日曜夜、神田駅前あたりでちょいとイッパイひっかけてくるかと、外堀通り（注）を歩いていましたら、ぬ、ぬ、ぬ、ぬわんと人力車に遭遇。
ピッカピカの俥。
おもわず俥を曳いているお兄さんに声をかけてしまいました。
歳のころは３０代半ばあたりか。
「浅草からいらっしゃったんですか」
浅草界隈には観光ガイドをしている人力車が多いので、そーなんぢゃないかとおもったのです。
「イヤ、自分は観光ガイドではなく、向島、浅草の芸者さんたちの送り迎えをしてるんですが、最近は芸者さんたちが仕事をしなくって（できなくって）」
「エッ！？ でも、どーして神田くんだりまでいらっしゃったんですか？」と私。
「東京駅まで送ってほしいとおっしゃるお客さんを上野から東京駅まで送った帰りなんですよ」
「それで・・・いかほどなんですか？」
「六千○○円ですね」
ええぇ～～～！
そんなに安いの！？
タクシーだったら２０００円くらいか。
人の力で、たったの六千円ちょっと。
もっと請求してもいいんぢゃないかしら。
と、おもった瞬間、この俥に乗ったのはったいどんな人物なのか、とギモンがむくむくと鎌首をもたげてきました。
きょうは日曜日。
出張で上京したさる大会社の社長か重役が上野・浅草あたりで遊んで帰ったのかしら。
それにしても、東京駅まで人力車を利用するなんて豪勢で粋なお客さんだね。
ヨッ、旦那！
なんて、声を掛けたくなっちゃうぢゃないかい。
（注）：東京の道路は皇居を中心に大きく分けて二つあります。
ひとつは放射道路。
皇居から四方に延びる道です。
国道１号（東海道）、１６号（甲州街道）など旧五街道ほかがそれに当たります。
もうひとつは環状道路。
環状１号線とかがそうです。
外堀通りは環状２号線。
その通りを南下していて俥屋さんに遭遇したワケです。