切嗣の放った起源弾に撃たれたケイネスは、重傷を負ってしまった。ベッドで横たわり眠っていると、ランサーことフィアナ騎士団隊長ディルムッド・オディナの生きた頃の夢を見た。ディルムッドは泣きボクロを見た女性を虜にしてしまう不思議な力を持ち、王の娘グラニアも例外ではなく彼の虜になっていた。そして結婚が決まっていたのに駆け落ちをしてしまったディルムットは、本来の結婚相手フィン・マックールに追われる身となってしまった。ゲイ・シャルグとゲイ・ボー長短の槍を駆使して追っ手をなぎ倒したディルムットは、フィンから結婚を認められたのだが、瀕死の重傷を負った時恨みを抱かれていたフィンに裏切られていたのだった。(一度は身を引いた男に最後にしてやられたディルムッドは、今度はきちんとしたいと思っていたのでしょう。だから、騎士として戦う事を決意したと思います。ただ、今回もまたちょっと意にそぐわないケイネスがマスターだからなあ。)



 ケイネスは夢から目が覚めた時、アジトにあるベッドに縛り付けられているのかわからず、自分が防御して撃たれてから何があったのか理解していなかった。「全身の魔術回路は暴走した形跡があるわ。即死しなかったのは奇跡ね。間に合ったのは臓器の再生のみ、もう2度と魔術の講師は出来ないわ。」ランサーに連れられ看病に当たるソラウは、ケイネスが魔術師として再起不能で、生きているのが奇跡だと告げた。自分の身に起きた出来事を知り悔し泣きをするケイネスだが、聖杯があれば魔術回路の回復も可能で、まだ敗北したわけではないと慰めるが、「勝てば良いのよ!勝てば何もかも元通りになるわ。だから、この令呪を渡して。私が魔術師としてランサーを受け継ぐわ。あなたに聖杯をもたらすために。」令呪を渡しリタイアして自分が、聖杯戦争に参加すると持ちかけた。(ケイネスはプライドが高く、何でやられたのかよくわかっていない。しかしソラウは計算高い女だから、これをチャンスと見て自分が成り代わろうとする。結構打算的で嫌な女の一面が見えました。ランサーにとってこれはどうなのか?ケイネスはすんなり受け入れるとは思えないですがねえ。)



 「ダメだ!ランサーが私ではなく、君に忠誠を誓うと思うか?」「ええ私はそう思うわ。彼だって聖杯に招かれた英霊ですから、例え魔術師が交代する事になっても、彼は目的の為に受け入れるはずよ。」自分にしか忠誠を誓わないと主張するケイネスと聖杯を得る為には、魔術師が代わっても問題無いと答えるソラウ。2人の考えは対照的だが、ソラウは令呪の譲渡を申し出るとケイネスはランサーの聖杯についての考え方と返答をした。「奴はそんな殊勝な奴じゃない。聖杯など必要ないと答えた!聖杯を求めぬサーヴァントなどありえない。何か本心を包み隠していようとも、令呪がある限り私に従うしかない。だから、君に令呪は渡せない。」ランサーは何を考えていようとも自分の支配下にいるサーヴァント。令呪を失ったらもう何も残らなくなってしまう。聖杯戦争からのリタイアをケイネスは望んでいなかった。(一応マスターとして残りたいケイネスですが、ソラウは顔に似合わず手段を選ばない恐ろしい女だと思います。ランサーはどちらにせよ最悪の魔術師に召喚されたのだとつくづくかわいそうになってきました。彼はちゃんとした主君に仕えたい願いだけしかないはずなんですけどねえ。願いが無いサーヴァントなんてありえないと言われたら本当に可愛そうだ。)




