いよいよ
破水して入院してから何時間経っただろう?
朝、昼、晩とご飯を食べて薬を飲み、ひたすら陣痛を待つ。
破水をしているのでトイレ以外は「歩いてはいけない」と言われていた。
家族がテレビを見られるようにとイヤホンやテレビカード(テレホンカードみたいなやつ)
を持ってきてくれたが、
とてもテレビなんて見る気分じゃない。
変化の無いまま2日が過ぎた。この間にも羊水は少しずつ流れ出ている。
赤ちゃんは大丈夫なんだろうか?
私は、お腹に「がんばれ!生きて!絶対生きて産まれてきて」
と呪文のように言っていた。
2日目の夜・・・
ヒゲ先生が病室に現れた。
先生 「どう?陣痛、まだこ来ない?」
私 「はい。。。」
先生 「赤ちゃんも心配だから、明日はどんなことをしても産みましょう。」
私 「羊水がどんどん出てるんですけど、赤ちゃんは大丈夫なんですか?」
先生 「・・・う~ん・・・だから、明日産みましょう」
「どんなことしても」?? これを聞いて余計に不安になったけど、
なぜかそれ以上ヒゲ先生に何も言えなかった。
夜、看護師さんが来てモニターをつける時にお腹の赤ちゃんに話し掛けてくれた。
「キミ、キミ、起きてるか~い。お母さんのお腹の中はそんなに気持ちいいの?」
「でもね、もうお母さんのお腹の中から出てこなくちゃいけないんだよ。」
「大丈夫、出てきたらお母さんに会えるんだから。もう出ておいで~」
こんな風に話し掛けてくれただけで私の気持ちも落ち着いてきた。
明日はこの子の誕生日になるんだ!
そう考えると少しワクワクしてきた。
ここまできたら、もうやるしかない!がんばろう!
「明日は、一緒にがんばろうね」とお腹の赤ちゃんに話し掛けて眠ることにした。