“酒づくりの仕込み”そのものは2月28日に終わって、
今は、造った酒のモロミを搾って、どんどん瓶に詰める作業が行われてる。
その詳細を説明すると長くなるので、また次の機会へ回すけど、
そんな中、製品づくりの仕事もある。
できた酒の瓶にラベルを貼って、カートン(箱)に入れたりする。
表では鶯が鳴いてる、新酒の旨い季節。
んで、
俺が今月まで季節労働者として勤めさせてもらってる蔵元で、
先日、『辛口純米酒』ってのが、江戸川区の明治屋(最寄の駅が判らん)に
一升瓶で60本出荷された。
日本酒度プラス10度以上(アルコール度数は普通の日本酒と同じ)で、
この酒も非常に珍しい。
純米でそれほどまでにキレのあるスッキリとした辛さを実現できるのは、
寒冷地で仕込まれた酒といえど、なかなかない。
おそらく、東北地域で何件かの蔵元でしか造ってない・といわれている。
貴重品。限定品。(価格は2千円ちょっと。 安い! )
簡単にいうと、
冬場の短期間に仕込まれる日本酒という物は、
仕込みタンクの中でモロミと呼ばれる状態で、
酒米に特殊な酵母が加えられたものが水と温度の調節で発酵してできるんだけど、
その経過の際、糖度がアルコール分に変化する。
仕込みタンクの中に、より長く置かれるほど、辛口になってゆく。
とくに、純米酒などは醸造用アルコールを加えない完全無添加なので、
仕込み中も常に、その保存状態等に神経を使う。
決して簡単に造れる代物ではない。
子供騙しの発泡酒やチューハイはともかく、
日本酒(地酒)に限らず、酒という嗜好品は飲む人の価値観や
飲む時期や場所の雰囲気にもよると思うけど、
ブランドがウンヌン以前に、
品質の高い酒米(山田錦など)で造られた吟醸酒ばかりが高級酒とは限らない。
確かに、4合瓶(720ml)で¥5,000とかする酒も旨いには美味い。
でも、そういう酒がすべてではない・と思う。
それは、ワインやウィスキーにしても同じで、
雑誌やテレビで紹介されているモノばかりが一流ではない。
これだけ溢れかえるほどの情報が巷に氾濫する中、
価格や銘柄に拘らず、
それが本物かどうか、
自分自身の眼と舌で確かめてこそ、価値が判る。
ただ、本当に質の高いモノは、なかなか手に入らなくなっちまったけどな。
酒に限らず、今はもう、マガイモノが多くて…。
で、今日、酒が好きな読者のみなさんにお勧めする『辛口純米酒』。
わけあって、画像や銘柄の公開は控えるけど、
俺も今、蔵元で買ってきて呑んでる。
旨い。
グラスに注いで、こんなに透き通ってるのに、
その芳醇な香りとキリっとした辛さは、ヤミツキになる。
肴は小佐渡山脈で採ってきた山菜だ。
質素だけど、こんな贅沢は都会では味わえない。(自慢。 …たまにはいいだろ、許せ。)
じゃぁね。