私の父は昔、噺家になりたかったらしく、私が小さい頃はよく話を聞かせてくれました。
『じゅげむ』は印象にのこっている話の1つ
図書館で夫が表紙をみて一言『なにこれ』夫は寿限無をしらなかったのです。
『えーおもしろいんだよこれ』夫に見せるために借りてきました
定価:¥ 1.200+税
出版日:2004/09
出版社:ほるぷ出版
イラスト:工藤ノリコ
作者:齋藤孝
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あるところに、それは長い名前の男の子がおりました。
その子の名前は、
寿限無寿限無 五劫のすりきれ
海砂利水魚の 水行末
雲来末、 風来末
食う寝るところに住むところ
やぶらこうじのぶらこうじ
パイポパイポ
パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの
長久命の長介
と言いました。(以下 寿限無)
ある日のこと、寿限無になぐられて、頭にこぶができたと、わあわあ泣きながら言いつけにきた子がいました。
その子も、言いつけられた寿限無の母親も、父親も、みんな寿限無の名前を最後まできちんと言うものですから
『金坊、どれ、みせてみな、あたまを……なーんだ、こぶなんざあねえじゃねえか』
『あんまり長い名前だから、こぶがひっこんじゃった』(これオチ!)
寿限無のお話は本当はもうチョット長くて、息子にすごく良い名前を付けたいとお父さんが和尚さんに相談にいくくだりがあったり、それでお父さんが提案された名前をぜんぶくっつけちゃったり
それで寿限無はあんなに名前が長くなっちゃったんですよね。
私が父に聞いた結末は、皮肉もこめられた少し怖い展開のお話だったのですが(私に初対面の人には読めない名前をつけた父、が話すっていうのもミソでした)(名前のせいで病院で危ない目にもあいましたしね……)
最近は『名前が長すぎてコブがひっこんだ』がオチに使われているそうです
さて、どうでしょう。寿限無の響き。
けっこうキャッチーな名前だと思うのですけど。
父にはじめて話をきいた日から、この名前を暗唱するのが目標になりました。
覚えるのがすごく楽しかったのです。
幼馴染や友だちまで『じゅげむ』にハマって一緒になって覚えた思い出があります。
でもこれだけ聞くとチョット日本語には聞こえないし、意味のないように思えます。
本当は和尚さんとのくだりで、名前1つ1つの意味をお話してもらえるのですが、この絵本にはそこは描かれていません。
でもそこは絵本作家さんの腕のみせどころ。
上の見開きは寿限無の名前のせいで文字量がとんでもないことになっていますが、絵本の最初で名前を紹介するシーンは『寿限無 寿限無』で見開き1ページ。
『五劫のすりきれ』で見開き1ページというふうになっています。
そして描かれている絵が、たとえば『五劫のすりきれ』だと……
天女さんが岩肌の上におりたっている絵です。
五劫というのは、私が父に聞いた話だと、この天女さんの羽衣で岩がすれてなくなるまでの時間が一劫。それが5回分。つまり永遠に思えるほど長い時間のことをさしているわけです。(wikiによると一劫はおよそ40億年)
こんなふうに、『ああ、この単語にはこういう意味が含まれているんだろうな』と察することのできる挿絵がついています
お友だちの金坊をコブができるほど殴った寿限無も、絵を見ているとなぜそんなことをしてしまったのか『たぶんこれだろうな』という理由が描かれています
寿限無はとっても優しい子のようです。
3文字の自分の名前でさえ、私も夫も友だちもみんな2文字に省略して呼んでいるっていうのに、このお話の登場人物たちはみんなバカ丁寧に寿限無の名前を『さいごまで』呼んでいるのにも笑えます
息子にあたらしい絵本を読むときは、いくぶん努力が必要です。
たぶんここを強調してあげると喜びそうだなーというあたりをつけてみたり、身振り手振りを大げさにして注目させたりします。
でもある一定の絵本はそんなことをしなくても、読み始めた瞬間に『お?』と興味がこちらにむかってきます。
これはそんなお話なのです。
父が私を夢中にしてくれた話。今度は私が息子にする番です。
定価:¥ 1.200+税
出版日:2004/09
出版社:ほるぷ出版
作者:齋藤孝
イラスト:工藤ノリコ
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