“プラス思考”の落とし穴 | Peanuts & Crackerjack

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ピーナッツとクラッカージャック-20090906

ピーナッツとクラッカージャック-sl090906

さて、今日はキャプテンのこんなコトバから。

09年09月05日 19:54:11 前向きに。

昨日のサヨナラ負けに続き今日は大量失点で連敗。
怪我人も出てるし、チームとしては決していい状態じゃないけど
3位の楽天も連敗してるのでそれはプラスに考えてとにかく明日頑張るしかない!
物事はいい方向に考えないとなかなか変わっていかないので前向きに!

(※ 赤田将吾選手のブログ“侍魂”より引用)


この考え方が一般的にいうところの“プラス思考”ですよね。

この思考はなかなか思うような結果がついてこないときに
それをひきずって悩んで落ち込んでもしょうがない、

だからそんな弱い心は自分の中から追い出して
今の自分の状況の比較的好結果な部分で心を満たし
状況が、結果が好転していくことを願い、待とうという
いわばひとつの“対症療法”に分類されるもの。

アスリートといわれるスポーツ選手たちは
よくこの考え方を持っていてコトバにしていますが

実はこの思考方式はもちろんとっても現実に即している
1つの素晴らしい考え方ではあるものの

ひとが問題を抱えている時には
それだけでは片手落ちであり、むしろ逆効果で
負のスパイラル的にますます問題が深刻化するだけとなります。

自分自身が問題を抱えてはいないのなら
このプラス思考は素晴らしく効果的な思考方法なのです。

つまりどれだけチームがひどい成績を残している時期でも
自分の成績は特にそれほど落ちこんでもいないのならば
チームの成績なんてこころから追い出してうまく受け流し
ひたすら自分のしごとに徹すればいいのです。

ですから、赤田選手は自分自身が今
問題を抱えていないとの認識ならば
その“プラス思考”でまったく問題ないのです。

しかし、今客観的に見ても明らかに問題を抱えている
ライオンズのリリーフ投手たちひとりひとりは
そんなプラス思考だけではまず問題を解決することができず
いつまでたっても同じ失敗を繰り返すでしょう。

つまりは自分が問題を抱えているのなら
もちろん問題解決には時間も苦労も多くかかるでしょうから
"Hakuna Matata" 的な対症療法も欠かせないことも確かですが

同時にその問題に正面から取り組みその正体をじっくり見極め
時間をかけ様々な工夫と試行錯誤で少しずつ解決を図るという
原因療法も絶対に避けて通れないことも同じように確か。

そう、つまりは自分が問題を抱えているかどうかが
一番の分水嶺なのですから

重要なのは自分が今自分の思うような結果を出せず
望むような状況に恵まれていないということではなく

自分の中に振り払うことのできないほど大きな
恐怖が育ってしまっているかどうかなのです。

恐怖がこころを支配しているならば
プラス思考だけに頼ることは

それこそ“恐怖について考えること”まで恐怖し
問題から目をそらし現実を直視せず、
ついには肥大化した恐怖が自分の体を支配するようになり
どんどん精神的に脆くなっていく。

リリーフ陣の投手たちについて考えてみましょう。

問題は四球を与えること、痛打されることではなく
四球を与えることへの、そして打たれることへの恐怖が
もう無視できないほど心を支配しつつあるのだということ。

もうプラス思考だけでは解決できない自分自身の
重要な問題であるという認識をじゅうぶん持っているのか、

そして正面から向き合う時間を作り
その正体を明確かつ具体的にとらえようと
自分なりに文字にしてみるなどの工夫はあるのか。

見ている限りでは彼らが戦っていると認識している相手は
いつまでたっても本当の相手の“自分の中の恐怖”ではなく
四球であり、打たれることであり、失点であるようですね。

しかし、そんな“結果”は
自分のコントロールできないものであるということを
はやく冷静にわりきってほしいものです。

自分がコントロールできるのは自分が自分の中に作りあげた
“悪い結果への恐怖”だけなのです。

メンタルの強いひととは恐怖について考えないひとや
恐怖を気にしないひとではないのです。

そんなひとはたとえ才能や運で一時的に
素晴らしい結果を残すことがあっても
必ず訪れるスランプで壁にぶつかり結果を残せなくなります。

まずは自分の中に“恐怖心”という弱さがあり
それが今無視できないほど大きく育ちつつあることを
目をそらすことなく自分で認めてあげること。

そうやって正面から問題を明確に具体的に把握することから
すべては始まります。

恐怖心を持つことは恥ずかしいことでも
プロにあるまじきこころの持ちようでもないのです。

むしろトップ・レベルの能力ががっぷり四つにぶつかりあう

そんな素晴らしいフィールドだからこそ

どんなにタフなひとでも恐怖を抱き、それを認めながら
うまくつきあっていく、そんなものなのです。

恐怖に恐怖しものごとをただただ悪化させるだけ、
そんな“プラス思考”の落とし穴にはまり込まないよう

早く自分自身で問題の核心に正面から向かい合い
自分の言語でそれを把握する工夫を継続していってください。



Hakuna Matata !