振り子時計は お宅にありませんでしたか? | 伊豆高原「怪しい少年少女博物館」のブログ

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レトロで可愛くて気持ち悪い。伊豆高原「怪しい少年少女博物館」の展示品などを紹介します。





怪しい少年少女博物館1階の昭和のファッションと雑貨のコーナーに展示している精工舎の柱時計。ゼンマイ式の振り子時計で装飾付きの宮型と言われるタイプです。昭和30年代前半頃の物で、サイズは高さ約47cm×横25cm×奥行12cm





前扉を開けた所 ゼンマイが巻き戻ると、この扉を開けて巻き直さなければなりませんでした





文字盤 数字が立体的になっている所、そしてシルバーにピカッと光るリムがレトロモダンでカッコイイです



マークのアップ





ゼンマイの巻口、向かって右側が時計用、左側が時報用です。この様なタイプでは一般的に時計用は時計と反対に、時報用は時計回りにゼンマイを巻きました。14DAYとあるので、フルに巻けば14日間は動く設計です





付属のゼンマイ 時計の底に固定金具が付いていて、そこに置いておくようになっています





外はそれなりにヤレていますが、下から覗いてみたらムーブメント部分はピカピカでした





背面に貼ってあったシール





上部の装飾のアップ 時計の本体はもちろん木製です





ガラスには装飾的カットが入っています。振り子が振れるとキラッとします





柱時計を展示している辺りの様子 マネキンの後ろの奥の方に展示しています





姉妹館のまぼろし博覧会に展示しているセイコーの柱時計。こちらは昭和40年代の物で、日付と曜日が出るタイプです。私の実家にもデザインが似た物がありましたが、もっと古くて日付の表示機能はありませんでした。サイズは高さ約43cm×横26cm×奥行10.5cm






ゼンマイ式で30日タイプ。ゼンマイの巻口より内側にある少し小さい丸い穴のように見えるのは巻量のインジケーターです。一杯巻くと青くなり、巻き戻っていくと白、次に赤となります。赤が出たら巻き直しのサインです



ボンボン時計の思い出

私の実家の台所には以前、ゼンマイ式の振り子時計がありました。母が結婚して間もなく購入したと言う話で、私が大学生の頃までは使っていました。応接間に電子式の時計を掛けるようになっても、クオーツ時計が主流になっても使っていて、母に言わせれば別に壊れていないからと言う事でした

時刻もわりと正確で、クオーツではない応接間の電子式より狂いは少なかったのでした

現在は使っていませんが、使わなくなったのは壊れたからではなく、デザインがインテリアに合わなくなってきたのと、椅子に乗りながらネジを巻くのが少々億劫になったからと思われます

「ボ~ン ボ~ン」と少々くぐもった音を立てるのですが、優しい音で、母が時計屋さんで、散々音等を比べながら選んだ時計との事でした。上を見ながら選んでいたら貧血になってしまったと言う話をよく聞かされました。現在は100均でもクオーツ時計が手に入り、300均に行けば壁掛け型の時計を選んで買う事も出来ますが、当時、時計は高価で、家にある大切な物の一つで、買うにもそれなりの気合がいる物だったのです

実家にあったのは、セイコー製で、上記のまぼろし博覧会に展示している物に、木目の感じ等外観はかなり近い物でした。でも、もっと古い物で、日付表示のない30日タイプの時計でした。ゼンマイの巻量のインジケーターが付いており、月の満ち欠けのような感じで色が変わっていくのですが、青が白になり赤になるとネジを巻かなけれなりませんでした


時刻合わせはちょっと大変

ジャストは時刻と同じ回数、半の時は1度だけ「ボ~ン」と鳴るのですが、ネジを巻いて時刻を再設定する時は、巻いた後に針を進めていって、ジャストと半の時に一旦針を止めて、時報を鳴らし、鳴り終わるのを待ってから、その先に針を進めなければなりませんでした

ジャストと半になると、時報を打つハンマーを作動させるゼンマイが動き出します。まず「ジ~」と言う音がしてから「ボ~ン」と鳴るのですが、12時をこえて設定する時は「ジ~ 」そして「ボ~ン×12回」 鳴り終わるのを待つと言う気の長い事をしなければならなかったのです

ゼンマイが緩んで時計が止まったり遅くなったりする前に、こまめに巻けば別ですが、30日タイプなら30日に一回、14日タイプなら2週間に一回この儀式を行わなければなりませんでした。ネジを巻いた後は、振り子をビュン!なんて勢いを付けて振る必要はなく、少し傾けて手を離してやれば、後は巻き戻る迄 時を刻んでくれました


60年前の博物館の時計も動きました!

怪しい少年少女で展示をしている時計につきましては、振り子も外された状態で展示されていたので、私は動かない物と思い込んでいました。しかし今回ブログで取り上げるにあたって、内部を覗いてみたらピカピカで状態が良さそうなので、ネジを巻いてみたらきちんと作動し、「カ~ン カ~ン」と少し高めの澄んだ時報を聴かせてくれました

メカ部分の写真をご覧頂くとお分かりになると思いますが、現在のハイテクで正確だけどペラい時計と違って、大真面目に作ってあります

私の実家の振り子時計も最後まで壊れる事はなく引退していきましたが、博物館の約60年前の柱時計に当時の日本のものづくりの確かさを実感して、思わず顔がほころびました