『歌スタ』合格でメジャーデビューした人のボイトレ話 | オーディション合格!現役歌手も通うプロを目指す方のためのボイストレーニング

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●『歌スタ』合格でメジャーデビューした人のボイトレ話


こんにちは!

ボイストレーナーの不破です。


唐突ですが、オーディションに合格する人って、一体どんなトレーニングをしていると思いますか?

アナタが普段しているトレーニングとの違いは、何だと思いますか?


今日は、『歌スタ』というオーディション番組で、最終審査通過を果たしてデビューした人が、一体どんなレッスンをしていたのか?

一部にはなりますが、そのトレーニング内容を紹介しますね。


良かったら参考にしてみて下さい。


まず、彼女の特徴として

●良質なポップスが似合う声

●可愛らしい顔と裏腹に芯が強い

●とにかく明るい・朗らかなイメージ

●せつなつかしい(切なくて、どこか懐かしい)情感の出し方がうまい

●グチをこれっぽっちも言わない

ササッと思いつく限りで、上記のことがあげられます。

番組内では、aikoさんの『カブトムシ』を歌っていましたが、個性でもある『せつなつかしさ』を出すのには、ピッタリの選曲だと思います。


さて、そんな彼女とのレッスンでは『リズムトレーニング』をして、効果大だったことが印象に残っています。

それは、どんなトレーニングだったのか?

簡単に手順を説明しておきますね。


1、ティッシュを1枚用意して、利き手で持つ(持ち手の高さは胸あたり)。

2、その状態で、課題曲のカラオケを再生する。

3、カラオケが流れたら、裏拍部分でティッシュを持っているほうの手首を上にスナップする。

※要するに、ティッシュを裏拍のタイミングで上にあげるということです。

4、上記3の状態を続けながら、歌う。

5、裏拍をとって歌うことに慣れてきたら、利き手じゃないほうに持ちかえて、同じことをやってみる。



と、このような感じです。


※ここで、念のため“裏拍”について説明しておきますね。

例えば、4分の4拍子(皆さんが耳にする最近の曲は、9割がたこの拍子です)の場合。

通常『1・2・3・4(ワンツースリーフォー)・・・』と、カウントしますよね。

このカウントしている数字部分が“表拍”です。

そして、ダンスだと『ワンエンツーエンスリーエンフォーエン・・・』と、カウントされたりしますよね?

この『エン』の部分が『表拍の裏側にある拍』・・・つまり“裏拍”です。

音楽のレッスンですと、『1と2と3と4と(いちとに~とさんとし~と)』とカウントされることが多いかと思います。


さて・・・この“裏拍”ですが、けっこう大事なことです。

ボイトレを経験された方なら、「もっとウラ(裏)を意識して歌って!」と言われたこともあるのではないでしょうか?

“表拍”だけではなく、“裏拍”も感じながら、細かくリズムを取ることによって、リズムの“ブレ”がなくなります。

そして、よりいっそう“ノリよく”歌を聴かせることができるわけです。


では、『何でティッシュ持ってやるの?!』っていう話です。

裏拍を感じるだけなら、ティッシュなんて持たず、裏拍で“手をたたけば”良いんじゃない?!って思うかもしれません。



実は、今日の大きなポイントがココにあります。

そもそも、歌スタに合格した彼女は、リズムマシーンやカラオケに合わせて裏拍で“手をたたく”のは朝メシ前。

そういった初歩的なトレーニングは、既に経験していました。


キッチリとした表拍(“真オモテ”と呼んでみます)と、キッチリとした裏拍(“真ウラ”としておきましょう)をとる練習・・・。

もちろん大事です!

きちんと正確なリズムをとるのは、基本的なことですしね。

その基本をおさえた上での話にはなりますが・・・。

“真オモテ”と“真ウラ”をとれただけでは、『人を魅了する歌声』には直結しません!


実は「ウラを意識する」という言葉には、裏があります!(なんだか、“裏”だらけでややこしいですね)

決して、『表拍と表拍のピッタリ半分にあたる“真ウラ”』を意識して~という話ではないんです。

厳密に言うなら、『表拍同士のあいだにある、間(ま)を大切にして』という意味を含んでいます。


表拍と、次の表拍の2分の1である、“真ウラ”をキチンと整えた歌い方の場合はきっと・・・。

スクール内(もしくは養成所内)というカテゴリー内では、“上手い人”になるでしょう。

音楽学校などの養成所経験をされた方は、同じスクール内の人の歌を聴いて、次のような経験をしたことはありませんか?

「あの人はピッチも良いし、リズムもとれているし、声も太いし・・・でもなぁ・・・」。

つまり、同じ『うまい』でも、『美味い』じゃなく、『上手い』だけだったということです。

プロになるのなら、『上手い』は当たり前で、『美味い』・・・その人にしかない『味=個性』も必要です!


ティッシュは、素材的に“ゆらゆら感”があります。

裏拍でティッシュを上にあげる際にも、手拍子では感じることのない、“揺らぎ”が少なからずともあるわけです。

これこそが『良い感じの間(ま)』を演出しながら、歌える源となります!


もっと具体的な話をしてしまうと、すご~く長くなってしまうので、レッスンに来られた時などにお伝えするとして・・・。


人の感情って、決して“2分の1”だけでは割り切れませんよね?

好き・嫌い・・・笑う・泣く・・・だけではなく、もっと複雑な感情がたくさんありますよね。

泣くだけでも、“悔し泣き”やら“嬉し泣き”やら、色んな涙があるわけですから・・・。

すごく簡単に言ってしまえば、数字で割り切ることのできない“人間の複雑な感情”を表現するための『間(ま)』を手に入れましょう!ということです。

そして、歌に更なる奥行きを持たせましょう!ということです。


では、今日のまとめです。


“裏拍テッシュ”で『絶妙な間(ま)』をとりながら歌える練習をしましょう!


キッチリとしたリズムは、大切には大切なんですが、それだけで“絶妙な間(ま)”を表現できるか?というと、また別の話になる・・・ということです。

数字だけでは割り切れない『なんともいえない絶妙な間(ま)』は、人を魅了することが多々あります。

彼女自身、このトレーニングで、元々ある個性が更に磨かれて、オーディション合格という結果につながっていきましたよ。


アナタも『上手い』だけではなく、もっと深みのある『美味い』ボーカリストへと変身してみませんか?


では、本日はここまでにしますね。

次回は、『オーディションに合格するうえで、先に気づいておくこと』を紹介したいと思います。

このブログが役に立つのなら、幸いです!