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2016-11-28 18:32:52

「さびしさとうれしさが入り混じった気持ち」

テーマ:ベトナムの農家さんたちとともに

こんにちは、スタッフの正治です。

 

先日、いつもとてもお世話になっている方から「正治くんはシティボーイやからな」といわれ、いっさいシティボーイ感のない野暮ったい見た目にもかかわらず「そうか、わたしはシティボーイだったんだな」とストンと納得したことがありました。

 

というのも「シティボーイ」という言葉に、ついこのあいだまでベトナム・フエに出張していたときのモヤモヤした気持ちの「正体」を見た思いがしたからです。

 

今回のベトナム出張でわたしは自分が「シティボーイ」であることをつくづく自覚させられました。そして自分が「シティボーイ」であることは、もう本当にどうしようもないことだと痛感しました。


ですが、一方でこの“どうしようもなさ”を深く自覚することが、この活動の大事な部分かもしれないとも思いました。というか、この“どうしようもなさ”の自覚にしか、わたしの存在意義はない。そしてその自覚があるからこそ、社会に訴えられるものがあるのではないか――。フエの農家さんのすごさを目の当たりにしてそんなことを思いました。今回はそんな記事です。

 

「シティボーイ」を意訳すれば「都市に生活する幼稚なやつ」です。わたしは“都市の幼稚なやつ”で、それはもう骨の髄からそうなのでした。コレはこれからのわたしという人間のスタンスになると思います(誰がそんなやつの話を聴きたいのか? だけどそこから出発することしかわたしにはもうできないのです!!)

 

幼稚さとはこの場合なんでしょうか。それはもちろん農家さんに比べて習熟していないということです。何が習熟していないのか。それはもう“アスファルトの地面”と“耕された畑”くらい違います。何が違うのか? それは言葉にすれば簡単になりますが「感覚」です。身の回りの空気、熱、生きもの、匂い、風、などなど、それらすべてを感じる「感性」です。

 

 

なんでこんなに生きものがいるのだろう――農家さんを訪問中、そればかりに感嘆させられました。

 

小さな家の中に犬猫が何匹も歩き回っています。我々はついバイオガスダイジェスターを設置している豚小屋だけを注目しがちですが、それはあまりにも事業のことしか見えてなかったかも、と反省しました。フエの農家さんには豚以外にも動物がいる。こじんまりとした空間に、鶏、アヒル、鳩もいます。もちろん飼育している種類や数は農家によりますが、豚だけを飼育している農家さんはまずいません。必ずいろいろな動物がいます。動物ばかりではありません。植物も虫もいます。「農家なんだからあたり前だろ!」と言われるかもしれません(くり返しますが“都市に住む幼稚なやつ”なので勘弁してください)。

ですが、どうなんでしょう。本当に農家さんにはこんなにもたくさん生きものがいるものなんでしょうか?? なぜかわたしは今知ったような気持ちになったんですよ!!!(居直りました)

 

 

きれいな花をつけた植物、木から落ちて腐った果物にたかるアリ、ハエ、生い茂る大きな緑の葉、寝転がる犬と猫、飛んでくるトンボ、ほんの小さな庭にあるものだけでも何が何だか分からないほどたくさんの生きもので溢れかえっています。わたしはこれをひとつひとつ感じ取ることができない。名前も知らない。だけど農家さんは知っているし、それをひとつひとつ感じています。

そして、畑。収穫する作物はもちろんですが、作物以外の木や草、そして、いろんな虫たち。あるいは土のにおい、鳥の鳴き声、風の冷たさ、空気の湿り気、熱。それら一つ一つの情報が何かのサインとして農家さんには感じられていますが、わたしには分かりません。

 

日傘をさしながら長靴で泥のなかを歩いているとき、ふと顔を上げて向こうにある山並みを眺めながら、その「分からなさ」が、もうどうしようもないことのように感じられました。

 

しかし、不思議なことに、ぐちゃぐちゃと歩いているうちに、そうした無念さがやわらいでいくのです。

 

ほぐされていくような感覚。
無念さは変わらずある。だけど、それはそれとしてやわらいでいく。これはいったい何なのか。

 

わたしは農家の人ほどこの場所を感じることができない。わからない。だけど、そこにはとても豊かな世界があることだけは分かる。どこかでそのことを覚えている。忘れているだけで本当は知っている。……

 

 