 「ケイネス、わかっていないのね。私達は何があっても勝ち抜かなければならないのよ。私程度の霊媒治療術では、根付いた令呪を引き抜くのは無理なのよ。本人の同意があって、初めて無抵抗で摘出出来る。どうしても納得しないというなら、この右腕を切り落とすしか無くなるけどどうするの?」自分達は勝って聖杯を手にしなければならない。ケイネスが戦えないなら、右腕を切り落としてでも令呪を渡して欲しい。ソラウの脅迫はケイネスを恐怖のどん底に叩き落したが、自分から令呪の譲渡を認める事はなかった。(ソラウは本当に恐ろしい女だ!許婚が戦闘不能になったから、聖杯を手にする為に腕を切り落として令呪を手にするとは信じられない。そこまでして、聖杯が欲しいのかとセイバーには一喝されそうですけど、これも魔術師として生きる女の選択。2人で戦えないなら1人で戦うと決めたのだから、強引な手段でもやってやろうと思ったのでしょう。)




 キャスターや綺礼が退却したアインツベルン城では、負傷した舞弥がアイリスフィールによって治癒の魔術を施されていた。しかし、動けるまでには時間を要するのでセイバーに見張りを頼んで切嗣に状況の報告をしようとした。「アイリスフィールお願いがあります。あなたから切嗣に進言して欲しい!ただちキャスターの討伐に向かうべきだと。このままキャスターを野放しにしておくと、犠牲が増えるだけです。」子供達を見殺しには出来ない。自分には直接語り掛けない切嗣に何とか思いを届けて欲しい。セイバーはあえてアイリスフィールに進言を要請した。



 その気持ちを受け取り伝えようとしたのだが、銃のチェックを終えた切嗣は、舞弥の状況を確認した後、自分の行動について語り始めた。「アイリ達はここに待機していてくれ。僕はケイネスの追撃に出る。セイバーはキャスターを早急に討ち取るべきだとでも言ったのかい?アイリ、今ここで数人いや数十人の子供を救うのが目的じゃない。セイバーはランサーが僕を殺さないと信じていたようだろうが、もし裏切っていたらどうなっていた。そこで聖杯戦争は終わっていた。彼女に行く先を告げる必要は無い。」自分達は小より大をなすべきだ。そして、セイバーはランサーを信じていたが、自分は信じる事が出来ない。殺されていたら元も子もないし、セイバーは今の自分には必要ない。切嗣とセイバー、2人は完全にすれ違いを見せていた。(アイリは切嗣の真意を知っている。確かにそれは正しいと思うけど、セイバーは小より大をなす的な考えは絶対に認められない。子供が目の前で死んでも、目的の為には手段を選ばない卑劣な男だと勘違いされてしまうだけ。どうすれば同じ道を歩めるのか?アイリがそれを一番願っていると思います。)




 令呪を奪い取ったソラウは、主であるケイネスを心配するランサーを呼び出した。「容態は芳しくありません。あなたは咎はありません。ケイネスの自業自得です。彼はあなたのマスターには相応しくないわディルムッド!ケイネスは戦いを放棄し権限を私に譲ったのです。」ケイネスの容態は良くない。彼には荷が重く、自分の方が魔術師として相応しいのだから一緒に聖杯戦争を戦って欲しい。ソラウは改めて魔術師交代の了承を求めた。「私は騎士としてケイネス殿に忠誠を誓ったのです。ソラウ様その申し出は承諾出来ない!私はサーヴァントである以前に1人の騎士なのです。忠義を尽くす主は1人しかいません。」自分の主はケイネスのみ、例え力が全てソラウに集まっても、騎士として申し出を受け入れる事は出来なかった。(ほくろによって魅了されているソラウは、色仕掛けで落とせるとでも思ったのでしょうか?しかし、ランサーは頑固なまでに一途な騎士。そう簡単に自分になびいてはくれません。ランサー、忠義に熱いのですが臨機応変に対応するのは余り得意ではない。それは生前の生き様が影響していると思います。)





