白銀の世界での2泊3日の修学旅行は、2年C組の面々は見たこと無い風景に興奮していた。颯爽と滑るメンバーの中で、竜児と大河だけはスキーが滑れなかった。スキーが上手な実乃梨に教えてもらえばいいと背中を押す大河だが、竜児は中々一歩が踏み出せなかった。そんな中またも積極的に祐作にアプローチする麻耶の姿を見ても、大河は何故かリアクションしなかった。逆に麻耶の態度につっこみを入れてきたのは、親友の恋を応援する久光。学校でも喧嘩になった2人が、ここでも大喧嘩になってしまった。しかし祐作は自分の事で喧嘩になっている事に気付かず、2人を止めようとした。更に苛立っていた亜美の皮肉タップリの一言が、祐作を激怒させ険悪なムードが更に高まった。



 夜になり全員で夕食を食べている間、竜児は1人抜け出し雰囲気の悪さと実乃梨と話せないチャンスが無い事に溜め息をついた。そこに抜け出した竜児の様子が気になった実乃梨が、近づき声を掛けて来た。内緒の話としてクラス内の喧嘩を止める方法を話し合う間、自分がクリスマスプレゼントとしてあげようとしたヘヤピンを見つけた竜児。大河からのプレゼントとして嬉しそうに身に付ける姿に絶望し想いは届かないと、1人部屋で塞ぎこんでしまった。そこに心配して駆け付けた祐作・浩次・久光が様子を見に来た。諦めていた竜児は、秘めていた想いを祐作達にぶちまけた。しかしまだ想いは伝わっておらず、女子の部屋に殴りこんで聞きに行こうと誘った祐作。



 しかし女子の部屋には誰も折れず、戻って来たのは風呂上りの大河だけ。4人は思わず押入れの中に隠れた。その中で大河のだらしない姿を見て、またいつもの病気がうずき始める竜児。押入れから出ようとしたが、今度は亜美達が風呂から戻って来た。このままでは見つかってしまう状況で、大河を無理矢理押入れに押し込めると、亜美達の恋愛トークが始まった。冗談半分で大河と祐作が出来ていると茶化す亜美の言葉に動揺する麻耶。実乃梨に親友として大河の気持ちを知っているかどうか尋ねた。その答えは、大河に聞いてみると良いという自分には関係ないという内容。その態度は、竜児を振った事を黙る事に苛立つ亜美を激怒させた。



 実乃梨の気持ちをすかすような言葉を並べた亜美は、竜児に対し気が無いならちゃんと振らないとかわいそうだと進言した。ついには自分が実乃梨の気持ちを代弁するとまで言い切った。それでも実乃梨は、好きにすれば良いと我関せずを突き通した。しかしこれが亜美を更に激怒させついには一触即発の状況になり、慌てて奈々子と麻耶が止め収拾したが、翌日竜児と話をしている亜美に実乃梨が乗っていたソリが突っ込み、再び亜美の怒りが爆発した。言いたい放題言われたからその復讐だと吹っかける亜美。怒らず流したのにまた引っ張り出す事についに怒りを露にする実乃梨。男子生徒が止めようとしたにも拘らず、互いに殴り合った。その弾みでヘアピンが、飛んでいってしまった。



 それに気付いたのは大河だけ。竜児達が喧嘩の仲裁にしている間、1人で木に引っ掛かったヘアピンを取りに向かったその時、足を滑らせ崖下に落ちて行った。天候が吹雪になり視界ゼロの状況で、もう一度探しに行こうとする竜児・実乃梨・祐作。そこで竜児が、崖に落ちた跡を発見し1人で崖下に降り、額から血を流して倒れている大河を発見した。大河は意識が朦朧とする中、助けに来たのは祐作だと思い込み、自分の秘めていた想いを告白した。どんどん竜児を好きになっていく自分が、竜児の恋を実のさせる為に身を引いた事。しかしどうしても吹っ切れず、ついに竜児が好きだと告白した。まさかの告白を背負っていた竜児は、信じられない様子で聞き宿舎に向けて歩き続けた。



