アルジャジーラの報道。 | 〜ぷらすなちゅらる〜

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事件直後の記事はここから。


宮元さま


先ほどは、日中のお忙しいところ失礼いたしました。
しばらくご無沙汰しておりましたが、お変わりありませんか?
その後、番組は編集され、先週から放送を開始したとレポーターから
連絡がありましたので、ご連絡させていただきます。


インタビューは日本語の音声の上に英語の吹き替えがあります。
日本語の部分は、英語の吹き替えの尺に合わせて編集されているため、
全てお聞きいただくことはできず、途中で切られていますが、英語では
全文が正確に訳されています。

以下が番組の要点になりますが、何かご不明なことがあれば
ご遠慮なくご連絡ください。


<番組の流れ>
1. 冒頭
江戸時代では、ヤクザは「強気を挫き、弱気を助ける」という任侠の
精神を重んじ、地域の治安を守っていたと伝えられている。

そのヤクザとしての志や決意は刺青という形として表現された。日本では
江戸時代の鳶職や火消しを始め、強さと勇気の象徴として男たちは刺青を
まとっていた。

ヤクザは任侠なのか、あるいは脅威なのか。江戸時代から四世紀が経ち、
ヤクザはどのような変貌を遂げたのか。

九州に本拠地を置く工藤會の幹事長は、外国人の犯罪を排除してきたことを
自負しているが、ヤクザによる恐喝、麻薬の売買、銃撃事件など、様々な問題が発生している
ことを受け、日本では暴力団排除条例などを施行し、ヤクザの資金源を絶ち、組織を
壊滅させようとしている。ヤクザは、日本から排除されるのか。

(以下、本編開始)

2. 暴力団排除の現状、市民の取組みについて (2分11秒~)
歌舞伎町の商店街組合は、町内のパトロールを定期的に行っている。
排除条例によって、歌舞伎町では今までと比べてヤクザを表で見かけることは
少なくなったが、実際にいなくなったわけではないと言う。資金源を
確保するためにも、フロント企業などで形を変えてヤクザは存在し続けている。
市民の義務としてできることには限りがあるため、法的な整備や警察による
取組みがこれからも必要となると話している。

3. 警察とヤクザの関係がどのように変化したか (4分30秒~)
昔は、ヤクザと警察の間に「この人であれば話をしても構わない」
といったような人間関係や信頼が築かれていた。一線を越えることはないが、
食事をしたり、事務所を訪ねたり、信頼関係をもとに情報を収集する
ことができた。また、双方が事件を解決する上で交渉や取引も昔は
行われることがあったが、今は排除条例などが施行されたことで
こうした関係はなくなった。

4. 近年の暴力団情勢や事件/排除条例の施行と福岡県の現状/工藤會の見解について (7分16秒~)
福岡県では暴力団によると見られている発砲事件や民間人を巻き込んだ
事件が多発している。昨年では18件、今年に入り、一般企業への
襲撃や、暴力団犯罪捜査に携わっていた元警部が銃撃されている。
福岡県警の組織犯罪対策課は、「基本的に暴力団は法規制が
強化されればそれを免れようとする。それに対して、我々も抵抗して
最終的には壊滅しなくてはいけない」と暴力団排除に決意を固めている。

銃撃事件などが多発している背景には、ヤクザに対する利益供与を
拒否し、今までのヤクザとの関係を断ち切ろうとする民間人/民間企業
に対する報復が指摘されている。今年一月には、福岡県で建設会社の社長が
銃撃されている。こうした事件に対して、警察はこうした全ての事件に
関して工藤會の関わりを追求している。

建設会社などがインタビューを拒む中、工藤會の幹部が取材に応じた。
(**ご参考まで、以下インタビューを訳させていただきます。)

質問 1:厳しい条例が全国的に施行されている中、どのように組織を運営しているのか
「伝統的に応援をしてくれる企業もまだある。生業も協力して仕事をさせて
もらったり、そういう人たちも中にはいる。それをあえて公表したら警察が
介入してくるから公表はしないが、状況はいたちごっこに似ている。生業であっても
隠れてこそこそしていかなくてはいけない。一人一人がわずかな生業をもって互助的な組織
として運営しているのが本当のところだ。」

質問 2 : 今後、こうした厳しい状況を打開するために暴力的な手段を使う可能性はあるか
「それは難しい質問だが、私個人は暴力的なことは考えていないし、多くの人は考えていない。
工藤會は、小さいながらも1000人を抱えている。その中に間違った考えの
人もいるかも分からないし、一人一人が何を考えているのか
把握することはできないが、正々堂々と戦っていくということが我々の基本姿勢。
去年、北九州で18件の発砲事件があったが、それは一つも検挙されていない。
しかし、警察がマスコミを使った発表で、すべてが工藤會の仕業ということになった。
一般市民に、工藤會は凶悪な犯罪を起こす団体というイメージを与え、何かあれば工藤會、
工藤會が悪い。そういう風潮にある。」

質問 3 : 最近の暴力的な事件に工藤會の組員は関与していないのか
「今からもこれから先も、そういったことに工藤會が組織的に関与していくことはない。
これだけの人がいれば確かに一人か二人ははみ出し者も出てくる。そういうことがないように、
毎月会議をして反省をし、犯罪を犯すな、一般市民に迷惑をかけるなとか、
薬物、麻薬は特に厳しく指導している。」

質問 4 : そうした組織の方針を個々の組員に守らせるためにどのような取組みを行っているのか
「暴力団組織と、犯罪者集団のように言われるが、どんな組織も落ちこぼれがいて、
犯罪を置かす者が出てくる。警察組織でも同様。政治家であっても、一流企業の社員で
あっても犯罪者はでてくる。これは、だからよしという訳ではないが、いた仕方ない部分が
あるとは考えている。」