 「彼を助けるには奇跡の力が必要だわ!それが叶うのは聖杯だけ!彼の負傷に責任を感じるなら、ロード・エルメロイの威信を取り戻そうと思うなら、あなたは主に聖杯を捧げなければならないわ。」ケイネスが降りるなら自分も降りると言ったランサーに対し、ソラウは騎士として主の為に出来る事は、共に聖杯を手にしてケイネスに捧げる事だと強く言い放った。「あなたはケイネス殿の伴侶として、ただケイネス殿の為だけに聖杯を求めると仰るのですね。誓って下さいますか他意はないと!」自分の私利私欲ではなく、ケイネスの為に聖杯を求める。他に意味は無いと誓って欲しいと願うランサー。「誓います!私はケイネス・エルメロイの妻として、夫に聖杯を捧げます。」ソラウもケイネスの為に捧げると誓いの言葉を述べた。その目はかつての恋人グラニアと同じ!生前はめぐり合わせの悪さで叶わなかった忠節を尽くたい思いを今度こそ成し遂げたい。一抹の不安があるが、ケイネスの眠る顔を見ながらランサーは誓いを新たにした。(あのソラウって女嘘付いているだろ。ランサーのホクロにあっさり篭絡される女ですから、裏で何を考えているのやら。ランサーはかなり不安を覚えているはず。誓いなんて言葉にすればどうにでもなりますし。味方に付けちゃえばこっちのものって感じですかソラウさ。)




 同じ頃ウェイバーの居候先であるマッケンジー家には、「客」としてライダーが現れ一緒に酒を酌み交わしていた。マッケンジー夫妻はフレンドリーに接するが、ウェイバーは不機嫌な様子で食事を取っていた。実は、霊体化せず家に入ったのには訳があった。それはキャスターの居所を掴もうと2人で調査したサンプル資料を持ち込まなければならなかったから。「ようやくズボンを手に入れたが、何故征服王たる余がひなびた川で水汲みをせねばならんのだ?」念願のズボンを手に入れたが、水汲みに連れて行かれたのはライダーには不満だったが、それは暇を持て余している征服王には、ちょうどいい仕事だとウェイバーは思っていた。その調査とは、冬木港から川の上流に進むに連れて、A・B・Cと地点を決めてずっと水を組み上げサンプルを取り、術式残留物があるかどうかを確認する事だった。




 「かなり河口に近い位置で、誰かが魔術を使っていたって事だよ。これを辿っていけば、もしかしたら辿り着けるかもしれない。」魔術を使っていれば痕跡が残るはず。ウェイバーは錬金術を使ってサンプル地点の水に液体を流し込み、残留物の有無に付いて調べ始めた。そしてQの水は変化しなかった。つまり、そこから上流は残留物が存在しない事を意味していた。「ライダー、何かあったか?排水口とか何かあったか?」PとQの間に水を流し込む場所があったかどうかライダーに確認すると、「馬鹿でかいのが1つあった。坊主もしかして、とんでもなく優秀な魔術師ではないのか?」ライダーも排水口の存在を確認しており、そこにキャスターの工房がある事が明らかになったが、ウェイバーはもしかしたら非常に優秀ではないかと思い始めた。(水から調べて手がかりを掴む。確かに肉体労働だが理に叶っている。しかも、2人のコンビネーションは他の陣営から比べると非常にいい。もしかしたら、今後の戦いでも非常に面白い存在になるのではないかと思います。ウェイバーも意外とやりますしね。)




