①この気持ちに名前をつけるとすれば。 | 〜ぷらすなちゅらる〜

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何かを失うと言う事で、得ていくものもあるということを私は知ってる。。はずだったのですが、いまちょっと心が折れてます。

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私の夫である洋くんは6年前に死んだ。


34歳、付き合うようになって12年、結婚したのは付き合いだして半年の時で、あと10日で11回目の結婚記念日がくる、そんな時に彼は突然いなくなった。


それは本当に”突然”というにふさわしい、昨日までは洋くんと当たり前に話をして、普通の会話をしていた。


まだ子どもたちが8歳と10歳の頃だった。


これは私が書いていく事になる。だけど、ここには洋くんを含めいろんな人が出てきて、その気持ちを表現してもらうことになると思う。


ひとりひとりの気持ちを全部私が知って、把握していたとは思っていない。


ただ、私が見て感じて過ごしたことを書いていくので、違うことを話すかもしれない。私は思い込みが激しく、必要以上に人の気持ちを感じやすいタイプなので正確に人の気持ちを書けるかどうかの自信は私にもない。



もしかしたら私が感じているだけで、周りの人が違うことを考えていたかもしれないことを了承して読みすすめることを読む人には約束して欲しい。



ひょっとして読んでいて辛かったり、悲しくなったりする人がいれば遠慮なくこのページを閉じてほかのことを考えてください。




きっと、いちばん気持ちを話したいまま居なくなったのは洋くん自身に違いないのだから、見て感じてきたことを私が一緒に書いて記録していく。



ただひとつ鮮やかに覚えているのは洋君と直せつ交わした言葉。


”今日、もう松葉杖が取れたし、時間がかかるとしても自分でなんでも出来る。だから朝晩、毎日世話をしに無理して病院にこなくてもいいよ。どうせ、来週にはうちに帰るから、あんたも明日からは時々来ればいい。子どもたちが待っているから早く家に帰ってあげて。”


まだ全然普通に歩けるわけでもないのに、なぜか洋くんはこういった。


退院間近だった。その嬉しさからくる言葉だったと思う。


”な~に言ってんだか” と内心思いながら、なぜかそれを言葉にするのを私はやめた。そして、返した言葉というと


”ただ世話するために朝晩来てたわけじゃないよ。明日もいつもどおりくるよ迷惑だとか思ったこともないし、私が来たいから来てんだよ。”


だった。



私たち夫婦はそんなにベタベタするような夫婦ではなかった。どちらかというと、毒吐きまくっているような夫婦だった。こうゆうことを言葉にしたのはおそらく何年ぶりだろうというような感じだった。




すると洋くんは一瞬したを向いて、それから顔を上げると


”俺、あんたを選んで良かったな・・・” と、言った。






今思えば、その時、なにかいつもと違うような感じがして胸騒ぎがしていた。


でも、きっと奴も弱ってるんだなって思いながら車のハンドルを握って家まで急いだ。空には星が輝いていた、しずかで綺麗な夜だった。



②前夜。


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