質問 5 : ヤクザを取り巻く環境が厳しくなる中、今後、どのように組織を維持していくのか
「その時代、その境遇に対応して生きてきています。"暴力団"は警察のつくった用語で、
我々にはそういう認識はない。任侠道、ヤクザである。それを誇りに思っている。
ただ、一般市民の方がいろいろな不利益を被っているのは事実だ。我々と食事を
共にしたり、幼なじみであっても、頻繁に食事をしていたことで警察に
よって密接交際者とされ、名前を公表されたり、銀行取引が解約になることがある。」
 
暴力団への規制が強化される中、工藤會は、警察による不当な取り締まりが
行われていることを指摘し、実際に法廷で訴えている。福岡県警が権力を乱用し、
ヤクザを取締ろうとしている一例として、ネットには県警と工藤會組員の
やりとりの音声が公開されている。

5. 専門家へのインタビュー
昨年から今日に至るまでの事件で、21件のうち警察が解決したのは1件で、
厳しい規制が必ずしも検挙につながっていないのが現状である。
組織の財政面に関しては、暴力団は下に薄く、上に厚い構造となっている。
下層部が経済的に疲弊することで、上層部に影響を与えており、暴力団は
末端から崩れつつあると溝口敦氏は見ている。生き残るために必死になった結果、
福岡県などでは凶悪な事件が発生し、一般市民に刃を向ける風潮が生まれている。

こうした状況でありながら、暴力団は法律上「違法」とされたことがない。
溝口氏は、暴力団を存続させることが警察の利益確保と密接に関係していることが
原因の一つとして指摘している。毎年1万人が退職する警察官の天下り先を確保する
ためにも、暴力団という脅威が必要とされ、警察によって利用されていると指摘している。

実際、暴力団排除を行う上で、第一線に立つ責任と義務を負わされているのは
一般市民である。一般市民は、暴力団を否定する立場に置かれ、怪我をしても
自己責任となる。本来、治安維持が主要な役割である警察は、後方に退いている
のが現状と溝口氏は指摘している。

6. 一般市民への影響
北九州市では、排除条例を施行したことで、一般市民が暴力団との関係を
絶ち、店への入店などを断ることになったが、地元では来店者を
区別をするのは非常に難しいという声が寄せられている。また、
地元の飲食店では、今まで来客者がトラブルを起こしたことはなく、
それぞれの個々人が何かしら暴力団とのしがらみや問題を抱えていない限り、
暴力団が一般人に危害を加えることはないと語っている。

しかし、佐賀県では例外もある。
暴力団組員と間違えられて入院していた夫を射殺された遺族の
宮元篤紀さんと二人の子供たちは、暴力団同士の抗争が原因で愛する家族を
突然失う衝撃を受けた。事件が起こる前は、暴力団が関与した事件について
報道を目にしても特に意識することはなかったが、事件の被害者となり、
実際に存在する危険に気付くことになった。誠道会と道仁会の抗争が原因で
起きた発砲事件で、夫の洋さんは2発の銃弾に倒れた。


夫が不在となったっことで子供たちが苦労しないように、母親、そして父親
として子供たちを育ててきた。子供たちには、父親が何も悪いことをして
いないこと、無くなった命は悲しいけれど、生きている命が大事であることを
伝えてきた。そして少しでも早く普通の生活ができるように努めてきた一家だが、
それでもお祭りなどで他の家族のお父さんを見かけると、自然と子供たちは目で
追っていて、それを見ることが何よりも辛かったという。宮元篤紀さんは、
こうしたご自身の経験を踏まえて、法整備だけでなく、暴力団という組織が当たり
前のように身近に存在していること、そして、それに国民のほとんどが無意識で
いることに気付いて欲しいと訴えている。



7. ヤクザを受け入れる社会の受け皿について
元住吉会の組員だった進藤牧師は、ヤクザをやめたいと思い
頼ってくる人々を受け入れてきたが、ヤクザの習慣を
変えることを始め、一般社会に戻って生活していくことが
いかに困難か証言している。教会に通う元組員らは、いかに
更生しても過去の痕跡は残り、社会に受け入れてもらうことは
難しいと語る。

暴力団との交際を禁止する排除条例について、牧師は
これからも今まで知り合いだった組員には声をかけ続けるように
すると言う。ヤクザをやめようと思ったときに、その人たちが教会を
頼りにすることを願っていると言う。

また、作家であり父親がヤクザであった宮崎学氏は、暴力団
排除が徹底されることは、組員だけでなくその家族や周辺にいる
人々を含めたおよそ70万人に影響を及ぼし、いろいろな
権利を取り上げることになる、と人権の問題を指摘している。

暴力団排除の取組み、そして排除条例は、このように様々な立場におかれた人々に
影響を及ぼしている。そして、有力者も例外ではないはずである。

溝口氏は、どの時代にも暴力団を便利な存在として利用する
政界や財界などをはじめとした権力者たちがいることを問題点として指摘している。

このように社会のあらゆる階層に影響を及ぼしてきたヤクザだが、警察が
民間人に排除の義務と責任の一端を担わせることで、ヤクザに対する包囲網は
強化されている。これからは、今までになく厳しい時代に立ち向かうことになる。

(終)


以上になります。
海外の視聴者に向けての番組なので、ヤクザが「グレー集団」となって
進化していくことなど、さらに詳しく問題を分析するところには至らなかった
のですが、アルジャジーラは今後も日本の暴力団情勢について注視していくことと
思います。今後、取材を行う上でも大変参考になりますので、もしよろしければ
篤紀さんがどのようなことをお感じになったか、お時間があるときで結構ですので
お聞かせくださいますと幸いです。


篤紀さんの思いが、世界の視聴者に届くことを願っています。