朋也や渚達の協力で一ノ瀬ことみは、徐々に社交性を身に付け自己紹介の挨拶もきちんと

出来た。自ら希望したバイオリンリサイタルも一応開催した。(内容はともかく)しかしことみには

謎の紳士が接触を図ろうとしていたので、朋也達が接触を拒否し「何者なんだ?」と質問すると

ことみは必要以上に怖がった。後日1週間借りていたバイオリンを教師から音が出るかどうか

確認する為に演奏していた、仁科りえにお礼を言って返却したことみ。「そのバイオリンね、弦は古いけどとっても素敵なバイオリンなの。捨てないで上げて欲しいの、お願いしますなの。」ことみはりえに哀願した。「私もそのつもりでした。」りえも捨てるつもりはなく、話を聞いたことみは

ほっとして改めて自己紹介し、笑顔で別れた。「よかったな友達が出来て!」朋也は声を掛け

たが、ことみは頷きながらも涙を流していた。(初めましては無いけれど、本当に誰とも口を聞かない頃と比較したら凄い進歩です) 

 翌日一緒に登校する朋也と渚は、最近ことみが図書室ではなく、3年A組で授業を受けている

のでこっそり様子を覗きに行った。すると教室ではことみが、数学がわからないクラスメートに

勉強を教えたり、先日のバイオリンリサイタルの話をされたりと慣れない人との付き合いに恥かしさを感じていた。(あれは聴くものじゃありません)放課後杏から「誇張されたツッコミ道」の

厳しさを指摘され、お笑いは無理だと三行半を突きつけられたことみ。「こうなったらもの凄い

ギャグをお見舞いするの。」なんとか笑わそうと取って置きのギャグをするが、どうしようもなく

寒いネタでやっていることみだけが楽しみ、朋也達は引き笑いをしていた。

 その後ことみが作って来たお弁当を広げ、食べ始めると「ことみちゃん休みの日は何をしているの?」椋が質問した。ことみはいつも本を読んでいると答え、朋也は陽平の寮でごろごろし、渚は大抵は家に居るのだ。「情けないわね青春を謳歌する若人が!」暇を持て余している

朋也達に見かねた杏は、明日の朝9時に駅前に集合して集団デートをしようと提案した。

 デートは男子が朋也だけで、陽平の参加は「馬鹿は1人で沢山!」という事で杏に却下され

女子は杏・諒・ことみ・渚4人、つまり1対4のハーレムデートである。5人は服を見たりショップに立ち寄ったり、持って来たサンドイッチを食べたりとごく普通に楽しんだ。実はことみが今度の

土曜日に誕生日を迎える。そこで杏はプレゼントを贈ろうと、ゲームセンターのUFOキャッチャーで巨大なゾウのぬいぐるみをゲットしようと34回挑戦した。しかし結果は全て失敗し、店員に

クレームを付ける始末。これではプレゼントを贈る事が出来ない「誰かいないの?私なら

獲れるっていう強者は!」やけくそで叫ぶ杏!

 その時光坂高校の制服を着てヒトデを持った風子が登場した。「あのうどこかでお会いしました

よね?」渚は一応確認した。「今は思い出さなくてもいいです。いつか自然に再会する日が

来るはずです。」風子は渚達がいずれ思い出す日が来ると考え、朋也も以前と同じ様にツッコミを入れた。記憶は消えた筈なのに。そして朋也が100円を入れてゾウのゲットにチャレンジ

したはずだったのだが、何とゲットしたのは風子のシンボルである星で、そのままいずこに去って行った。(朋也はヒトデじゃないからなと風子に突っ込んでいましたけど記憶は断片的に残っているのです。近いうちに風子との思い出も蘇るはずです。)

 夜になり朋也がことみを自宅まで送る事になり、2人で夜道を歩いていた。「朋也君ありがとう

朋也君に会わなかったら、こんな気持ちにならなかったと思う。」ことみは渚達を自分に紹介し

協力した朋也に礼を言った。「俺は何もしてないさ、渚も杏も藤林も皆お前の事が好きなんだ

それだけだよ!」朋也は渚達が、皆好きだからだと強調し、その話を聞いたことみはとても喜び

自分が所有し、内容を覚えた本を朋也に持っていて欲しいと思いプレゼントした。すると2人は

以前ことみの前に現れた紳士が、また目の前に現れ「悪者!」と言いながらことみは、朋也の

手を引き草陰に隠れ、追って来た紳士から逃れた。

 「誰なんだあいつは、お前にどんな用があるんだ?」ことみに質問したが、明確な答えが得られなかった朋也。朝目覚める前には、燃えている部屋の中で泣いている幼い少女と一緒にいる