 「こんなのは優秀な魔術師の手段じゃない。方法としては下の下だ!お前僕を馬鹿にしているだろう?」自分は優秀な魔術師なんかではなく、調査方法も下の下だとバかにされているのではないかと思うウェイバー。「下策を持って上首尾に至るとは、上策から始めるより数段いい偉業ではないか?余もサーヴァントとして鼻が高い。居所さえつかめればこっちの物だ!なあ坊主早速殴りこむとするか?」手段は関係なく結果を出した事を評価するライダーは、早速乗り込もうと進言した。「待てこら、敵はキャスターだっての。陣地防衛に至っては最強アドバンテージを誇っているのだぞ?そこにただ乗り込んでいくなんてただのバカだろ。」対策を立てないで、闇雲に乗り込んでもどんな罠が待ち構えているかわからない。慎重な姿勢を示すウェイバーだが、「ようやく我が魔術師が、功績らしい功績を立てたのだ!ならば余も敵の死球を持ち帰るのが、サーヴァントとしての心意気だろうて。」ウェイバーが敵の位置を掴む事に成功した。たとえ何が待ち構えていようとも、敵の位置を把握したら速やかに叩く。心意気に応えるのもサーヴァントとして当然だと、ライダーは考えて張り切っていたのだ。(ここでも新しい関係が生まれました。ウェイバーが意外とやるって事で、ライダーも彼のやり方を認め始めているのです。テレていますけど、非常に理に叶ったやり方でキャスターのアジトを把握したわけでし、征服王として気持ちに応える事が必要だと思ったのでしょう。ズボンもありますしね(笑))




 神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)を駆り、怪魔を潰しながら突き進むウェイバーとライダーだが、生憎キャスターは不在だった。しかし、読み通りキャスターのアジトだと断定されたが、そこにはとんでもない物が存在していた。ライダーが見ないほうが良いと進言したのは、殺されていた子供達の死体。強がっていたウェイバーも余りの惨状に言葉が出ず、ついには嘔吐してしまった。「いいんだよそれで!こんな物を見てまゆ1つ動かさなかったら、余がぶん殴っておるわい。しかし、今はそれ所ではない。なんせ余の魔術師が殺されかかっているのだからな。」ウェイバーの反応は当然で、死体を見せられノーリアクションならぶん殴っているほどの酷い惨状だったのだ。




 ライダーは当たり前の反応するウェイバーを気遣ったが、それ以上に危機に瀕している事が心配でたまらなかった。「アサシン?そんなバカな!アサシンは死んだはずじゃあ。」刃を向けて来たのは、死んだはずのアサシンだった。「1つ確かに言える事は、こいつらが死んだと思っていた奴らはのこらず謀られてた(たばかられた)って事だ。」アサシンは死んで存在しないと思っている陣営は、皆騙されている事は明らかになった。ライダーはウェイバーを守りながら、裏に何かあると気付きはじめた。するとアサシンは攻撃を止め速やかに退却したが、アサシンは何人いるか判らず、暗闇の中で戦うべきでないと考え始めた。「とりあえずぶち壊せるだけで壊していくさ。それだけでキャスターの足元をすくう戦火となる。こうして根城を潰されれば、ふらふらと出てくるだけだ。引導を渡すのもそう遠い話ではない。」根城を破壊すれば、キャスターは必ず現れ倒せるはず。ライダーは一定の成果を得て、高笑いをしながら退却した。(ライダーは意外と戦略家なんですね。人は見かけによらないけど、ウェイバーにとっては辛い経験となり、聖杯戦争を戦うサーヴァントと魔術師が、とんでもない事をしっかり理解出来たはず。まだまだ魔術師見習いぐらいだけど、これはこれで面白いストーリーでした。)




 アサシンの存在を知られた事を綺礼は、協力関係を築いている時臣に報告した。「ライダーの宝具がわからない以上、アサシンの存在を知られたのは痛いな。しかし、ライダーの魔術師が三流だという事がわかった。ライダーの宝具を知る好機は必ず来る。アサシンには細心の注意を払わせて、ライダーの監視に当たらせよ。」アサシンの存在が知られたが、魔術師は未熟な三流魔術師であり、まだこれからチャンスはあると伝えた。綺礼も時臣の言葉を受け了承したが、戦いを優雅で美しいと思っている存在に対し、綺礼の心の中にはどんどんアーチャーの存在が大きくなっているのだった。(4つの陣営が出ましたけど、それぞれ上手く行っていない場合が多いですね。コンビを組むからには、こういう描写は必要だし戦いが進むに連れて変化も間違いなく生じてきます。聖杯戦争の行方と魔術師・サーヴァントの生き方や考え方の違いをどうやって埋めていくかなど面白い見方があるから、視点も変えても楽しめますよ。)



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