どうする? | “Mind Resolve” ~ この国の人間の心が どこまでも晴れわたる空のように澄みきる日は もう訪れないのだろうか‥

2005-10-01 05:01:30 の記事より   
   
今年の分の稲刈りは終った。
去年は台風の影響で雨風に叩かれ、
稲が全部 泥の上へ寝てしまっていた田んぼが多かった。
必要以上に水分を含んで泥の中に埋もれてしまった量も多い。
強風が島の周りの潮風を逆立てた結果、
塩害で稲の生長が止まってしまい、
実りの悪い状態の田んぼも多かった。
稲穂が枯れ草のようになってモミの中に米はない。
ペシャンコになった稲穂に
「クタバレ!」
と云わんばかりに秋風も叩きつける。
頼りない稲穂には蜻蛉も止まろうとはしないほど・・・。
そういう米は刈ってみても引き取り手もなく、
一年をかけての苦労がゴミを生産しただけに終ってしまうようなもんだ。
首を吊って死んだ人もいた。
なんとか出荷できる分を確保した高齢者農家の米を盗む奴もいた。
跡継ぎがいなければ、今回の代で稲作を止めるつもりの農家もいる。
あまった土地を買い取るのか、借りるのか、
企業が作る稲作も始まってきた。
   
今年は、前半に農家を悩ませた日照り、水不足の被害を乗り越えて、
各地の米の生産量も例年より多いかも知れない。
日本全体で昨年の収穫量より多ければ、
国は減反を実施する。
備蓄米として各地に余っている古米、古々米をどうするのか?
10年ほど前の米不足の前の年は捨てられていたらしい。
今もそうなのか?
みんなで せっかく 汗水流して造った米を捨てる。
   
そんなことをやっていて、ホワイト・バンドを腕に飾ることが流行っている
おかしな世の中になっちまった。
   
   
   
俺が稲刈りに出かけた28日。その日、
9月27日付けで哲也さんのサイトが更新されていた。
”たわ言”のコーナーで、ジョー・コッカーの話をしてた。
あのクワガタには、梨を食べさせてるって書いてあった。
富士山へ登る話もあった。曲がりくねった道をくねくねと登りたいって。
   
俺が芝居の勉強をしてた頃、
ジョー・コッカーがボブ・ディランの曲をカヴァーした
wactching the river flow ”(邦題:川の流れを見つめて)、よく聴いてた。
その他に確か、”Aginst The Wind ”っていう曲だったか、
たぶん ジョー・コッカーだったと思うんだけど・・・違ったかな? 記憶が定かでない。
なんせ、”ストーンズ ONLY ”の時期が長かったので、
他にもいろいろ聴いていたアーティストは、ほとんど忘れてしまった。
・・・いい加減なヤツ。
   
哲也さんは、我々にわかりやすく、ジョー・コッカーの存在を日本人でいうところの
上田正樹 さんだと云っていたが、
それも凄まじいタトエだ。
俺もそんなに聴き込んだわけじゃないけど、
世間一般では「愛と青春の旅立ち」のテーマ曲を歌ってた人と云えば
知ってる人もいるかも知れない。リチャード・ギアの主演した、あの映画。
ティファニー・ブラスとかなんとかいう女の人とデュエットしてた。
・・・云われてみると確かにガラガラに嗄れた声は
『悲しい色やね』に似てるかも知れない。

   
上田正樹さんてのは恐ろしい人で、
もともとは ああゆう渋い声じゃなかったらしい。
何かして喉を焼いている。
ブルースを愛するがゆえにやってしまった。
で、医者に、「あなた、声を失うところでしたよ」とか怒られたらしい。
哲也さんの『You Are The Rain 』がシングルカットされた年、
『東京エキスプレス』っていう曲を上田正樹さんがシングル・リリースしてた。
そのころ既に、『悲しい色やね』も歌っていた。
でも本当に世間が、あのハスキーボイスに注目して売れたのは、
もっとずっとあとだった。
   
まだきっとやってると思うけど、
BOROやリリィ、柳ジョージ、もんたよしのり・・・
って名前はどこへ行っちまったのか?
昼間のラジオでも ちっとも出てこないし、テレビなんて、
あの当時のように”魂を揺さぶる歌番組”なんて作りもしない。
せいぜい、心に響くっていう歌番組はNHKの『のど自慢』くらいなもんだ。
俺がテレビ、観てないだけなのか?
やってないだろ、実際に。
もっとも数字を追い回すことだけしか考えてない連中だ。
できるわけないよな。
   

 