これまでも何回も農家さんに訪問したことがあるのに、なぜ今回そんなことを感じたのか。それはいつも案内してくれるベテラン駐在員の方がたまたまいなかったせいかもしれません。そのため、私自身がいつもより前面に出て農家の方とコミュニケーションすることになりました。すると必然的にいろいろなことを感知するべく、目を凝らし、耳をそばだて、匂いをかぎ、植物や虫を手に取り、草や泥を踏み越え、お茶をのみ、あれこれ想像をめぐらすことになります。そうしたなかで「わたしには農家の方の暮らしの豊かさを十分に感じ取ることができない」という無念さとともに、「ある感情」がよみがえってくるのを感じたのです。

 

なつかしさ、悲しさ。忘れかけていた怒りのような感情です。

 

ある思い出がフラッシュバックして、目の前の活動の意味が「シティボーイ」のじぶんとつながりました。どうしようもない「都市の幼稚なやつ」だからこそ、祈るような気持ちでこの活動を見守ること(推進していくこと)ができるのだと自覚した瞬間でした。

 

 

思い出したこと。それはちょっと昔の話です。場所は東京郊外。


わたしの住んでいるマンションの隣は公園でした。だだっ広い原っぱでブランコとシーソーがぽつんぽつんと距離を置いて配置されていました。大きなけやきの木が広場の中心にあって、空高く茂っていました。桑の木に登って桑の実を詰んで食べたりしました。道を挟んだ生け垣の向こうは畑でした。決して広くない畑ですが、ネギや大根が植わっていました。椿や梅の花も見かけました。

 

そうした風景は全部なくなりました。1990年代です。正確には覚えていません。

 

公園は駐車場とコンテナが積まれた物置になり、畑はマンションと新築の住宅地になりました。子ども心にさびしくなったことを覚えています。

 

なにをどうすればあの風景を守ることができたのか。“いまは昔よりいいはず”と素朴に信じられなくなりました。確実につまらない風景が増えました。昔はまだなけなしの自然があった気がします。だけど虫も鳥も花も木も本当に見かけなくなりました。これはあまりにもよくある話で、誰もそんなに意識しません。だからこそ、さびしさはふとしたときに襲ってきます。そして、そのさびしさは誰とも共有できません。なけなしの慰めもない。ただ、さびしい。それだけです。

 

 

フエの農家もどんどん減っています。


タンさんの家からフーさんの家へ向かう途中、住宅地のとなりに大きな田んぼが広がっているのを見かけました。もうすぐなくなって住宅地が広がる予定だとスタッフから聞かされました。

 

経済が発展すると、市場にモノがどれだけ流通するかで値段が決まるため、大規模な農業が優位になります。インフラも整備され大量輸送が可能になると、ますます値段が下がります。小さな農家はひたすら儲からない。それだけの価値しかないのだ、となります。なので、都市は都市らしく、地方は地方らしく、分業すればよいとなる。それが近代の希望だったのかもしれません。そうして、近郊の緑の風景は、住宅地になり、駐車場になり、地元の野菜や肉は消えていきました。都市の発展にはよい面とわるい面があります。何をどう解決するべきなのか、正解はだれも知りません。BAJを含めていろいろな人が挑戦しています。

 

 

皆さまのご支援のおかげもあり、いまのところフエの直売所は大成功といえると思います。参加されている農家の方たちは口々に感謝の言葉を言ってくれます。実際に収入が向上して家を建て直した方たちもいます。


しかし、むせ返るような濃厚な生きものたちの空気を吸い込みながら、彼ら/彼女らの話を聞いていると、農家の方たちは地元の野菜や肉だけではなく、その土地の生きものや風景も守っているのだと分かります。

 

小さな土地かもしれませんが、農家さんはその場所に関して行政担当者も学者も知らない知見と感性を持った環境スペシャリストなのです。

 

 

「タンさんのお父さんお母さんも農家さんでしたか?」
「そうですね」
「いまと昔とくらべて農家さんはどれくらい減ったのですか?」
「すごく減りました。この周りは全部農家だった。だけど直売所の活動で収入は上がりました。バイオガスダイジェスターもとても役立っています。さびしさとうれしさが入り混じった気持ちですよ」

 

農家メンバーのタンさんとのやり取りです。「さびしさとうれしさが入り混じった気持ち」というのが、どんな気持ちなのか。わたしには分かりません。だけど、彼のさびしさは、わたしが子供のころ感じたさびしさと同じだと思いました。

 

 

さびしさはなくならない。だけどうれしさをなんとか増やすことができるのかもしれない。そうすれば「都市の幼稚なやつ」で終わらずに「都市の大人」になれるのかもしれない。
もしかしたら子どもの頃には想像できなかった解決策が、いまこの事業で実現できているのかもしれないと思うと、わたしもさびしさとうれしさが入り混じったような気持ちになったのでした。

 

