みなさんはご自分の声に、どのくらい意識的でしょう?
今日紹介する本 「得する声 損する声」は、私たちが普段無意識に使っている声をトレーニングし、コミュニケーションの質を向上させるもの。
しかし、ただのボイス・トレーニング本ではありません。
著者である安藤尚範 さんは、ボイストレーナーにしてセラピスト、そして私がNLPを学んだときにリソースパーソンを務めて下さった方でもあります。
この本も、そんな安藤さんらしく「声とコミュニケーションの関係」が心理学の面からもわかりやすく書かれた、他とは一味違う(でも深い)内容の本になっています。
安藤さんは言います。
声は、あなたの思いを相手に伝えるための道具です。
それを最大限に有効活用するためには、まず自分の声を知ること。
ところが、私たちは自分の声を分かっているようで、意外と知りません。
これは、自分の声を録音したものを聞いたときの違和感が物語っていますよね。
この本によると、声には2つの種類がある。
1つは、周りの人が聞いているあなたの声(外音:そとおと)。
そしてこれとは別に、あなた自身があなたの頭蓋骨を通じて直接
耳に伝えられる音(中音:なかおと)。
つまり、周りの人はあなたの「外音」だけを聴き、あなたには「外音」と「中音」の両方が聞こえている。
これが、自分の声を録音したときに奇妙に聞こえる要因なのだそうです。
だから、自分の声は分かっているようで分かっていない…
そして多くの人は、自分の声について「思い込み」をしている、と安藤さんは言います。 その「思い込み」は小さい頃から培われた「自分のものさし」から来ている。
そんな「思い込み」に対し、安藤さんはこう言います。
声は簡単に変わるし、コントロールできる、と。
そのために、まずやらなければならないことは「声をこう出そう」と意識すること。
何が差を生むのかというと、
「何を意識して続けたか」という点。
うーん、これって人生にも当てはまりますねぇ。
そして、声を出すにも、人それぞれのクセがあります。このクセを直すには、気づきとそれに合った対処法が必要なのです。
本書は、それらをふまえ、効果的に伝えるための6つのコツや7つの即効ボイストレーニングが示されています。
どれも今日から簡単に実行できるものばかり。 そして私たちは、体の動きや表情と「声」の密接な関係に改めて驚くのです。
本書はコミュニケーションについても詳しく言及していますが、その根本にあるのは、「人はわからない」ということ。
相手のことがわかっている、もしくは、相手は自分のことがわかってくれている、というのは私たちの勝手な「思い込み」なのです。 だからこそ、「コミュニケーション」が必要なんだ、と安藤さんは主張します。
声に自信がつくと、知らず知らず行動が変わり、
積極的に声を使うようになる。
すると不思議なことに「プラスの循環」が起こるようになるのです。
ちょっとした工夫で、自分の声は見違えるようになります。
あなたも自分の声を意識することで、プラスの循環を手に入れ、本当のあなたらしさを発揮してみませんか?
この本は、「声」という普段何気なく使っている「道具」を使って、自分に自信を持ち、自分らしく生きるための処方箋でもあります。
そして、著者の安藤さんからあなたへの心からの応援歌でもあるのです。