えぇ、まぁ、そりゃあね。
人間、だれだって失敗はするよね。でね、その、アレよ。私も、やってしまったわけですよ。よりにもよってサークルの新歓飲み会で!
うぁーん!思い出すだけで恥ずかしくて死にそう!
私は、大学入学まで真面目優等生人生を爆走してきた。お酒を飲みたいなぁ、って思ってはいても、表面上は「身体に悪いってわかってるのに、お酒を飲んだり煙草を吸ったりするなんてよくないよ」っていいこぶってたわけ。
で、飲んだことがないからペースや加減を知らなかったおバカな私は、先輩がたに勧められるがまま、料理をたいらげるギャル曽根よろしくグラスを空けていった(らしい。情けないことに、記憶がスッポリ抜け落ちてるんだ・・・)。かわいたスポンジのようにアルコールを吸収した私は、先輩二人に抱えられトイレにかけこもること30分強。視界がマーブル模様に歪んでいたことだけは、ぼんやり覚えてる。
あれ以来、私はありがたくない酒乱ネタでしょっちゅうおちょくられるハメになっちゃった。初めて膳場先輩から話しかけられたときも、やっぱりあのネタ。「あの後、大丈夫だったのか?相当ひどかったけど」だって。
私、どうしてもっと大人っぽくスマートに行動できないのかなぁ。同い年なのに、歩美は一挙手一投足が落ち着いている。陽子は体育会系らしく、男の子みたいに動きにムダがない。香枝は女の子らしい気配りをいつも忘れない。
はぁ。 私だけ、すっごく子供。
「長澤さん」 と、イジイジ・ワールドに落ちかけていた私を、佐伯君の一声が引っ張りあげた。
「はいっ?」 で、例によって、私の声は裏返る・・・
「今日の飲み会、行く?」
佐伯君って、おでこの形、きれいだなぁ。私は彼を見上げて、ふとそんなことを思った。
やっぱり、佐伯君は髪を上げて、おだんごに結んでいるべきだよ。ワカメ君状態より三倍はスッキリかっこよく見える。
「うん、行くよ」 と、私はとっさに答えてしまった。
「そっか」 と、佐伯君。「じゃあ、俺も行こ」
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25時叙情歌シリーズ
完結済みBambi 173
↑小話①鋼鉄のカーテン に実夏が登場しています♪