ハワイ王国の王女、プリンセス・カイウラニ。23歳でその人生に幕を閉じた美貌の王女はハワイの人々に愛されました。
ハワイ王朝最後の王位継承者(105代目)であったカイウラニは1875年、ハワイ7代国王カラカウア王の姪として生まれました。
Princess Kaiulani(1875年10月16日 - 1899年5月6日)
ハワイ7代国王カラカウア王の妹・リケリケ王女を母に、スコットランド人アーチボルド・クレグホーン(Archibald Cleghorn)を父に生まれたカイウラニ(英語全名:Victoria Kawekiu Lunalilo Kalaninuiahilapalapa Kaʻiulani Cleghorn,)
両親
1881年に、ハワイ王国のカラカウア国王は5歳のカイウラニ王女を連れて世界を一周しました。カラカウア国王は来日した際に赤坂離宮で明治天皇と会談、そして日本皇室とハワイ王室の縁談を申し入れました。5歳の姪のカイウラニ王女と13歳の山階宮定麿王との縁談です。
カラカウア国王は縁談によってハワイ王室と日本の皇室との結びつきを強くし、ハワイを併合しようとするアメリカの動きを抑え、ハワイ王国の存続を考えていたようです。(約100年前の1778年のキャプテン・クックの来航以来、圧力が増す欧米系住民なども問題)しかしこの時代、日本は明治維新があって13年後、西洋文化を取り入れる時期で明治天皇は「国力増強に努めている明治新政府にはそこまでの余力はない」として縁組は実現しませんでした。
1889年13歳から、カラカウア王の指示で父のクレグホーン同行でイギリスの女子寄宿学校に留学しますが、留学中にカラカウアは死去し、王の妹(カイウラニの叔母)のリリウオカラニから王位継承権第1位を指名されます。このときハワイは欧米系住民の圧力で彼らだけの選挙権だけが認められており、(ネイティブハワイアンはなし)、女王リリウオカラニは即位すると復権に力を入れますが、欧米系住民は女王リリウオカラニを排除して幼いカイウラニ王女を即位させようと動きを見せます。
1893年、渡英4年が過ぎカイウラニ王女が17歳になったころ、欧米系住民によるクーデターが起こりハワイ王国が滅亡します。カイウラニ王女はすぐに父とともにアメリカ東海岸に渡り、グロバー・クリーブランドアメリカ大統領との面談に成功し、クーデターの不当性、無効を訴えます。キャプテン・クックの最期の印象が根強く残り、ハワイに野蛮な国と思い込んでいたアメリカの人々はカイウラニ王女のたぐいまれなる美貌とヨーロッパで身に付けた洗練された姿に、ハワイのイメージを一新。新聞社はカイウラニ王女の訴えに味方し、おのずとアメリカの国民の世論も欧米系住民よりハワイ王朝に味方しました。大統領も徹底調査する約束をしました。
カイウラニ王女はアメリカで絶大な人気を得ながらも、ハワイの人々に支持を受けている叔母とハワイのため、ハワイに帰国しませんでした。自分が戻れば故郷を離れ統治能力のないにもかかわらず王位が転がることがわかっていたのです。
アメリカ調査団はクーデターを不当とし、女王リリウオカラニに政権が一度は戻されますが、欧米系住民は内政干渉としてはねのけ、ハワイ共和国を設立します。ハワイ人たちは立ち上がり、武器を持ち衝突。2週間に及び戦った後、鎮圧され女王リリウオカラニは反逆罪で逮捕されます。廃位宣言にサインさせられて8カ月幽閉されます。その際に王宮は荒らされ、王宮を彩っていた豪華な調度品は略奪されました。
ハワイに戻れないままカイウラニ王女はヨーロッパを放浪。社交界で歓迎、求婚されますが、日本皇族かハワイ王族のみの結婚しか認めないという叔母女王リリウオカラニの言葉を守り続けます。22歳になったとき、ついにアメリカがハワイを併合。1897年11月、王朝の復活が消えると、カイウラニ王女は8年ぶりにハワイに帰国しました。
ハワイは欧米系住民がハワイ人は野蛮とアメリカ本国に印象づけて利権を独占していました。カイウラニ王女はアメリカから来賓を招くと叔母と力を合わせ、ハワイの音楽や物語、フラダンスにレイ、料理などでもてなしました。
しかし1899年、友人の結婚式に出かけた際に風邪をこじらせ23歳で死去しました。
父と。
10歳の頃
2010年伝記映画「プリンセス・カイウラニ」が公開されました。
もともと「Barbarian Princess (2009)」という題名だったそうですが、Barbarianは(文化・文明に対して)野蛮なという意味を持つのでハワイ人の反対にあい「Princess Kaiulani」に変わったそうです。カイウラニ王女がアメリカに渡った時に新聞の見出しでこの表現が使われたことからつけられたようです。
欧米にクーデター不当性を訴えるため美貌とともにアメリカの地を踏んだカイウラニ王女
自然を愛し
美しい...
エキゾチックな...
カイウラニ...王女???
伝記映画、本物>女優さんってあまりないパターンですよね。主演は1990年生まれのクオリアンカ・キルヒャー(Q'Orianka Kilcher)、2005年に『ニュー・ワールド』(The New World)でポカホンタスを演じた女優さんです。