預けられた施設は、子供に虐待を加えていた。鷹野三四こと田無美代子は、子供達と

一緒に逃げ出した。大雨と雷が鳴る中「さあ田無美代子はここにいる。お父さんとお母さんの

命を奪った様に、私を殺せ!さあ殺せ私を天に連れて行け。だがもし殺し損ねたら、私の運命を

ひっくり返してみろ!」空に向かって叫ぶ美代子の目の前に雷が落ち木が真っ二つになった。

美代子は、雷で死ぬ事は無く「自らの掛けに勝ったのだから、私を救い出してくれ。」と哀願

する。しかし現実は、施設の職員が追ってくる状況で美代子に助けなど来るはずがなく、必死で

逃げた。水溜りに足をとられて転んだ美代子の目の前に、公衆電話ボックスがありそこで雨宿りをして夜が明けるのを待った。

 電話ボックスで寒さをしのいでいた美代子は、目の前の10円玉に気付いた。その時父の最期の言葉「高野一二三先生を頼りなさい私の恩師だ。」そして数字の羅列=電話番号を言って父親は息を引き取った。数字が電話番号であると気付いた美代子は(頭いいな)電話をかけると

高野が電話に出て、自分の名前と両親が亡くなり父親から電話しろと言われて事実を伝えた。

 話を聞いた高野は「それで田無君は何と?」と質問するが、美代子は中々上手く言葉に

出来ず「私を助けて下さい!」と大声で叫んだ時電話が切れた。電話が切れたと同時に施設の

車が近づき職員が美代子を捕まえに来たので必死に逃げた。しかし子供が大人の走る速さに

叶うはずも無く捕まり、手足を押さえられた上で殴られ施設に連れ戻された。施設で脱走に失敗して連れ戻された子供は、罰という名の見せしめの拷問を受けていた。美代子も例外ではなく

脱走の際指を噛んで怪我をさせた職員に締め上げられる。その時高野が美代子を迎えに来て

地獄の施設から開放された。車中で互いの名前を確認した上で、高野は自分の名前「一二三」

を窓ガラスに書いて「ミヨと呼んでも良いかな?」と言った。すると美代子も数字で「三四」と書き

以後高野三四と名乗る様になった。

 高野の自宅で雛見沢症候群の研究を手伝う三四は、夜遅くなっても手伝う事を止めなかった。

将来は一杯一杯勉強してもっとおじいちゃんを助けてあげられるようにするからね。」自分を

助けてくれた高野に対しての三四の気持ちが現れている言葉だった。後日高野の自宅に親友の小泉が訪ねて来て「教授達は都合が合えば、再来週の日曜日でも来たい。」という情報を

知らせる。自分の論文が認められて喜ぶ高野は、研究している「雛見沢症候群」について

の詳細と発症しない治療法を小泉に説明する。「これでおじいちゃんの研究を協力してくれたり

お金を出してくれる人が増えるんだね。」三四は喜び、高野と共に資料作りの作業を再開する。

 二週間後の日曜日小泉は出席出来なくなり、代わりの教授達が高野家にやって来た。しかしお茶を出そうと部屋にやって来た三四は、研究を否定する言葉を浴びせる教授達と必死に説明する高野のやり取りを目撃した。「寄生虫が人間の脳に宿り思想に影響を及ぼすなんてはっきり申し上げて妄言であり危険な思想です。」教授の1人が否定的な意見を述べる。それでも

雛見沢から出兵した兵士を解剖した結果がある事を強調する高野であったが「サンプルが少ないから一概には言えない。」と言われてしまう。個人研究家で、これ以上の研究に限界を感じ

力を貸して欲しいと思い哀願した高野だが「これを本にでも出版すれば良いのでは?一般大衆にはこれ位刺激的な内容の方が受けが良い。」教授達から相手にされず、書いた論文も床に

落とされて踏みつけられ嘲笑される屈辱的な扱いを受けるのだった。実は小泉は、高野に研究を止めさせる様に圧力を掛けられていた。(雛見沢症候群が表ざたになるのは、まずいから

圧力が掛けられたのでしょう。確かにあの病気が表ざたになったら本当にまずい)

 足で論文を踏まれて必死に踏まない様に教授の1人の足を押さえる三四だったが、高野に

頬を叩かれた後「ごめんよ三四私がもっとしっかり研究できていれば。」言葉を掛けられ、お茶を

片付けに行こうとすると高野が悔し涙を流している事を聞いた。その日から三四は、勉強に

励み、高野の死後寄生虫の研究で名を挙げ大学を首席で卒業し、首席卒業者のみ参加を許される同窓会入会を誘われる。同窓会には小泉がおり、政財界に名を連ねる人物もいるので

研究に励む事が出来、更に三四の「雛見沢症候群研究」のバックアップになり、高野が認め

られなかった、研究を自分が認めさせようと決意した。そこには「来さえも覆せない三四の

絶対の意志があった。」

 雛見沢を訪れた三四は、自分を救ってくれた10円玉を賽銭箱に入れようとした。しかしそれが

弾き返されて地面に落ちると、オヤシロ様である羽入が姿を現す。「僕はわかったのです。何度

覆そうとしても覆せないのはあなたの強固な意志がある為。僕はあなたに負けない、僕は教えられたのです。信じる力は運命を打ち破る奇跡を起こすのです!」羽入は三四に宣戦布告を

した。一方笑いながら「かかっておいでなさいどちらの意志が強いか見せてやる私が未来を

一歩も譲らない間抜けなガキめ貴様を神の座から引き降ろしてやる!」三四もまた強い意志を表示を羽入に示し、新たな雛見沢でのストーリーが始まろうとしていた。