【書評】自分の答えのつくりかた | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~

【書評】自分の答えのつくりかた

ロジカル・シンキングとか意思決定論とか、一時期流行ったMBAシリーズのようなものを一通り学んだ経験がある人であれば、知識としては新しいものはないかもしれない。

しかし、物語に乗せて、ここまで圧倒的に分かりやすく説明している本を僕は知らない。


以前に当ブログでも紹介した『マインドマップ問題解決―「らくがき」で劇的に身につくロジカルシンキング 』も、ロジカル・シンキングの方法について噛み砕いて、子供がお母さんにゲーム機を買ってもらう作戦(?)を練る例を用いていたけれど、あくまでも副次的な位置づけであったのに対して、本書は物語の中で全てが説明されていく。

(以前の関連エントリーはこちら ⇒ マインドマップ問題解決


本書はロジカル・シンキングの視点だけではなく、成功するための思考法というか、ものの考え方も学べるし、超さわりだけのMBA留学記のような側面もある。

僕としては、主人公の中学生(ネタバレは極力避けたいけれど、人間界ではなく魚界の話として展開している)が隣国へのサッカー留学を検討する際の話と留学中に経験する話が面白かった。

※実はこの話が前半部分に相当する。

 後半部分は、基本的な考え方を使った実践編の色合いで、ストーリー展開などは後半の方が盛り上がるのだけれど。


例えば、自分自身は何一つ変わらなくても、環境が変われば社会の中での位置付けは、一瞬にして変わる、とか。

これは実感として物凄くよくわかる。

いわゆる「高校デビュー」も、これを直感的にみんな理解しているからこその現象なんだろうなあ。

留学の経験はないけれど、転職や独立でも同じことが言えると思う。


「評価軸×評価シート」や「ピラミッド・ストラクチャー」、「制約条件下での意思決定」などを分かりやすく学べる本としてこれだけのレベルのものはないと思うけれど、敢えて残念な点を言わせてもらうとすれば、小説としても完結させて欲しかった。


ロジカル・シンキング等を学んだことがない人には、学生・社会人を問わず、是非一読をお薦めしたい。

知っているのと知らないのとでは大きな差がある知識であり、ノウハウであることは間違いない。

また、学んだことのある人にも、分かりやすい伝え方の事例として一読して損はしないので、やはりお薦め。


ちなみに、「分かり易さ」をのぞけば、ロジカルシンキングや問題解決に関する名著は以下の2冊だという評価は変わらない。

僕の中では常に手元に置いておきたい(置いてある)2冊だ。

まずは本書でイメージを掴み、骨太な以下の本に当たるのがよいだろう。

ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution)

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則


本書の著者もそうだったけれど、これらの本ってマッキンゼー出身者によるものばっかりだ…。



【基礎データ】

著者: 渡辺健介

出版社: ダイヤモンド社 2009年5月

ページ数: 312頁

紹介文:

世間の常識に流されずに、考え抜き、行動する力が身につく。
論理思考、情報収集、価値判断、決断と実行… どこで何を考え、どんなツールを使うのか?
「ピラミッド・ストラクチャー」もよくわかる!

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【関連書籍】


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