 「みのりんと上手く行って欲しいんだけど。我慢していたらつらくて、どうしてもつらくて駄目。」親友への気持ちと自分の気持ちに揺らぎ、我慢していた本当の気持ちに向き合うのがつらい大河。今まで知らなかった想いを知り動揺。はずみで滑り落ちて行った竜児。「大河アアアア!」大声で叫ぶが、それはクラス内の出来事。つまり夢を見ていたのだった。「いいんですよ。しょうがないのよね。仲良しの逢坂さんが、迷子になったからしょうがないのよね。悪夢から覚めた高須君、そのプリントは進路調査票は記入して提出して下さい。」大切な進路相談の話の最中寝ていても怒らないゆり。大河の事で動揺していると心情を理解し、とりあえず進路調査票を出すようにとだけ連絡した。実は大河と竜児は、救助隊に救出された後体調不良で学校には登校していなかった。「連絡取っているのか?先生の話だと逢坂体調悪いらしいな。」屋上で1人考え事をしていた竜児に状況説明を求めた祐作。「いや携帯繋がらなくて。北村お前に頼みがある。あの時大河を助けに降りたのは、お前だったって事にしてくれ。もしも大河に聞かれたらそう言ってくれ。気を失っていて何も言ってなかったと、頼む北村。」大河の現状が分からない中、祐作に事情を聞かれたら自分が助けたと言い、何も言ってなかった事にして欲しいと哀願した竜児。「それは逢坂が、正月俺を拝んできた事と関係あるんだな。わかった!」大河の行動と関係があると理解し、祐作は竜児の頼みを受け入れた。(大河の気持ちを知ってしまった。しかし今の竜児にはそれを受け入れる事は出来ないと思います。事故みたいな形ですから、何も無かったことにしようとしているのですが、果たしてそんな事が出来るのか?そして進路はどうするのか?竜児の葛藤と揺れ動く心が気になります。)



 「高須ちゃん、これから良い所行かない?タイガーの事ばっか考えてないでさ。」1人で帰ろうとした竜児を誘う浩次と久光。向かった先は人気ラーメン店「六道」。「ここまで来たら食わずに帰れねえよ。」家事の心配をする久光に絶対食べて変えると豪語した竜児。「あーでも俺帰りたくねえよ。進路の事親と話さないとと思うと。」何も考えて居なさそうな浩次も、進路の事で憂鬱な気分になっていた。「今はまだクラス分けの参考ぐらいだけど、俺はどっかの文学部に入って、出版社で音楽雑誌の編集。そしてやがてフリーになるんだ。」自分の目標と夢まで既に頭の中で描いている久光。浩次も卒業が当面の目標だが、父親の仕事を手伝う事になると、ぼんやりと将来像を描いていた。「意外と言っちゃ悪いけど、お前らちゃんと将来のこと考えているんだな。」友達が将来のビジョンを持っている事に驚く竜児。「何言ってるの高須ちゃんだって。理系でしょ北村大先生と一緒に国立選抜余裕じゃない。」成績優秀な竜児が、理系の大学に進むと浩次は思っていた。「ああ俺は進学するかどうかも・・・・」家計の事を考え進学か就職か迷っていた。「ハイ次の方どうぞ!」いつも聞いている元気な女の子の声で、3人はラーメン店の中に入った。(久光君はいいですね。ちゃんとビジョンを持って進路を考えてます。目標を立ててどうやって進むか考えないと駄目なんですよね進路というのは。やっぱり母子家庭の高須家は、やっちゃんだけでは竜児の進学はきついですか。親孝行する為に就職するのは、個人的にはどうかと思います。)



