私には予定があった。
でも雨が降り続いた為にバラしになった。

だから迷わず実家に帰ることにした。
最近の私は、オフが出来ると実家に帰るという選択が当たり前のようになっていた。


会いたい人がいたから。




迷わず会いに行った。
かっこつけでプライドが高いあいつは、
いつもくだらない冗談ばっか言ってケラケラ笑う。
帰り際にはいつも、頑張れよ。
お前が頑張ってるのを毎週テレビで見て、俺も負けてらんねぇって思うんだよ。
って照れくさそうに言ってくる。




でもその日は違った。
一生懸命開けた目であゆみを見て
手を伸ばしてくる。握ってくれと。
握ったその手を離さなかった。
だから強く握り続けた。



また来るよ。
早くお家帰って12月のお誕生は一緒にやろうな。
盛大に。



親指を立ててあゆみに見せてきた。
腕なんてもう上げるのやっとなのに
いつもそうやってかっこつける。





その日の深夜。



なんとなく、携帯の電源を切って眠りたかった。
鳴ってほしくなかったから。






でも鳴ってしまった。






おじいちゃんとおばあちゃんを連れて今すぐ来て。

母の声になってない声。




さっきまでかっこつけていたあいつは、
安らかに眠っていた。



起きて。




起きろよ。



おい…



早すぎるよ




ただただ抱きつき泣くことしか出来なかった。
抱きついて甘えるなんて初めてした。



似た者同士だった。
それはもう、家が壊れるんじゃないかって程怒鳴りあって喧嘩した。何度も。

でも似てるからさ。
ちっちゃい頃からよく遊んでもらったし、
大人になってからも同じ趣味のliveなんかにも行った。
あゆみの夢を誰より応援してくれた。
あゆみを自慢してくれた。




私、初めて思った。
お線香あげたくない。






だってお線香は、亡くなってしまった人にたてるものでしょ。
彼にたてるのは失礼じゃないか
悪い冗談が過ぎる






彼の死を
受け入れられなかった。




お通夜に告別式
なんだかただただ時間が過ぎた。


パパいかないでって、
泣きじゃくる小学生のいとこを抱きしめて
傍に居てやることしかできなかった。


人ってこんなに涙出るんだ。


この子を、家族みんなで守っていかなきゃ。
そう強く思ったよ。



それからというもの、
不思議なことがたくさん起こった。


驚く私達をみて、
ケタケタ笑うあの声が聴こえた気がした。


少しだけ、傍に感じたよ。



1週間が経とうとしてる今、
まだ実感ないけど、
綺麗な満月を見て、
見守ってくれていると信じてる。



今日は、
毎週楽しみにして観てくれていた
カラオケ大賞の収録をしてきました。

心を込めて、マイクを握ったよ。




もう泣くのは終わりにする!
怒られるや(^^)


この大きくて綺麗な空で、
自慢してもらえるように、
あゆみ頑張るね(^^)




最後にひとつだけ、素直なわがままを。


もし願いが叶うなら、
もう一度だけ会いたい。