Superman 第一話:忠告 | BANANAFISH DREAM

BANANAFISH DREAM

趣味の漫画BANANAFISH二次小説を中心に日々更新中♩

短編小説・企画他のインデックスはこちら


もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM



 雑居ビルの屋上でケインはアッシュを待っていた。



 昨日は様々な出来事――パーティー会場からアッシュを解放、地下からの逃走、歴史博物館での戦い―― があった。



 誰もが疲れ切っていたが、最前線で戦っていたはずのアッシュはまるでそんな事などなかったように、いつもと同じ涼しい顔で現れた。
 



「ケイン、話って何だ?」



「あいつのことだ」



「あいつって誰だよ」



「――英二だ」



 『英二』 と聞いて、わずかにアッシュの体がピクッと動いた。



「あいつはお前のように銃が撃てるわけでもないし、頭が冴えるわけでもない……ハッキリ言って足手纒いとしか思えない――。仲良くするのは勝手だが、今この状態でお前に何かあっては困るんだ」



 アッシュは無表情のままケインの忠告を聞いていた。ふだんと変わらないが、ケインには その翡翠色の瞳の奥に不安がよぎったように思えた。



「――俺はヘマなんてしない……」



 しばらくの沈黙の後で答えたのは、彼も英二といることの危険性を分かっているからであろう。



「だが、あいつに何か起きたらどうするんだ? お前……冷静でいられるのか?」



「俺が何とかする……そんな事、絶対に起きないようにするさ」



 ケインには、アッシュが自分に言い聞かせるように言っているように聞こえた。



「――けど、24時間お前があいつをガードするわけにはいかないだろう?  せめて今だけでも安全な場所に預けたらどうだ?」



 アッシュにとって心が痛くなる言葉が続いた。



「それはちょうど今、考えいるところだ……」



 アッシュは俯いて答えたが、その表情はどこか寂しそうに見えた。



「……」



 先ほどからのアッシュの態度がいつもと違うことにケインは気が付いていた。



(まただ。あの日本人の事になるとアッシュは妙に感情的になるぜ……。これはどういうことだ?)



 ケインは煙草に火をつけた。なぜだかこれ以上 アッシュに忠告することは彼をひどく傷つけるような気がした。



「分かっているならいい。……なぁアッシュ、聞いてもいいか?」



「なんだ?」



「どうしてそこまでして――あいつを傍に置こうとするんだ?」



「……」



 アッシュは背を向けた。



「さぁな……」



「何だよ、ごまかしやがって。お前ら、デキてんのかよ?」



 ケインはニヤつきながらアッシュをからかった。


「バーカ、そんなんじゃねぇよ……」


 アッシュは振りかえらずに 窓の外――遠くの景色を見たままもう一度言った。


「――そんな簡単なもんじゃねぇ……」


 彼は思いつめた表情をしていた。



「ふぅん……ややこしい関係だな」



 ケインは複雑な表情を浮かべながら、昨夜のことを思い出していた。



<続>



←こちらは拍手ボタンですニコニコ


もしあなたが今回のお話を読んで、楽しいと思って頂きましたら このボタンをクリックして拍手応援・またはメッセージを送って下さると嬉しいです。らぶばなのブログ更新の励みになっておりますドキドキ。 こちらは非表示です。



メッセージ・ご意見は、記事の右下(なうで紹介・mixi チェック・ツイートする 各ボタンの下)に 「コメント」があるのでそこからお気軽にどうぞニコニコ。 



新連載がスタートしました。ケインは何を目撃したのでしょうね? ケインの登場ってあったかな? すごく新鮮なんですけど……(笑) 次回をお楽しみに♪