 「女子の進路チェック入れてる高須ちゃん?とくに櫛枝なんてどうよ。」進路の話は、振られた実乃梨の話が飛び出した。「私はバイトです。冬は日が短いから早上がりだ。ちなみにイケメンとか言ったら目潰しだぜ。」やはり女の子の声は、噂をしていた実乃梨だった。3人は冗談半分で「イケメン」と注文したら本当に目潰しをかまされた。結局ラーメン3つ注文した後、目をつぶっていた店主が目を開けて「六道輪廻」という神業を披露。行列の出来るラーメンを食べ満足して帰っていった。「でもさとても男を振った後とは思えねえよな。」「ほんとほんと女心はわからねえなあ。」いつも通り対応した実乃梨の気持ちが、理解出来ない浩次と久光。しかし3人が出て行ったのを見送った後、実乃梨の顔はどこか沈んでいた。2人と別れ大河のマンションを通りかかった竜児。「本当に体調が悪いだけなのか?母親というのが、あいつみたいな奴で帰してもらえないとか。それともあの言葉、俺が聞いちまった事に気付いたのか?」戻ってこない大河の状況を心配し、いろんな原因を考えていた。(実乃梨はやっぱり竜児の事を忘れられないのでしょうか?あんなに落ち込む事は無いだろうし。でもこんなに面白い女の子なら一緒にいていつも楽しいでしょうね。ラーメン屋の親父は、元祖乙女座の男シャカの得意技を披露してました。これを分かる人もおっさんですね。(笑))



 「進路調査票?そんなのお勉強頑張りますって書けばいいんだよ。お金の事なら心配なし。竜ちゃんはやッちゃんと違って出来がいいんだもん。最高の教育を受けて、最高に才能を伸ばして幸せな人生を歩むんだよ。」生活費を気にする竜児だが、泰子は一生懸命勉強して幸せな生活を送って欲しいと願い進学を希望していた。「あーやっぱり俺がバイトして、月5万入れていればなあ。」勉強よりも生活の為のバイトをしておけばよかったと後悔した竜児。しかし泰子は、バイトを認めずとにかく一生懸命勉強する事だけを考えて欲しいと訴えた。翌朝登校した竜児を待ち構えていたのは、実乃梨の言葉だった。「大河なら大丈夫だよ。本当のお母さんとはね、わりと合うって言ってた。だから結構楽しんでいるんじゃない。」母親とは上手く行っているから、大河は大丈夫だと聞き竜児は安心した。しかし実乃梨が、統合したソフトボール部の部長に就任。バイトと掛け持ちになると知り「それじゃあどっちも中途半端になるだろ。」実乃梨の生活バランスが崩れると危惧した。「ノンノン、中途半端にしたくないんだよ。だってそれは、見えているものだから!」意味深な言葉を残し、どっちもやり抜く気概を見せた実乃梨。しかし亜美との関係は、修学旅行以降冷え切ったまま。「近寄らないでバカが移る。」側に居た竜児に対し、毒舌を吐くほど感情は荒れていた。(やっちゃんは、竜児の幸せを祈っている。その為には何だってやる。それが子供の頃からずっと同じだという事です。とってもいいお母さんだなって思います。一方みのりんは見えているものだから頑張るというのは、はっきり見えない幽霊とは違うという意味なのでしょうか?吹っ切れた感がありますけど、相変わらず言葉が抽象的です。)



 1時間目のチャイムが鳴り響いた。突然竜児の元から立ち去った実乃梨が、向かった先はサボっていた亜美の城自販機の間だった。「あのさ前からあーみんに言いたかったんだ。幽霊だって人格はある。この人には見えて欲しい、理解して欲しいって人の前しか現れない。私にも幽霊が見えた気がした。けど見えないものに憧れて、見えているものを見失うのは嫌だ。だから・・・・」自分にも見えた幽霊がいた気がした。しかしそれに憧れて、見えている事を見失うのは最悪。自分の想いを伝えようとした実乃梨。「何?私がひっかき回さなければ、上手く行っていたって事?生理中みたいな嫌な気分になる。」言葉を聞こうとせず立ち去ろうとする亜美。「私は迷わない。自分で決める。見えているものにぶつかっていく。」憧れではなく現実にぶつかって行く決意を叫んだが、亜美には届かなかった。(これはみのりんの決意表明?みのりんもやっぱり竜児の事が好きだということでしょうか?幽霊という例えはちょっと難しいけど、現実の出来事に正面からぶつかるというのは、後悔したくない表れだという事でしょう。)



