ベンツは知っている | 世界一小さい新聞

ベンツは知っている

その日は、お肉の安売りデーだった。


お買い得の人気庶民派スーパーのレジで、
私と妻の後ろに並んだ夫婦が、カート2杯分のものすごい量の牛肉パックを
レジに通そうとしているのを目撃した。


牛肉のパックは安い肉である。
奥さんの方に見覚えがあったので、
どうしてこんなに大量の安い肉をと訝しく思った妻が、


   ねえ、どうするんだろうね


と、言った。


翌週の同じ曜日、私は駅前近くのドラッグストアへ
トイレットペーパーを買いに立ち寄った時、
筋向いの定休日のステーキハウスのちょっと先に、
ベンツが止まったのに気づいた。


そのまま何気なく見ていると、先日の奥さんが降りてきて、
その後に続いて降りてきたご主人と二人で、
車内から大きな袋をいくつもを店の中に運び始めた。


袋は間違いなくあの庶民派スーパーバッグだ。


この店は隣接する肉屋さんが直営しているお店で、
ステーキとしゃぶしゃぶが売り物。
店先でこのお店の奥さんが、
お客さんを送り出したりしているのを時々見かける。


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(写真:牛もも肉)


店では7000円近い価格で食べ放題のしゃぶしゃぶや、
高級松坂牛を使った最高級のステーキがおいしいという評判だ。
土、日は家族連れでにぎわう。

今朝ウエッブ版の報道を見ていたら、
岐阜県養老町のある食肉卸売会社が、
等級の低い肉質の牛肉をブランド和牛「飛騨肉」と偽って、
自社販売店で売っている疑いがでているとあった。


私はすでにベンツで仕入れに出かけた奥さんが買った庶民派スーパーで
「高級松坂牛」が販売されていないのを確認してある。


   なぜわざわざ自分のところで高級牛肉を売っているのに、
   安売りスーパーで仕入れるのか?


これが謎だった。


   定休日なら使用人もいない。
   もしや、あの大量仕入れの安肉が・・・?


言うまでもなく、客は、高級牛肉を扱うお肉やさんが
直営するステーキ店だと思うから、訪れるのである。


安い牛肉を自分の店で売るのではノレンにキズがつくと思っているのだろう。


しかし、こうしたやり方は一種の「羊頭狗肉」と言っていいか。
今朝のニュースの疑惑は、


   ああ、またアノ手の話だ


と、慣れた感覚で受け取ってしまった。


(追加)
庶民派スーパーとステーキ店間には1キロの距離があります。


●「今日のポイント」制は不評につきお終い。