合格して開業を目指す方々へ | 行政書士事務所アプリコットの日誌

合格して開業を目指す方々へ

昨日、平成26年度の行政書士試験合格発表がありました。

今日の記事は、既に試験に合格して、開業を志す方々向けです。

行政書士業界というのは、ほかの士業と比べて非常に特殊です。例えば、弁護士、司法書士、税理士などは、登録後、先輩の事務所で勤務して、数年経験を積んだのち、独立開業をするのが普通です。

社労士は合格後、2年間の実務経験を証明することができなければ、社労士として登録ができません。実務経験がない方は、独自に事務指定講習というものを受講し、その後に登録する事になります。

しかし、行政書士は、そのような制限がありませんし、合格後、どこかの事務所で勤めるといった慣習もありません。ですので、極端な話、合格証書だけ手元にあれば、すぐに登録し、業務を始めることが可能です(実際には、登録申請から完了までは2か月ほどの時間がかかりますが)。

実務経験なく即独立するのは大変なリスクです。現に最近の弁護士業界は就職先が見つからないがために、即独立するケースが多くなっており、業界全体が荒れ始めている・・・と懇意にしている弁護士が仰っておりました。

即独立が多い行政書士業界では、弁護士以上の荒れ模様と言ってもよいかもしれません。経験不足からくる不始末を自分の責任で処理できればまだ良いですが、大切なお客様に迷惑がかかってしまったら目も当てられません。幸い、私はそのような事態は起こしませんでしたが、今、振り返ってみると、単に運が良かっただけとも思います。

このブログで何度か触れていますが、新人の行政書士の方々は、まずは勤務できる事務所を探してみてください。「行政書士事務所は求人がない」というのは昔の話。現在では大手の行政書士法人が増えてきていることもあり、補助者の募集を常時していることも珍しくありません。

何より「人に教わることができる」というのは、未経験者の特権です。私のような年代になると、「こんなこと当然知っている」という目で見られることが多いので、聞いても詳しく教えてくれません(笑)。私も色々と偉そうに言っている割には、自分の専門外のことは、チンプンカンプンです(例えば、運輸関係、風営、成年後見などは全くわかりません)。そして、自分の専門分野ができてしまうと、興味はあっても他の分野の仕事はなかなか経験できないものです。

ですから、新人の時期にいろんな体験をして、見聞を広めた方が良いと思います。その色々な体験をするために、初めは勤務行政書士を目指したほうが良いと思います。「どのように仕事を取るか」よりも、「どのような仕事をしたら、お客様に喜ばれるか」を学んだほうが、行政書士としてはるかに意義深いからです。

東京都内では「行政書士はコンビニの数より多い」と言われていますが、個人的には「実際に稼働している行政書士はコンビニよりはるかに少ない」と感じています。「星の数ほど行政書士は存在する」とも言われますが、星として輝いている行政書士は非常に少なく、多くは星にもなり切れていません。

まずは、「仕事のできる行政書士」を目指してください。それさえできれば、実はこの業界は、営業の特別なスキルなど必要がないのだということに、いずれ気づくと思います。