 放課後竜児は、提出していない進路調査票についてゆりから呼び出しを受けていた。「高須君は優等生だから、期待が大きい分だけ五月蝿く言っちゃう物なんです。教師という生き物は。」最初に出した就職という進路希望から変化がない事を認めた竜児の発言に、どうしても五月蝿く言ってしまうと告げたゆり。「進学しないという選択は、そんなにおかしいですか?」奨学金やローンなど無理くり進学志望に向けようとする態度にキレた竜児。「そうじゃないわ。この調査票からは見えないだけ。他の誰でもない高須君の考えが!」本当の気持ちが見えないからお節介してしまう。ゆりの教師としての性が、言葉には隠されていた。更に経済的な状況を危惧する息子を勉強に集中させようと、泰子がスナックの他にアルバイトを始めた。「一緒に飯食わなきゃ、生きている意味無かったんじゃないのかよ?」泰子の行動の変化に違和感を持った竜児。勉強中実乃梨に渡せなかったヘアピンを眺めていた。その時玄関のドアがノックされている音が聞こえ、泰子だと思って応対すると目の前には、告白の言葉を思い出した相手大河がいた。



 ずっと心配していた大河が、元気な姿を見せた。思わずマフラーを掴み締め上げる竜児。「何にんだこのバカ・豚・犬・阿修羅顔!」有り余る元気で、竜児の顔面を何度も引っ叩くが、耳を掴んで顔を近づけた時、互いに意識し合い赤面した。「ちゃんと説明しろ!お前が帰らなかった理由を。もしかしてお前が俺だと・・・・うあああああ!」告白された後本人を見て、すっかり動揺した竜児。「ほら怪我も大した事ない。体調が悪いのも嘘だから。ママと会っていた。すっごく久し振りだったから、ホテル泊まったりお食事行ったり買い物したり映画を見たり、思いっきり甘えちゃった。とりあえず家の中に入れて。鍵無くしたから、竜児の部屋の窓から入る。」竜児が想いを聞いてしまったとは思わず、今までの出来事を話した大河。鍵を無くした為、入らないと決めた高須家を久し振りに訪れた。「なあせっかくだから飯食っていけよ。インコちゃんも会いたがっていたし。」動揺しながら再び以前の様に振舞おうとした竜児。「いい食べて来た。ブサコ寝てるじゃない!でも相変わらずぶっさいくね。」食事を断り、寝ているインコちゃんをデブ・不細工呼ばわりするいつもの大河がそこにいた。「やっぱいいな。大河がフレームに収まるこの景色。」いつもの大河のいる景色に戻り、竜児は思わず涙ぐんだ。(竜児はもう大河の事で頭が一杯です。告白されたも気が無ければ、別に動揺はしないはず。しかし違和感と取り繕う行動が目に映る竜児は、以前とは違う大河への想いがあると感じました。本当の竜児の気持ちが分かる時、それがこのアニメのラストではないでしょうか?)


 インコちゃんの姿を見て、自宅に戻ろうとした大河。途中竜児の思い出が詰まったダンボールに入ったヘアピンを見つけた。「今回の事で私がドジだってよく分かった。みのりんにちゃんと本当の想い聞けた?私があんな事起こしたから、それどころじゃなかった?」自分のドジさを再認識しながら、竜児が実乃梨の気持ちを聞けたかどうか不安そうに尋ねた。「何言ってるんだよ?何で俺の事心配してるんだ?だってお前は・・・・・」本心とは違う事を聞かれ違和感を覚える竜児だが最後に「あんたとみのりんは上手くいくんだから。」今となってはこっけいとも言える励ましの言葉を投げ掛けた。そして窓から部屋に戻ろうとした時、遭難した自分を探してくれた竜児に感謝した大河。「ありがとう竜児。気を失っていたけど、夢を見ていた気がする。北村君が私を背負ってくれて、バカみたいな事ボロボロしゃべくってるの。それは夢だよね?」背負っていたのが竜児だと気付かず、夢としてなかった事にしようと考えていた。「夢だよ!だけど北村がお前を背負って崖を上がって来たのは本当だ。でもお前は気を失っていたから、何も言っていないって聞いたよ。」竜児も本心を知ったが、大河の気持ちを尊重し告白はなかった事にしようと考えた。だから全部大河の言う通りに返答した。(これでいいのか?互いに本心を語っていない。大河の嬉しそうな顔が逆に悲しく見えます。本心と本心でぶつかり合わないで、気でもない事を繰り返すとつらいだけです。竜児も自分の本当の気持ちと向き合わなければならないし、残り3話1年間の集大成は、どうやって決着をつけるのか楽しみです。)