   
かつて、ブルース・スプリングスティーンが、
まだ人気が頂点に達するちょっと前の時期、
ギターとハモニカだけでカセット・テープに吹き込んだ自分の歌を
あとでなんとかしようと思ったのか、
そのまま穿いていたジーンズのケツのポケットへ突っ込んだまま、
友達と酒を呑んだり、何日もそのままにしてたらしい。
いわゆるデモ・テープだ。
ミュージシャンていう人は、そういうのをいっぱい持ってる人もいると思う。
で、B・スプリングスティーンの場合、
それを誰かに聴かせたのか、自分で編集し直したのか、
ほとんどそのままの状態で一枚のアルバムとして発表した。
それが『ネブラスカ』だった。

ブルース・スプリングスティーン
ネブラスカ (1982)

それまで、シャッフルだのブギだの、ガチャガチャとロックを演ってて、
次にそれを期待した日本のファンの連中は、
自分の小遣いで そのLPレコードを買って、まず、A面に針を落とす。
「?」
で、次は、ひっくり返してB面。
でも、どっからどこを回してみても、ドラムの音もなければエレキのうねりもない。
アコースティック・ギターとハーモニカと声だけだ。
「こりゃ、なんだ?」ってことで、
世の中の流行は、プログレッシブからへヴィ・メタルへ走ってしまった。
イーグルスが解散して10年くらいの時期だった。
そういう、”洋楽”の混沌とした時代があった。
そりゃそうだ。その当時の日本の若者に、
「古き良き時代のアメリカ」だとか
「苦悩するアメリカ社会の現状」なんて、どうでもよかった。
そんな歌を好んで聴くよりも、ほとんどの連中が、
インベーダーゲームの点を競い合ってた飽食の時代だ。
   
で、今その若者が成人して、結婚して、子供がいる人も・いない人もいる。
その子供達には、まだ飽食の時代を味合わせようと
必死になって働いてる親もいる。
俺たちの世代だ。今の、30代、40代。
これが本当に、今の こんなになっちまった日本を建て直しできる世代なのか?
俺には いっぱい疑問がある。
年間、数万人もの自殺者。
これからもどんどん増える。
親も学校も、もう何も教えようがないほど、子供の頭は利口になってる。
それでもまだ勉強させて
学力をあげようと考える親、教師、教育委員会、文部科学省、政府。
一体、どんな国がつくりてぇんだよ。
   
   
9月29日の日付で、哲也さんのページも、また更新されてた。
クワガタは死んでしまったらしい。
「梨とかスイカとか、そういう物をエサにすると、
水分 摂りすぎて身体が冷えちまって弱っちゃうんですよ」って、
誰かが教えてあげてもよかったかも知れないけど、
今になってはもう遅い。季節も季節だし。
で、それはそれで悲しいことなんだけど、
哲也さんの最後の一言。
「俺はまだ動き生きている。可能性という残酷な力を残して・・」
   
・・・う~ん。
俺、今日(10月1日)から、酒の仕込みの手伝いに入るんだけど、
その仕事って、寒くなってくると、もう言葉にならないほどキツイ部分もある。
あんまり身体を鍛えてない自分にも問題あるかも知れないけど。
でもその仕事をやってて、一つ二つ確信を持って云えることは、
カネのために働くわけじゃなく(カネも大事だけど)、
杜氏さんと頭の下で働くことで、
常に酒という”生き物”と向かい合って、
自分自身を成長させる目標ってのがある。
最終的には自分で自分をどうにかしなきゃならない。
常にそういう崖っぷちにいないと、
俺のようなダラシない人間は何も変わっていかない気がする。
ある意味、すごい弱い人間な俺がいる。
それを俺なりの手段で成長させ続けなきゃなんないわけ。
それは、努力を惜しまないとか、頑張るってことじゃない。
いま自分が何がやりてぇのかってことだ。
   
自分の中身を歌い続けて、どこまでも成長し続ける哲也さんのように
なりたいとも思う。
でも俺は俺の人生の中で、まだ清算・・・ケリをつけてない部分が ちょっとだけあって、
それでも最近は(ここ数日は)、ネットを通してだけど、
随分と色んなことを教えてもらって、
頭の中がいくらか柔軟になってきた。・・・気がする。
で、本心を隠せば隠すほど
自分から逃げ続けることになっちまうってこともハッキリしてきた。
   
今後、自分がどうなるのか。
そして自分の子供が、どんな世の中に生きて、生かされて行くのか。
そこには不安もいっぱいある。
期待もあるけど、今の俺には不安の方が多くて仕方ない。
「どうすりゃいいんだ?」って、
常に叫び声をあげたいくらいに。
   
本当にどこへも逃げられなくなったとき、
人間てどうするのか?
見たくないけど、見てみたい気もする。
・・・まずは自分からな。
   
生長する樹木
を聴きながら、そんなことを思う俺。
今年の仕込み、初日の仕事へ行ってきます。

 

   
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