③1990年代

 90年代に入るとガンダムシリーズは、ロボットアニメの頂点に君臨しました。OVAシリーズや劇場公開が相次ぎました。オリジナルシリーズとなった劇場版のF91や0083ジオンの残光。OVAではポケットの中の戦争やMS08小隊など、アムロやシャアが登場しなくても個性的なキャラクターとしっかりとしたストーリー構成により人気を更に上げました。



 テレビアニメシリーズも93年に富野監督作品が復活しました。未来の宇宙世紀を描いた機動戦士Vガンダムです。少年ウッソが年上の少女カテジナ恋心を抱きつつも、カテジナの心境の変化がウッソへの憎悪に変わる!富野監督が「死よりも重い罰を与えたかった」ヒロインにも拘らず扱いが最悪だった事が非常に興味深い作品でした。翌年の94年には、ガンダム同士の闘いを描いた機動武道伝Gガンダムが放送されました。



 戦争やリアリティを追及したガンダムシリーズとは一線を画し、スーパーロボット系のストーリーに変更。ファンの間で賛否両論巻き起こりました。更に95年には、新機動戦記ガンダムWがスタート。5人の美少年キャラが登場して、今までファンではなかった女性層に人気が爆発しました。物語も二転三転するストーリーだった事もあり、私は何度観ても飽きないガンダムシリーズでした。OVAエンドレスワルツも発売され劇場化もされました。96年のガンダムXは、あまり人気が出ず朝に放送時間が変更してそのまま打ち切りです。99年にはガンダム20周年記念作品としてターンAガンダムが登場。中世の名残が残る物語と月の最新の技術の対比が印象に残りました。モビルスーツは過去の遺物として扱われ、今までのガンダム歴史は、黒歴史として知られてならない存在だった事も斬新でした。



 一方マクロスシリーズも94年に新シリーズマクロス7が放送されました。宇宙移民船団マクロス7を舞台に戦場で危険を顧みず歌い続けたFIRE BOMBERのヴォーカル熱気バサラの物語。これはマクロス概念の破壊を河森監督は目指したそうです。その結果ヒロインだったFIRE BOMBERのベースミレーヌ・ジーナスは、マクロスFで言うシェリル的なポジションのキャラでした。マクロス7は95年に劇場公開されOVAも発売されました。でも何か地味なんですよね。




 リアルロボット全盛になった80年代以降、影を潜めたのが子供向けのスーパーロボット系でした。そんな時サンライズが製作したのが、勇者シリーズでした。90年の勇者エクスカイザーに始まり97年の勇者王ガオガイガーまで続きました。それぞれのシリーズは特徴があり、特に勇者王ガオガイガーはアニヲタに絶大な支持を集めました。という事は狙いだった少年ファンを掴むまでには至らなかった事になります。



 そして90年代は、この作品を抜きに語る事は出来ません。95年10月から水曜日午後6時30分からテレビ東京で放送された「新世紀エヴァンゲリオン」です。平凡な中学生碇シンジが特務機関「NERV」が有する人造人間エヴァンゲリオン初号機に乗る事になった。自信を持てないシンジは、拒否しようとするが徐々に責任と戦う使命に目覚める。「逃げちゃ駄目だ!」という台詞は非常に有名です。またエヴァは、現在につながるフォーマット的作品にもなりました。



 零号機に乗り込んだ綾波レイは、無口な美少女タイプ。弐号機のパイロット惣流・アスカ・ラングレーは、強気と弱気が交錯する完成されたツンデレタイプ。こうしたキャラ属性が生まれたのもエヴァからと言っても過言ではありません。ロボットアニメでありながら特撮やSFの要素を取り入れたエヴァは、ガンダムと並ぶ時代を創った作品となりました。



④2000年代

 2000年代に入ってもロボットアニメ、特にガンダムシリーズは、アニメ界の中心に君臨しました。2002年21世紀のファーストガンダムという名目で始まったのが、機動戦士ガンダムSEEDです。美少年・美少女キャラが多く登場しながら、テロや紛争が頻発した時代背景を的確に映し出し、最終的にはナチュラルとコーディネーターに集約される、異なる人種が分かり合えるかというテーマも描かれました。キラ・ヤマトと親友アスラン・ザラの関係は、それを物語っていました。またファーストガンダムをイメージさせる物語の進み方が、オールドファンの間でも話題になりました。


 

 2004年には続編の機動戦士ガンダムSEED DESTINYが製作されました。こちらは異性との関係が強調されましたが、SEEDほどの熱狂は起こりませんでした。そして2007年には初めて西暦が用いられた機動戦士ガンダムOOが製作されました。戦争根絶を目標とするソレスタルビーイングの美男子揃いのガンダムマイスター4人が活躍する物語。太陽光発電や世界紛争などの近未来の要素が取り入れられました。更にシリーズは半年ごとに放送する変則4クール制が初めて取り入れられました。ファーストシーズンでは、マイスターの1人ロックオン・ストラトスが壮絶な最期を遂げ、女性ファンを中心に涙を流しました。ガンダムは世界の敵とみなされ、ラストシーンにおいて主人公の刹那・F・セイエイが、ライバルのグラハム・エーカーと一騎打ちを演じ、釈然としないまま終了しました。



 半年後2008年10月からセカンドシーズンがスタート。影で独立治安維持部隊アロウズを操るイノベイター達との戦いが描かれました。政治や経済などの駆け引きから、個人と個人の感情や人間関係が中心となり、ファーストでは余り紹介されなかった恋愛も紹介されました。ガンダムに恋愛が絡むと悲劇に繋がる場合が頻発します。OOでも例外ではなく、ロックオンの弟ライルとイノベイターアニューとの恋はつらい結果になりました。結局お約束の最終決戦はありましたが、決着は付かず。今年9月の劇場版に委ねられる事になりました。



 2000年代は深夜アニメが支流となり、ニッチ的な人気を博すロボットアニメが増加しました。蒼穹のファフナー、神無月の巫女、交響詩篇エウレカセブン、フルメタルパニック、OVERMANキングゲイナー、THEビッグオー、ゼーガペインなど続々と作品が発表されました。また河森監督は「合体」をモチーフにした創聖のアクエリオンを発表しました。ちょっとエロい合体シーンと主題歌が印象に残りました。映像もCGを多用して製作され、2008年に製作されたマクロスFに繋がって行きました。この頃からアニソンが売れ始め、人気と市民権を得る様になりました。



 様変わりしたロボットアニメですが、2000年代を代表するアニメもやはりロボットアニメでした。私が一番好きなアニメコードギアス反逆のルルーシュです。主人公ルルーシュ・ランペルージは、母マリアンヌの敵討ちと妹ナナリーが幸せに暮らせる世界を作る為、祖国神聖ブリタニア帝国に戦いを挑む。ブリタニアに征服された日本(エリア11)を舞台に、ルルーシュは謎の美少女C.C.から絶対遵守の力ギアスを与えられ、仮面の男ゼロとしてテロ活動をしていたイレブンと呼ばれた日本人達と手を組み「黒の騎士団」を結成した。



 ここから物語は予測の付かない展開となり、観ている視聴者もギアスの世界に引き込まれ、どうなるのか楽しみでしょうがなくなりました。信じられない展開になり驚いたり、ルルーシュのダークヒーローとしての黒さだけでなく心の弱さ、葛藤もきちんと描いていました。ロボットはナイトメアフレームと呼ばれ、次々に新たなナイトメアフレームが登場。ファンを飽きさせない物語として、衝撃のラストへと向かっていきました。2010年からは新プロジェクトが始動!新たな展開を見せるコードギアスから目が離せません。