麻雀が嫌いな咲は、中学時代のクラスメイト京太郎に頭数が足りないからと無理矢理麻雀部の部室に連れて行かれた。家族麻雀で気を使ってばかりの咲は、いつも負けてたりプラスマイナスゼロで終わるなど、本心から麻雀が好きではなかった。しかし橋で出会った和との運命的な出会いが、咲の麻雀に対する考え方を大きく変えるきっかけとなった。初めての対戦から和は絶好調。3戦連続圧倒的な勝利を飾った。実は全日本中学麻雀選手権覇者という輝かしい実績を持ち、同じ一年生の京太郎と優希では歯が立たなかった。



 しかし咲は狙ったかのようにプラスマイナスゼロという離れ業をやってのけた。偶然ではなく最初から勝つ気がなく、あえて点数の高い手から調整していた。それに気づいた部長の久は、圧倒的な力の差があれば可能だと指摘。プライドを打ち砕かれた和は、雨の中再戦を申し込んだが、麻雀が嫌いな咲には思いが届かなかった。翌日咲が図書館に現れ本を借りようとした。しかしすでに貸し出し中であきらめようと思ったその時、久が本があると申し出た。うれしそうな咲に対し貸す条件として、もう一度麻雀の対戦をして欲しい旨を提示した。



 仕方なくもう一度だけと思い、短期決戦の「東西戦」のステージに立つ咲。赤いドラも加わりよりギャンブル性が強い対戦は、今回も和のリードで進んだ。そして咲はここでもプラスマイナスゼロだけを考え勝利には執着しない。どうしてもきちんとした土俵で勝負したい和は、最終の東4局でリーチ棒を出し、プラスマイナスゼロにさせない戦法をしかけた。最も難しい役満よりも確立が狭まり、これまでかと全員が思ったその時咲は、対局を支配する神のごとき引きの強さを披露し、ここでもプラスマイナスゼロを達成した。「宮永さん、麻雀は勝利を目指すものよ。次は勝つ為の麻雀を目指しなさい。」勝利を目指す麻雀をするように命じる久。「わかりました!でも勝つってトップってことですよね?プラマイゼロじゃトップになれませんよ。」勝つ麻雀と調整する麻雀の区別がつかない咲。「じゃあ自分は1000点、他は33000点持ってるって考えてやってみたら。」最初から負けていると仮定して、プラスマイナスゼロにするよう考えろとアドバイスした久の言葉。最初から8000点づつ配ってからのスタートと同様の条件に「大変そうだ。」さすがの咲も大変さを理解し、次の対局が始まった。