時折、埋没法による二重まぶたの糸をとって下さい!
という方がおられます。

もともと、
目立ちにくいように、糸を皮下に埋没させている手術なので、
取りにくいのが当たり前なのですが・・・・

今日受診された方は、
17年前に他院で、埋没法による二重まぶたをされた方ですが、
まぶたのしこりが気になり、
埋没糸を抜去したいということでした。
拝見すると、
右上瞼に小さなしこりが2つあります。
それが気になるようなので糸を取ることにしました。
ただ、他院での手術でもあり、
使われた糸と結びかたが不明なので
時間がかかることや
抜去できない可能性もあることをお伝えしました。



さて、
埋没糸の糸を抜去する手術ですが、

糸の結び目がしこりを作っている時は、
そのしこりの直上を
No11のメスで小さく穴をあけ、
マイクロ摂子2つを使って、
透明~青~黒の8-0ナイロン糸の結び目を探します。

この時は、ほじくり出すという表現がぴったりです。


ほじくって糸を探すときに、
埋没糸がループ状だったら探しやすいけれど、点状だったら悲劇的です。
そして、
埋没糸が青や黒色だったらまだしも、透明な場合は非常に困難です。

それでも、うまくいけば簡単に摘出できる場合もありますが、

他院で行っている場合は、
患者さんもどのような糸を使っているか?
どういう結び方を行っているかをご存じないかたがほとんどです。
おそらく、
埋没法の説明は行っても、黒色のナイロン糸を使うとか、
透明な糸を使うとかまでは説明しないでしょうね。



さてさて、
抜糸を始めましたが、糸が見つかりません。





やっとのことで1本を抜糸しました。
見つけにくいはずです!
透明なナイロン糸が使ってありました。




$博多美彩人・com

拡大しています。




その後、
2本目も抜糸することができましたが、
細い透明な糸なので難儀しました。

私の場合は黒い8-0ナイロン糸を使っていますから、
糸を確認しやすいのですが、透明な糸ではね。

糸がまぶたから透けて見えないようにとの配慮でしょうが、
しこりを作ってしまっては同じです。
この患者さんもしこりを気にされて受診されたのですから。

人間の体は、
異物を外に出そうとする防御反応がありますから、
異物となるものの周囲に炎症を起こします。
それがしこりとなるのです。

異物となるものは
体のなかに入れないか吸収性のものにするかがいいのでしょう。
しかし、埋没法による重瞼術では
糸が吸収されると二重が消えてしまいます。

悩ましいですね。

糸を最小限にするとラインが消えやすく、
抜糸する時には難しくなるのです。


まあ、
この患者さんは
無事目的を果たされて帰られましたが、

17年も経っていると難しいものです。