崖縁にいる悚悸       | “Mind Resolve” ~ この国の人間の心が どこまでも晴れわたる空のように澄みきる日は もう訪れないのだろうか‥

 
 
     崖縁にいる悚悸
     
     
 草木が芽を出し 花を咲せ実を結ぶ… その葉が鮮やかに生茂ることを続ける間に
一つ一つの教育による賊害…人の造った思想 宗教 学問の枠の中から現る毒が
                 その草を その樹を 悉く根元まで枯らせることもある
        まるで すべての儚い命が荒野の果ての崖縁にあるかの如く……
                 陽が没み 夜が訪れ そしてまた朝を迎えるまでに
     そこに僅かにも そよと吹き抜ける冷たい風が つい昨日 さっきまで
        何の変化も無かった場所を 大きく 大きく削り去ることになる
           時に その破壊は 一人 人間の目には判らぬように
         また その一つの手の平にも満たぬほど小さき場所に
    何千何万といる微生物が一瞬にして死滅するほどの速さで
                      地上から空へ 空から海へ
                 生命の生くる場所が変貌して行く
    
    
その艷の変り方 匂いの変り方は
 いつしか遙くより観た景色の中に はっきりと視えてくる
  そしてその光の翳りに 
   森や街の霞みに 
    眼を凝した時
     幻影の如く映る陽の流れに衡わる 
      そこで 肉体と心は別々になって逝く
       やがて星が瞬き 地が冷めた蕭寥の中でも 
        息ひとつなき屍が そよと吹く風にも浄められることはない
         なぜなら
          その心が果すべく与えられし生くる目的は
           肉体がなければ達し得ない ----------------
                                   
            己の肉体のあるうち 与えられた義務を遂行せよ
 
 
 
 
                               taken from “BAD LIFE
 
 
 
 
                     95'june10th , 96'april7th & september1st