処女膜の適正価格はあるのか? | 世界一小さい新聞

処女膜の適正価格はあるのか?

『韓国人のしくみ』(小倉紀蔵著・講談社)という新書を読んでいたら、
面白い判決記事が引用されていた。少し長いが書き写してみよう。


韓国の判決


(引用はじめ)


ソウル民事地法合議十五部は二十四日、未婚の梁某氏(四十/会社員)が検診中に処女膜が破裂したとして財団法人韓国医学研究所を相手にした損害賠償請求訴訟にて、『被告研究所は、処女膜喪失に対する慰謝料など五百万ウォンを支給せよ』という、原告の一部勝訴判決を下した。


問題の発端は、昨年五月、職場にて団体で健康診断専門機関である韓国医学研究所による子宮癌検査を受けてから。検査後、急に局部からの出血と嘔吐症状を感じた梁氏は産婦人科に行ったところ、四十年間守ってきた処女膜が破裂したという青天の霹靂(?)のような診断を受けた。その後処女膜損傷による甚だしい精神的衝撃によって憂鬱症と対人忌避症に苦しんできた梁氏は、昨年十月、『たとえ結婚はしていない身であるが、処女性を命と同等に大切に守ってきた』として韓国医学研究所を相手に七千五百万ウォンを払えという訴訟を起こした。


異色な事件を担当した裁判部は(中略)、両者の円満な合意を誘導してみたが、梁氏の頑強な拒否によって霧散した。裁判部は判決文で、(中略)『処女膜は激烈な運動などによっても破裂する危険性があるだけでなく、原告の場合は性接触や性暴行を受けたものではないので女性としての純潔と貞操を喪失した場合とは異なる』として当初の請求額にずっと及ばない程度に賠償額を定めることになった理由を明らかにした」(『中央日報』一九九四年八月二十四日付)


(引用終わり)


ソウルの裁判官は、このちょっと例を見ない賠償請求事件にさぞかし驚いたことだろう。


韓国は「孝」を基本とした儒教社会。

未だ男尊女卑が根強く残っており、女性には貞操観念が求められる。


社会の中で自分にとって最も価値があるものは、
貞操観念と純潔を象徴する「処女膜」であると信じてきたからこそ、
原告の梁(ヤン)さんは、処女膜を破損されて精神的打撃を受け、
鬱状態に陥ったわけだ。


これはまぎれもなく、男社会の価値に縛られた女性の悲劇と言える。


すでに儒教社会から脱皮した日本社会では、
女子高校生の性体験率が5割を超えていると言われ、


   40歳にもなって、Hをしないなんて、恥じゃん。
   これって、男の人から女性だと認められてないって、
   カッコワルイよね。


と、彼女たちの口さがない声が聞こえてきそうだ。

そして、一方で、


   大事にしてきた身体の一部が壊されたわけで、
   それが自分の人生でもっともかけがえの無いものであるから、
   裁判所は彼女の気持ちを汲んで、最大限、
   賠償するように命じてあげればよかった。


と、梁さんに同情する人も私の知人の中にはいる。


(つづく)