ち、気がつけば誕生日の前日になっていた。
カレンダーを見て英二は小さなため息をついた。
「どうしよう……何かしないと! あぁでもどうすれば喜ぶんだろう?」
高級品が買えるほどのお金もなく、しかも一人で外出するなと言われている今の自分に気の利いたプレゼントが買えるとはとうてい思えなかった。
「せめて、いつもよりいいお酒を買って……ってリンクス達が先に乾杯するんだよなぁ、それにゴルツィネ邸から届く高級なお酒なんて買えないし……」
英二は肩を落として盛大なため息をついた。
「お前、何やってんの?」
背後からアッシュが声をかけてきた。何も悪い事をしていないが、アッシュのことを考えていた英二はピクっとわずかに動き、ゆっくりと振り返った。
「ううん、何でもないよ。あ、出かけるんだ?」
「あぁ、今日は帰れないかもしれない」
「そうなんだ、分かったよ。気をつけて」
(やっぱり夜通しで誕生日をお祝いするのかなぁ……)
「じゃぁ行ってくる。後で誰かを部屋によこすから」
「わかった。行ってらっしゃい」
「あぁ」
いつものデニムとTシャツ姿のままアッシュは出かけて行った。
「……」
アッシュを見送ったあと、ガラリと静かになった部屋を見渡した。
(僕、何もできないな)
もやもやした気持ちが自分を支配してくるのを感じ、英二は首を左右に振った。
「えぇい、掃除でもしよう!今日は徹底的にするぞ!」
気を紛らわしたくて英二は、ふだん以上に細かいところまで掃除をし始めた。
書斎の本棚に入っている書籍を取り出して埃をはらい、鏡もぴかぴかに磨き上げた。
掃除の途中でボーンズとコングがやって来たが、英二は彼らに買い物を頼んで自分はひたすら掃除をし続けた。
「……あぁ疲れた。僕は何をやっているんだろう」
時計を見るとすでに夕方になっている。
「いけね! 夕食の準備…ってアッシュは今晩帰ってこないのか」
その時玄関チャイムが鳴り、袋をかかえたボーンズとコングが帰って来た。
「ただいまー英二、帰って来たぞ」
「ありがとう」
英二は袋を受け取った。
「野菜なんて買うの初めてだよ。ベジタリアンになった気分だ」
コングはそう言って笑った。
「お疲れ様――あれ?このアボカド…」
「なんか触ると柔らかいモンばっかりだったから、一番固いやつを選んできてやったぞ」
「……ははは……アボカドって柔らかくなるのを待って食べるんだけどね……」
(アッシュの好きなアボカドサラダを作ろうと思ったけどこのアボカドは使えないな…)
英二は苦笑した。アッシュの好きなエビとアボカドサラダを作ろうと思ったが、明日は作れそうにない。
「ありがとう、君たち、もう帰りなよ。今晩、仲間と一緒にアッシュのお祝いをするんだろう?」
「でも……」
アッシュに英二のガードをするように言われている二人は困ったようにお互いの顔を見た。ボーンズとコングの立場を理解している英二は安心させるように笑った。
「僕は大丈夫。今日は伊部さんが来ることになっているから。安心して出かけるといい」
英二の言葉に二人は笑顔になった。
「あのオッサンによろしくな!」
「悪いな、俺達じゃぁ行って来るよ」
「うん、買い物してくれて助かったよ」
手を振って英二は二人を見送った。
(いつもガードしてもらっているしな……)
英二は優しい嘘をついた。
「さてと……あぁ、まだちょっと汚れているなぁ」
リビングに戻るなり、英二は掃除を再開した。クリーム色の壁の一部分にシミができていた。
「あれ? 何の汚れだ? そうだ、この間…ピザソースを飛ばしてしまったなぁ」
ぞうきんで拭くが汚れは取れない。
「はぁーなんとか誤魔化せないかな?」
英二はため息をついた。
***
たまり場にて――
「ねぇ、アッシュいる? プレゼントを渡したいの!」
「ボスならいないよ」
ボーンズは困ったように答えた。
「えぇ!? どこにいるの?」
「言うなって言われているから」
「せめてこれを渡してちょうだい。絶対よ!」
プレゼントを受け取った子分はため息をついた。
「――ってこれで何人目だよ? 明日も大変なことになるなぁ」
コングはプレゼントの山を見て言った。
「ボスは?」
「たぶん二階だよ。あそこに入れる奴は限られているからな」
「あ、おい!ゴルツィネ邸からボスへのプレゼントが届いたぞ」
「スッゲーでかいな。早速中身を確認しようぜ」
二人は綺麗にラッピングされた箱をビリビリと破き始めた。
***
深夜0時になり、リンクスのメンバーたちが集結した。
「ボス、誕生日おめでとうございます!」
「あぁ、皆ありがとう――」
リンクス達が集まり、皆で乾杯をした。ゴルツィネ邸から届いた酒やつまみは全て子分達の胃袋に入った。
アッシュは乾杯をしただけでゴルツィネ邸からの食べ物や飲み物、デザートに手をつけなかった。カウンターに座り、いつも飲んでいるウィスキーを飲んでいた。
子分がアッシュの元へ報告しにきた。
「ボス、プレゼントの数ですが……100は超えてます。どうしますか?」
「お前達の好きにしろ」
「ありがとうございます!」
子分達はプレゼントに群がった。ワイワイと品定めをする子分達を見てアッシュはふっと笑った。
「ボーンズとコングのやつ……もっと丁寧に開けろよなぁ!」
アレックスがぶつぶつ文句を言いながらアッシュの元にやってきた。
「アレックス、ボーンズとコングが来ているのか? あいつら、アパートにいるんじゃ…?」
「あぁ、今日は伊部のおっさんが来るって英二が言ってたらしいぜ」
「……」
(伊部が……?)
