恐竜土偶のフィギュアは食玩とガチャガチャのコーナーの最下段に展示をしています
ヴァルデマール・ユルスルート博物館に展示されている恐竜土偶。保管庫には展示していないものがまだ沢山あり、表に展示しているものはごく一部だと言います
色々な種類があります
恐竜っぽいけどリアルとは言えないものも多く、空想上の怪物と言えるような物も多いようです。子どもの工作レベルのものも多く、たまたま恐竜に似ているだけで、恐竜ではないのではないか?と言う人もいるようです。現地には魔女やモンスターの話が古くから多く伝わっているそうですが、現地に伝わるモンスターを表現したものである可能性もあるのでは?と考える人もいるようです(上記画像はムーさんからお借りしました)
今回は謎の動物と言うより、むしろオーパーツとして扱われるものを取り上げました。オーパーツとはそれらが発見された場所や時代とはそぐわないと考えられる出土品や加工品などを指す言葉です
恐竜土偶って、どんなもの?
メキシコのアカンバロで発掘された恐竜をモチーフにしたと思われる素焼きの土偶で、約6600万年前に絶滅したとされる恐竜と人類が共存したことを示すオーパーツとして一時話題になりました。私も子供心に大いにワクワクとさせられたものですが、捏造説も強くあります
発掘の経緯
1945年、アカンバロ市でドイツ人移民の金物商人で考古学マニアでもあったヴァルデマール・ユルスルート氏がエル・トロ (ブルマウンテン) 山の麓を馬で散策中に立ち小便をしようとした所、土手に奇妙な形の土偶が突き出しているのを発見します
掘り出してみたところ、多数あることに気づいて、使用人のティナヘロとその息子たちに周辺地域の発掘を命じます。犬やサル、馬、ラマなどの動物や鳥をかたどったものが多かったのですが、象人間やワニ人間などの空想の怪物、その他にもエジプト人など様々な人種を表したと思われるものや地球外生命体?を思わせるものまでありました
その中に恐竜をモチーフにしたと思われる土偶も混じっていました。発掘物は7年間でなんと3万2千点、最終的には3万7千点が発掘されたと言います
恐竜土偶
土偶の中にはティラノサウルスやプレシオサウルス、プテラノドン、ステゴサウルスやトリケラトプスを思わせるものもありました。中にはトリケラトプスにヒーロー?がまたがって乗っているようなものもありました
大きさは5cmから1m以上あるものまで色々でした。土偶は粘土を焼き上げたものが多かったのですが、発掘物の中にはヒスイや花崗岩を加工して作ったものもあるようです
捏造との指摘による発掘の中断
ユルスルートは中南米の古代文明は、アトランティスの遺産を引き継いで成立したもので、これらの土偶もその産物だ。元はテノチティトランの博物館に長年保存されていたのだが、スペイン人入植者の略奪から守る為にアカンバロまで運ばれて埋めて隠されたものだと主張したと言います
ユルスルートは考古学的調査が行われることを期待していましたが、ネイティブ・アメリカンの文化を保護するアメリンド財団で働いていた考古学者のチャールズ・ディ・ベソ氏によって捏造との指摘を受けて落胆し、1952年を境に収集を止めたと言います
年代測定の結果
だが、ユルスルートの友人でピリ・レイスの地図やポール・シフトの研究で知られるチャールズ・ハプグッド教授が1968年に土偶の3種類のサンプルをニュージャージー州の年代測定会社に依頼し、C14放射性炭素年代測定法で測定したところ紀元前1110年、同1640年、同4530年との結果を得たと言います
翌年ハプグッドの友人でベル・ヘリコプターの設計者でもあるアーサー・ヤング氏がペンシルベニアにある大学研究所に熱ルミネッセンス法による測定を依頼したところ、紀元前2500年プラスマイナス200年という結果を得たそうで、同研究所は測定結果に間違いはないとしています
しかし、C14による測定が土偶の制作年代を示すものではなく、材料の年代を示すもので古い地層や古い土器の土を利用した場合は制作年代より古く出てしまうと言う指摘もあるようです
また熱ルミネッセンス法では比較的低温で長時間熱を加えた場合には古い年代を示す特性があると言います
さらにこれらの測定が決められた手順を踏んでいないと思われるので信憑性が低いのではないか?と言う指摘もあるようです
熱ルミネッセンス法で別の人物が1976年に450体を調べたところ、1969年の約10年前と言うデータを得られたと言う話もあるようです
そもそも長く埋まっていたなら付着しているはずの土中塩類が土偶に付着していないので古いものではあり得ないとの指摘もあります
古い恐竜観による造形が捏造の証拠?
