昨日、テレビで「東京家族」をやっていました。
山田洋次監督の作品です。

小津安二郎監督の1953年制作の日本映画「東京物語」をリメイクしたものです。
大都会、東京に対する地方として、「東京物語」では尾道、「東京家族」では、大崎上島町が舞台になっています。
どちらとも広島です。
「中国山地の山間(やまあい)にある」と言えば、「過疎の村」の枕詞(まくらことば)です。
中国地方とか広島とかが「田舎」を連想させるのかもしれませんね。
山田監督のお兄さんに私の妻が習ったそうで、ひょっとしたら、何か広島に対する思い入れがあるのかもしれません。

なかなか味のある映画でした。
映画のなかで橋爪功が「「故郷は寂しくなるばかり。この国はどこかで間違ってしまった。」という場面があります。

間違った、というよりも、時間とか効率をあまりに重視しすぎたでのではないか、と思っています。
首都である東京を中心にした、中央集権制、一極集中はすごく効率的です。
そして、豊かな生活を求めて、地方からたくさんの人が東京を目指して移動します。
2010年の国勢調査によると、首都圏にはわずか5年で広島市に匹敵する大都市が誕生したことになるそうです。
地方は人が減って疲弊するばかりです。

ただ、うれしい話題もあります。
芥川賞を受賞した、小山田浩子さんは、ずっと広島在住です。
150回の歴史の中で、広島出身の作家は初めてだそうです。
子育て中のため、東京会館での授賞式を欠席しました。
候補者となった作家は都内で待機するのが通例なので、かなり珍しいです。
日本総合研究所の都道府県別幸福度調査によると、文化分野で第一位は東京だそうです。
(当然ですね。)
あまり文化には恵まれていない地方都市の広島で、新しい作家が生まれたことは喜ばしいことです。

受賞作は「穴」ですが、読んでみようと思います。
若い頃、「穴があったら入れたい。」と男たちで言っていました。