また、朝に、泣き声の電話だ。

 

ババモン「あんなあ。おかしいねん。」

 

ここまで聞いたら、それ以上電話で聞いても要を得ないから、すぐにババモン宅に駆けつけた。

 

ババモンは、なくなりかけた歯磨き粉を持って、

 

ババモン「この歯磨き粉がもうすぐなくなるから、もう一つ新しいのを買っておいたのに、今、見たら、ないねん。介護の人が盗っていかはったんや!」

 

私でも、買い置きの歯磨きチューブがあったかどうか、覚えていないのに、ババモンが覚えてるわけがない。しかし、「絶対新しいものがあった」と思い込んでいるので、どうしようもない。興奮して、同じ話を延々とくりかえすババモン。

 

けれど、トイレットペーパーに続き、二度目だからか、私も前回のような、こっちも泣きたくなるようなショックはなかった。人間というのは慣れるものだな。ババモンも、しばらく私に訴えているうちに、かなり落ち着いてきた。

 

もう、私もあまり反論はせず、ふんふんと聞くだけにする。しかし、我慢せず、大きなため息を、ババモンの前で何度もついた。ババモンは、私のため息に反応しないので、最近は遠慮なく、ババモンの前で、ついている。「ため息をつくのは、身体の防衛反応で、つく方がいい」とTVでも言っていた。

 

 

しかし、これだけ、自分が正しいと信じて必死で訴えられると、こちらも思わず、本当のことのように思えてしまうのが怖い。「他人も、ババモンが必死で話す、家族についての悪口なんかも、みんな信じるんだろうな」と考えてしまう。

 

 

しかし、ババモンが、「日用品を盗られた」と最近よく言い出したのは、「それを新しく買うのが難しくなってきた」からもある、と今回気づいた。

 

私「同じ歯磨き粉を今日買ってくるね。」と言うと

 

ババモン「ほなそうして。けど、どこにあるか探すの難しいで。」

 

 

私がババモンのゴミを捨てるのに、

 

ババモン「あんたは、ゴミ袋を使いすぎる。もっとぎゅうぎゅうに詰めないともったいない!」

 

と文句を言うので、今は、私のゴミ袋を使っている。そのとき、ババモンは、「スーパーでゴミ袋がどこにあるか探すのに苦労する」ようなことを言っていた。

 

なので、

 

新しい歯磨き粉がない → 買ってくるのが大変 → 盗られた

 

という心理になったのかとも思う。

 

 

しかし、問題はこれで終わらなかったのだ(泣)。

 

(つづく)