手術後二日目 | 明日への轍

明日への轍

齢五十を過ぎて、ある日大腸がんが見つかる。
手術から回復したと思った一年後、肝臓と肺へがんが転移。
更に続くがんとの付き合いを記録します。

担当医師に聞いてみた。

私:「先生、手術時間が予定より掛かったようですが、何か予定と違う事があった為でしょうか。」
T医師:「いや、予定が四時間ぐらいでしたが四時間五十分ほど、つまり一時間ほど余計に掛かりました。でも、今回の腫瘍が大きかったんで周りを丁寧に取りきるのに時間が掛かっただけですよ。ほぼ、予定通りです。ご安心ください。」

主治医と比べれば、まだ話しやすいT医師。色々詳しくも聞けそうな医師である。
聞いて、また、少し安心した。


今日は昨日と比べて朝からお腹が痛い。
ズッシリと来る痛みに加えて、きりきりくる痛みもある。
堪らず看護師に訴える。

原因は背中からの麻酔の量を減らしているからだと言われた。
結構強い麻酔を使っているため最初は痛みを感じないが、中毒性がある。
だから徐々に減らすのだそうだ。
しかし人により感じかたはそれぞれだから、痛みを感じるならもう少し継続しますとのこと。

もう少し痛みが弱いなら我慢の仕様もあるが、とても我慢できそうにない痛みだった。
麻酔で押さえていただけで、本来はまだまだ痛いんだと実感した。
お陰で頑張って直ぐにでも退院出来そうな勢いがいきなりしぼんでしまった。
再度背中からの麻酔を強くしてもらい、今日も二回フロアを一周した。

少しでも早めに歩いたりすれば大腸の動きが活発になって良い結果となると言われていた。
それなら麻酔が効いている時に少しでも歩いておこうと思った。
ふらついたり目眩がするような事はなかった。

だが、正直言ってこんなにキリキリ痛いと、とてもじゃないが何も出来ない。
それがまだまだ続くと思うと暗くなった。
結局、ただ麻酔が効いていただけの状況を都合の良いほうにばかり期待して居ただけである。

この日の夜も最悪だった。
まずぜんぜん眠れない。おなかの痛いのは麻酔で誤魔化していたけれども、今度は腰である。
三日間、フロアをヨタヨタ歩く以外はずっと寝たままだった。
同じ姿勢ではずっと寝られない。
でも、寝返りを打つと腰が痛い。それに手術した大腸にも影響があるような気がした。
午前零時に看護師に点滴での睡眠剤をお願いしてようやく寝れるかと思った。
結局二時間して目が覚めた。
そしてまた眠れない・腰が痛いが続いた。
辛かった。