「――俺は帰る」
「え?もう? 乾杯したばかりでしょう?」
「もう十分だ。後はまかせたぞ、アレックス」
「へぇ」
「じゃぁな」
アッシュはアパートへ戻った。
***
アッシュはアパートのドアを開けた。玄関に伊部の靴はなく、客人用のスリッパもそのままだった。
「やっぱりな…」
予想通り、英二は嘘をついた。子分をパーティーに行かせるためだ。アッシュは小さなため息をつきながら俯いた。そしてフローリングの床が光り輝いている事に気がついた。
(何か違うぞ?)
家の中はいつもと少し違う気がした。
床は磨かれ、ワックスでピカピカ光っていた。
あらゆる場所の汚れや埃がなくなっている。浴室の鏡はくもり一つなく光り輝いていた。ドアノブの指紋も消えているほどだ。
(ハウスクリーニングでも頼んだのか?)
そう思うほど家中が綺麗になっていた。英二はまめに掃除をしていたが、それでも子分たちが毎日のようにやって来て多少なりとも汚して帰って行っていた。
(英二、一人で掃除をしたのか? すごいな…)
リビングに入ると、英二が真剣な顔で額縁を組み立てていた。
「英二? 何をしているんだ?」
「うわぁ!びっくりした!…おかえり」
突然声をかけられて英二は驚いていた。
ひょいと額縁を覗こうとすると、英二は額縁のうえにがばっと覆いかぶさった。
「何それ?」
「駄目だってば」
「いいじゃないか。どうせ飾るんだろう?それ」
「まぁそうだけど…」
英二は時計を確認した。
(もう12日だし、まぁいいか)
「記念に、と思って」
「記念?」
「ほら」
英二は額縁をアッシュに見せた。それはアッシュと英二が一緒に並んで笑っている写真だった。
ケープコッドの自然を背景に英二がセルフタイマーで撮影したものだった。
柔らかく笑う英二の隣でアッシュも楽しそうにほほ笑んでいた。この写真を見て、アッシュがストリートキッズのボスだと思う人はいないだろう。
アッシュはこの写真が気に入った。
「すごくいい写真だな……気に入ったよ」
「本当に? 今まで撮影した写真を全て見直したんだ。僕もこの写真がすごくいいなって思ったんだよ。君の表情がすごくリラックスしているし、生き生きしているなと思って……」
「でも記念ってどういう意味だ?」
「あぁ……今日は僕にとって君と出会えた事を感謝する記念日なんだ。君が生まれて来てくれてよかったと本当に思うよ」
白い悪魔と言われる自分の誕生を心から祝ってくれる英二の気持ちが伝わって来て、思わずアッシュは無言のまま英二を見つめた。
「……」
(英二……)
「誕生日おめでとう。君に何ができるか、何をプレゼントしようか色々考えたけど、いいアイディアが浮かばなくて。きっと他の皆はもっとすごいものをプレゼントしているだろうけど……。こんなものしか用意できなくてごめん」
恥ずかしそうに英二は照れ笑いをした。
「いいや……お前、家中細かいところまで綺麗にしてくれたんだな。まるで新築並みだ。書斎の中の本も綺麗に整理されていたし……」
「あはは、掃除は得意だからな……アッシュ、『最高級のバドワイザー』を冷やしているぞ。乾杯するか」
「そうだな、そうしよう」
缶ビールを冷蔵庫から取り出し、二人は乾杯をした。
「「乾杯!」」
英二はさっとサラダを作り、酒のあてにした。
「――アッシュ、こんなのでごめんよ。もっと色々特別なことをしてあげればよかったんだけど……」
「よせよ、オニイチャン」
アッシュはクスッと笑った。
「何?」
「もう十分さ」
英二に十分貰っていると言うつもりでアッシュは言ったが英二は勘違いしたようだ。
「そっか、皆が祝ってくれたんだよね」
「……」
(違うって…そんなつもりじゃないよ……)
自分の想いが伝わらなくて、アッシュは複雑な気持ちだった。ついムッとしてしまい、英二が気づいた。
