GPS-777 試聴報告(3) つづき  | 西野和馬のオーディオ西方浄土パート2

GPS-777 試聴報告(3) つづき 

                        


                        3.試聴結果


【試聴2B】では、GPS-777による外部クロック入力の効果が顕著に現れました。即ち、【試聴1A】でのCD再生時のCRV-555への外部クロック入力効果や【試聴1B】でのブルーレイレコーダー再生時のCRV-555への外部クロック入力効果と同様、PCオーディオでも顕著に現れたということです。


例えば、ブルーレイレコーダー録画から音だけを取りだしたWAVGPS-777による外部クロック入力を行ったUSB-201経由で再生した場合、弦楽器のボウイングの細かい動きや、ピアノのペダル操作の音まで聴きとれます。なお、外部クロック入力の音質の順は、次のとおりです。


    GPS-777/192KHzABS-7777/192KHz>外部クロック入力なし


以上では、USB-201ではMusical Fidelity Positionとし、GPS-777Musical Fidelity PositionHigh Fidelity Positionを切り替えSWMusical Fidelity Positionにして聴いてきましたが、これらのSWを切り替えてみることにしました。



USB-201Musical Fidelity Positionとし、GPS-777High Fidelity PositionにするとUSB-201High Fidelity Positionにした時と同じような方向にわずかにエッジが立って透明度が上がってきます。



GPS-777Musical Fidelity Positionにしたままで、USB-201Musical Fidelity PositionHigh Fidelity Positionを切り替えてみますと、それらの違いは分かりますが、ABS-7777の時と違って両者はともにグレードが高くその差が縮まってきています。



USB-201GPS-777の双方をHigh Fidelity Positionにしてみますと、見通しが良くなり、オーケストラなど大編成のものでもクリアーに聴こえなくてもいいのではないかというくらいになりますが、反面とろりとした潤いがわずかに後退します。



ジャズではこれらの調整が面白い方向に行くのではないかと思って、USB-201GPS-777の双方をHigh Fidelity Positionにして、いくつかジャズ音源を聴いてみました。そうするとドラムの皮の張り具合、キックのドスンという音、ベースの弦の震えや弾み具合、ジャズピアノの質感などが手に取るように見えるのです。まるで本場のアメリカでPAなしで生のジャズを聴いていたような音がします。故K谷さんが、オーケストラがちゃんと鳴るようになったらジャズも鳴るのではないかと言っておられたことを思い出しました。


最後にJBL4350Aでもジャズを聴いてみましたが、これも今までに聴いたことのないくらいのパーフォーマンスを示しました。特に鈍重になりがちなダブルウーファー領域の低音の分解能が改善されました。



また、CDPlextorによるストリーミング再生、仮想CDドライブからの再生もこれまでにないレベルで聴かせてくれ、WAV音源をUSB-5の他、SSDHDDから再生しても、これまでのように音質が劣化するという印象がなくなりました。



CDについては、CD Stream Playerの他、Windows Media Playerでも再生してみましたが、両者の再生パーフォーマンスの違いが、これまで以上に顕著に確認できました。なお、CDトランスポートの音がGPS-777の外部クロック入力によって良くなったことは既に報告していますが、USB-201経由のPlextorによるCD再生を聴いてしまうとPCオーディオの優位性は揺らぎません。



CDとマスター音源が同じアナログをLINNLP-12で再生し、対応するCDからリッピングしたWAVの再生と比べて見ましたが、これまでより最もWAV音源がアナログに近付き、かつ、ややファジーな印象を与えるアナログに対し、GPS-777のクロック入力により音像が明確に立つような印象です。


5.まとめ



端的にまとめるとすれば、GPS-777からの外部クロック入力によりABS-7777の何が不足していたのか、USB-201の何が不足していたのかが分かる結果になりました。



計算上、ナノsecまでとか、ピコsecまでのジッターを感じとることが出来る限界であると言う文献があります。ここをちゃんとすればちゃんとなるという理屈をGPS-777が証明してくれたような気がしています。また、今までのディジタル再生では、音楽ジャンルに拠らない普遍的な要素の解決が不十分であったことを裏付けているように思います。おそらくは、単にGPSの超高精度のアトミッククロックを借りただけということではなく、重要なDA変換のプロセスに至るまでクロックの精度が維持されるような技術が盛り込まれているように感じています。



音源的には、間接音が充満し、音が重層するオーケストラのパーフォーマンスがこれまでにないレベルに達しましたし、また、クラシック向きにずっとやってきたシステムでも音楽ジャンルを拡大できるということも分かりました。このことはアンプやケーブルなどでの個性で調整する対処療法でなく、ジッターの極小化と言う本質的な治療効果がそうさせるのではないかと考えて良いのではないかと思います。



GPS-777Musical PositionHigh Fidelity Positionを切り替えるSWについては、USB-201Musical PositionHigh Fidelity Positionの二つの切り替えと組み合わせて4通りあり、音楽ジャンルや好みによって選択すると言う楽しみ方もでてきます。



なお、GPSがカー・ナビに使われるのと同様、GPS応用の新しいクロックジェネレーターはジャンルを超えて聴きたい音楽に導いてくれるミュージック・ナビだ!と言えるのではないでしょうか。


つづく ~