酒仙坊さんの評価実験シリーズ その1 インフラノイズのデジタルケーブル
音律の再生能力による再生装置の評価実験(1)
「ケーブルによる音律の識別」
1.目的
株式会社インフラノイズは、「純正律で演奏された録音を用いて聞き比べた時に演奏の内容や音質の好みの違いなどの違いで判断が左右されることなくケーブルの再生能力の優秀性が確認できる」と主張しています。
この記述の検証を行うために、ケーブルを替えて、音律を替えた音階や和音、および音律を替えた音楽による聴き比べを行うことにしました。
2.実験方法
2-1)使用ケーブル
下記のようにケーブルを替えて音律の違う音階、和音、および同一曲の演奏を比較します。ケーブルの組み合わせの詳細は実験計画を参照のこと。
①ルートA インフラノイズ社のケーブル使用
②ルートB オーディオ誌上で定評のある有名メーカーのケーブル使用
③ルートC 一部のJazzオーディオフアンに支持されているケーブル使用
2-1)使用音源
音律の違う音階、和音、および同一曲の演奏を比較します。以下のCDをWindows Media PlayerでリッピングしてWMAファイルとし、Lilithで44.1KHz,16bitのWAVファイルに変換したのち、r8brainで96KHz,24bitのWAVファイルに変換して、東芝のSSDネットブックPCのSSDからVUPlayerで再生しました。
① 岩宮眞一郎著「CDでわかる音楽の科学」(ナツメ社)付録CD
ピタゴラス音律、純正律、ミーントーン、ウエルテンペラメントおよび平均律による音階上行下行と和音T(ドミソ)和音S(ファラド)和音D(ソシレ)
② CD「ピュアスケールミュージックによる理想的ストレス解消」
(純正律音楽研究所)
純正律、および平均律によるモーツアルト:ピアノソナタK.331第一楽
章純正律、および平均律によるシューベルト:子守歌
3.評価結果
ルートAのインフラノイズ社のケーブルを使用した場合、音源①ではピタゴラス音律、純正律、および平均律の違いは明確に分かりますが、ミーントーンは純正律と、ウエルテンペラメントはピタゴラス音律との区別がつきにくいです。
純正律とミーントーンは和音の溶け合いが良いのですが、ピタゴラス音律、ウエルテンペラメントおよび平均律ではうなりのようなものが聴こえます。同じくインフラノイズ社のケーブルを使用した場合、音源②では純正律と平均律の違いは明確に聴き分けられ、純正律の方の重音の響きが心地よく聴こえます。
ルートBのオーディオ誌上で定評のある有名メーカーのケーブル使用した場合、音源①ではピタゴラス音律と純正律は何とか聴き分けられますが、ピタゴラス音律と平均律とは聴き分けにくくなります。同じくルートBのオーディオ誌上で定評のあるケーブル使用した場合、音源②では純正律と平均律の違いは何とか聴き分けられますが、純正律が平均律に近寄ったように聴こえます。
ルートCの一部のJazzオーディオフアンに支持されているケーブル使用した場合、音源①では、音が単調になり、三つのケーブルの中で最も音律の違いが聴き分けにくくなります。同じくルートCの一部のJazzオーディオフアンに支持されているケーブル使用した場合、音源②では純正律と平均律の違いは非常に聴き分けにくく、音楽が単調に聴こえます。そしてルートAでは和音の響きが綺麗であった純正律の良さが損なわれてしまいます。
4.まとめ
ルートAのインフラノイズ社のケーブルを使用した場合、最も音律の違いが聴き分けやすく、ハーモニーの善し悪しが判別し易いという結果が得られました。また、このケーブルでは全般的に音が澄んでいて和音の響きが心地よく聴けました。
以上