少年と必死に2人を庇う紳士が出てくる夢を見ていた。睡眠不足の朋也は欠伸をしながら登校

していると、杏の差し金でことみに背後から目隠しされた。(胸が当ってどきどきすることみと

美味しい朋也)「ことみに余計な事を吹き込むな!」朋也が杏に怒っていると、渚が必死に

走って、杏に椋がバス通学かどうかと乗車時間を確認した上で、バスと自動車がぶつかる事故が発生し、野次馬が多数集まっている事実を伝えた。「嘘もし椋に何かあったら、私にわからない訳無いわ。」杏は状況を確認する為必死に事故現場に向かった。しかしことみは急に何かに

怯え始めた。(あの火事はことみと朋也に関係あるのは間違いないですよね普通!)

 現場はバスが横転するほどで、事故の激しさを物語っていた。心配する杏に「お姉ちゃん!」と諒は声を掛けた。諒は通常乗るはずのバスの後に乗っていて幸い事故に遭わずに済み、不幸中の幸いで、バスは回送中だったので怪我人も無く、車の運転手とバスの運転手が、事故原因で口論になるほど元気な様子だった。一安心した朋也達!しかし後からやって来たことみの様子がおかしい。膝から崩れ落ちると「私いい子にするから。」と言いながら苦悶の表情で泣き叫んだ。まるで過去のトラウマが蘇ったかの様に。声を掛けても反応が無いので、とりあえず保健室に運んで朋也達は学校に向かった。

 しかしあれほど苦しんでいたことみは、1時間目の途中で1人で自宅に帰ったのだ。事情を聞こうと3年A組の担任教師に行くと「本人が体調が悪いから早退したいと言い出したのよ。」詳細については「プライバシーがあるから。」という理由で答えて貰えなかった。とりあえず見舞いに

行くという形で決着し、担任から住所のメモを受け取った。

 演劇部の部室で、渚と諒は互いに自分のせいだと主張した。「誰のせいでもないだろう。」朋也は2人を制し、杏を含めた4人でことみの自宅に向かった。しかし人の気配は無く、どこか

荒れている様子の一ノ瀬家を見た朋也は、なにやら見覚えがあるかの様に辺りを見渡すと渚の呼びかけにも上の空だったが、どこか奥歯に物が挟まった感覚になり1人でもう一度一ノ瀬家

に戻って行った。すると玄関の前には、あの紳士が立っていて「おいそこで何やってるんだ!」

朋也は怒鳴った。「すまない誤解させる格好をして、私はことみ君のご両親の研究チームの

メンバーだったんだ。」紳士は朋也に謝罪し、自分の身分を明かした。

 「ことみの両親に会いに来たんですか?」朋也が紳士に質問すると、驚いた様子で「君は

知らないのか!いや私が言うべきではないな。」紳士はことみのプライバシーに関わる内容

なので、両親の事について答えようとせず、研究についての詳細を朋也に話した。「ことみ君は

私について何か言っていたかね?」と尋ねた。「悪者って!」朋也は一言だけ答えた。

 紳士はことみが自分達を悪者と考えていると知った上で「機会があったら彼女に伝えて欲

しい。君は私達を許してもらえないと思うだろうが、我々はあの時の事を後悔していると。」朋也

に過去の自分達がした事を後悔している内容の伝言をして去って行った。(一体ことみの両親は

どうしたのか?多分死んでいると思いました)再び一ノ瀬家に戻った朋也は、チャイムを鳴らしても誰も出てこない。仕方なく開いていたベランダから入ると、階段を登りドアノブを回した。

 その部屋には、新聞の切抜きが壁中に貼ってあり「故一ノ瀬夫妻」と書かれてあり、ことみが

1人座っていた。切抜きを見た瞬間朋也は、子供の頃ことみと両親に会っていた事実を思い出し

忌まわしい火事の記憶も・・・・・・・・!ことみにも鬱の話がありました。来年からことみ編は

いよいよ核心に入ります、両親はすでに亡くなっていましたし。