幼稚なやつだと自覚しているからこそ、大人になりたいと願うのです。

 


正治
(シティボーイ宣言)

 

いまBAJは「冬募金」キャンペーン中です!
このような活動ができるのも皆さまのご寄付のおかげです。ありがとうございます。
どうかご支援のほどよろしくお願いいたします。

いま必要です http://www.baj-npo.org/Donation/Need/ 
 

 

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2016-11-09 00:00:00

BAJベトナム 現地スタッフ紹介 Part.4

テーマ:スタッフ・ボランティア

今日で、BAJベトナム現地スタッフ紹介も最後となりました。

今年9月から新しく加わったVyさんです。

 

Hoàng Thị Tường Vy(ホアン・ティ・トゥン・ビ)

直売所のベランダで、試験栽培している紫蘇とディルと一緒に。

 

1. 略歴を教えてください
フエ外国語大学日本文化学科で学び、

途中で1年間、茨城キリスト教大学文化交流学科に留学をして、

今年の7月にフエ外国語大学を卒業しました。

その後、フエで水引をつくる会社で勤めた後、今年の9月からBAJで働いています。

 

2. 担当している仕事
日本語とベトナム語の通訳と翻訳です。

 

3. 仕事をしていて面白いこと、将来について
大学で日本語を勉強したので、日本語を使う仕事をしたいと思っています。

また、現在、ベトナムでは毎日マスメディアで食品の保存料や農薬、豚肉の抗生物質など

について放送していて、フエだけでなくベトナム全体で深刻な問題になっていて、

私自身もとてもこの状況を心配していました。

そんな時、BAJが運営している安全な食料を販売している店で人を募集していることを知り、応募しました。


実際に働いてみて、通訳をする中で、安全な野菜を作ることが思っていたより

手間がかかり、お金もかかることがわかりました。

 

農家と一緒に堆肥混ぜる時には臭い臭いがしますが、

土が良くなると思えば、いい匂いと思えます。

BAJのスタッフは親切に仕事の内容を教えてくれるので、仕事がやりやすいです。


将来は、大学院でさらに勉強をしたいと思っています。

もっと将来には、時間が経って別の夢に変わっていた、

子どもの頃に野生のパパイヤの実を育てて、大きく美味しい実ができた時に

「農家になりたい」と思っていた夢をBAJで働いていたら思い出しましたので、

将来は有機栽培、F1の種を使わない在来種を蒔いて安全な作物を作る

農家になりたいです。

 

4. 仕事の難しいところ
BAJでは農業に関する仕事をしているので、農業の専門用語がたくさん出てきます。

野菜の名前やバイオガスダイジェスターなど、通訳・翻訳をするのに大変です。

でも、調べたり聞いたりしているうちに、言葉がたくさん増えてきました。

とてもいいと思っています。

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2016-11-02 00:00:00

BAJベトナム 現地スタッフ紹介 Part.3

テーマ:スタッフ・ボランティア

さて、ベトナム現地スタッフ紹介Part.3です。

今日は、今年から新しくメンバーに加わったTuanさんです。

 

Nguyễn Đức Minh Tuấn(グエン・ドゥック・ミン・トゥアン)

10月の堆肥、ボカシ肥などの作業予定表と一緒に。毎日作業しています。

 

1. 略歴を教えてください
フエ農業大学の森林学科を卒業した後、フエの森林業発展プロジェクトで仕事をしていました。今年の5月からBAJで働いています。

 

2. 担当している仕事
直売所に参加している農家メンバーの畑と、作物の栽培状況の確認のための

栽培日誌の確認や畑の地図の作成をしています。

また、ホーチミンやダナンなど遠方に直売所の商品を発送する際、

大きい氷を砕いて保冷剤を作るなどの冷蔵準備をしています。

その他、バイオガスダイジェスター設置や環境教育の補助をしています。

 

3. 仕事をしていて面白いこと
たくさんの農家と出会えることです。農家の家を度々訪問するので、

フエの道に詳しくなりました。

バイオガスダイジェスターの建設補助をしているうちに、つくり方が分かってきました。

家族が豚を飼っているので、将来、自分でバイオガスダイジェスターを建設したいです。

私は農業ではなく森林が専門ですが、BAJで働くうちに農業が好きになりました。

将来は、安全な野菜を作る農家になりたいと思っています。

 

4. 仕事の難しいところ
私は、英語や日本語などベトナム語以外の言葉が話せません。

そのため、日本から出張にくるBAJスタッフと話したいのですが、直接話しができません。

ですから、これから日本語を勉強したいと思っています。

まずは挨拶を覚えるのを頑張ります。
 

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