ティラノサウルスと思われるものが最近の研究では否定されているゴジラのように直立した姿で造形化されているのも当時の恐竜図鑑などを元に捏造された証拠とする向きもあります
捏造を指摘した考古学者のチャールズ・ディ・ペソは未発掘と説明を受けた場所に明白な埋め戻しの跡を見つけたと主張しています。彼は土偶はユルスルートやその使用人達の捏造だと考えたと言います
土偶はユルスルートが、使用人や農家の人たちが持ってきたものを一つ、1ペソで買っていたと言います
捏造否定説も
しかし、これをすべて作ったとすると7年間で3万7千個だとすると、毎日、1日あたり約145個を作らないといけない計算となり少人数では無理な気が私にはします
ハプグッド教授らが使用人の家やその周辺を調べたところ、沢山の土偶を作れるような大規模な窯等の施設は発見されなかったと言います
また20年前から建っていた警察署長の家の床下からも43個の土偶が発掘されたと言い、これを捏造否定の根拠とする人もいます
またアカンバロから140キロ離れたサンミゲル・アジェンデの神殿遺跡からも同様の土偶が発見されていると言う話もあるようです
また弊館で展示しているフィギュアの元となった土偶が直立しているとは言え、最近の研究に基づく体毛や羽毛?があるではないか?と言う指摘もあるようです
チュビクアロ文化の流れ?
チュビクアロ文化に属するルーブル美術館所蔵の豊穣の女神像 (画像はムーさんからお借りしました)
アカンバロに住んでいた先住民はアメリカ地域で最も古い文化のひとつチュビクアロ文化に属していました。紀元前800年から2200年と推定されており、恐竜土偶もこの流れをくむものではないか?と言う説もあります。発掘された物の中には土偶以外にも道具類など色々な物があり、確かに似た様式の物もあります。懐疑論者の中には、それも捏造者が真似て作ったからだと言う人もいるようですが…
恐竜と人間が共存した事を示す遺物は他にもある?
こちらは恐竜と人間が共存していた時期があるという証拠として取り上げられるアンコールワット遺跡群の中にあるトリケラトプスかステゴザウルスではないか?と言われるレリーフ。背中にあるのはただの飾りだし、たまたまそれっぽく見えるだけと言う説もありますが・・・
こちらも人間と恐竜が共存した証拠としてよく取り上げられるエジプトのナルメルのパレットに描かれた怪物ですが、ただ首を長くしたネコ科の動物で、首長竜とは言えないような・・・
ネッシーではありませんが、かつては恐竜の生き残りが結構いて、それを見かけた人間がその姿を表わした遺物を残したと言う説もあります
村が湖底に沈むのを阻止するため?
アカンバロは村の一部はダム建設のため水の底に沈みましたが、それを出来るだけ阻止するために、制作が行われたのでは?と考える人もいるようです。もし、それが事実なら集団により、沢山作られた理由にもなると言えますが…
中には本当に古い物もある?
恐竜土偶のほとんどは、新しく作られた物だと私は思います。でも恐竜モチーフとは特定出来ませんが、発掘されたとされる物の中には本当に古い物も含まれているように思います。ユルスルートは若い地球の創造論という、地球とその生命体は約6000年から10000年前にアブラハムが超自然的行為によって創造したとする宗教的信念を持った人物で、それに合ったものとして恐竜土偶を歓迎したと思われ、金儲けの為に捏造したと言うのはちょっと違うと思います。恐竜に似た形の土偶を持っていくとユルスルートは特に喜んだと言います
でも宗教的信条はともあれ、沢山の土偶から人間と恐竜が共存したパラダイスがかつてあったと考えるのは楽しいですが、ちょっと無理があると思います。でも土偶の中には本物もあるかも知れないなどと考えながら、その可愛くて魅力的な造形を楽しんだり、作られた背景に思いを巡らせてみるのは悪くないと思います
開館20周年
周りの伸び過ぎた木を切り、少しすっきりしました
お陰様で怪しい少年少女博物館は9月に開館20周年となりました。本ブログも8周年、これからもよろしくお願いします。
次回も、お化けや妖怪、謎の動物やオーパーツのお話が続く予定です
次回の更新は年明けの1月2日頃を予定しています