「どうしたの?」
「――違うよ、英二。そういう意味で言ったんじゃねぇ。お前、本当に鈍いな、もっと気づけよ」
「……えっ? 何の話? 教えてくれるかい?」
「俺、誕生日なんてくだらねぇと思ってた。ただ年をとるだけで何も嬉しくもなんともねぇって。どいつもこいつも注目されようと、色々なものを贈ってくるけど……俺は何も感じなかった」
「アッシュ……」
誕生日がくだらないというアッシュの言葉は少なからずショックだった。
アッシュは写真の入った額縁を眺めていった。
「でも、これは俺がもらったなかで一番嬉しいプレゼントだ」
穏やかに笑い、アッシュは指でそっと愛しそうに額縁に触れた。
「――!」
「お前と一緒に飲む酒はシャンパンより美味いし、お前が作る飯はどんなシェフよりも俺好みだよ」
「アッシュ……ほんとうに?」
「あぁ、ありがとう。だから――」
「だから?」
英二は首を傾げて真っ直ぐアッシュの顔を覗きこんできた。
(毎日、そばにいてくれることが何よりのプレゼントだから――特別なものはいらないよ)
「……」
さすがに言うのが恥ずかしくて、アッシュは固まってしまった。
「だから何?」
英二はまだ覗きこんでくる。
(何か言わないとこいつ、ずっと俺の顔を見続けているんだろうな……)
「だから――えーっと……あの額縁はリビングに飾らずに書斎に飾ろう……。子分たちに見せる必要はない」
本心は言えなかったが、アッシュは十分だった。
「えぇ? そうなの? 皆に見てもらおうと思ったのに」
「馬鹿言え――」
アッシュは空になった缶ビールを英二に見せた。
「あ、おかわりだね。取って来るよ」
「サンクス」
「なぁ、お前の誕生日の時は…何がほしい?」
「え? 僕? そうだなぁ……急に言われても思いつかないなぁ。こんな風に楽しく君と過ごせたらそれで十分だけどな」
英二も自分と同じことを考えていたことが嬉しく、心が満たされるのをアッシュは感じた。
「そうか――じゃぁ少年サンデーとやらを買ってやるよ」
「ありがとう! あ、そうだ! プレゼントも嬉しいけど…僕の誕生日の時も記念日にしたいな」
「なんだ?」
「――君が納豆を克服した記念日さ! 僕の誕生日までに納豆を食べれるようになってくれよ!」
「……」
アッシュは絶句した。
「嫌だ、そんな記念日はいらねぇ!」
「どうしてだよ。まだ十分日にちはあるんだから! そうだ、今すぐ納豆を食べよう!」
「はぁ? 何言ってるんだよ……あ、お前酔ってるな?」
英二は冷蔵庫から納豆のパックを取り出し、アッシュに見せた。
「や、やめろ。それを俺に近づけるな!」
「ほらほら~!」
「――ギャァ!」
たまらずアッシュは立ち上がり、調子づいた英二は納豆パックを持ってアッシュを追いかけまわした。
「あははは!」
「やめろっての!」
アッシュは苦々しい顔で逃げまどうものの、どこか一方でこの状況が可笑しくて笑いがこみあげてきた。
「あははは!」
「この!」
笑いながら二人はアパートの中を駆け回った。二人の笑顔は、額縁に入れた写真と同じく心からの笑顔だった。
額縁に入れた写真は書斎にずっと飾られている。
<終わり>
アッシュ、お誕生日おめでとう♪ 今年は長編小説を連載中なのでご挨拶だけにしようかと思ったのですが……やっぱりアッシュの為に何かしたいなと思い、急きょ短編小説を作ってみました。
特別なことはできないけど、想いを伝えることはできますよね。今の私もそうだわ(笑)
皆さん、ぜひアッシュのお誕生日を一緒にお祝いしてくださいね~。バナナフィッシュファンサイト様たちもそれぞれのお祝いをされているかも……。
明日は小説の続きをUPしますね。
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