何か苦しいことや痛みなどがあった場合、私たちはその「原因」を考えますよね。 そしてその「原因」を取り除こうとします。
ところが、ミンデル博士が提唱する「プロセス心理学」は、通常のアプローチとは少し異なります。
「原因を見つけて取り除く」かわりに、「出来事には意味や目的がある」という考え方をとり、自分の中に起こるプロセス(身体的な痛みや無意識下で見る夢など、意識でコントロールできないもの)に寄り添うことで、その意味を探っていくのです。
その意味が明らかになった(腑に落ちた)とき、その「痛み」は去っていきます。
つまり、「夢」や「身体症状」は何らかのメッセージであると考えるのです。
ちなみに、そのメッセージを発する「何か」をミンデル博士は「ドリームボディ」と呼んでいます。
本書はプロセス心理学と量子物理学※、生化学、そして仏教、シャーマニズムなどとの関係性を説きながら、私たちの「沈黙の力」-宇宙とつながった知性-の姿を浮き彫りにしていくとてもエキサイティングな本です。
そしてそれを単なる理論として記述するのではなく、たくさんのエクササイズを通じて体験できるようになっています。 あくまで「臨床実践」に重きを置いたミンデル博士らしい構成ですね。
※量子物理学:、古典力学で説明しきれない電子や原子核などの間の
微視的現象を説明するための物理学の理論
ミンデル博士は本書の中で、今までの医療(痛みに対し、画一的にその原因を探る一次元的なアプローチ)を「単色の医療」と呼んでいます。
そして、それに対する多次元的なアプローチをもつ「レインボー・メディスン(虹の医療)」を提唱しているのです。
それは、最終的にあなたの気を引くかすかな「フラート(flirt):ふと気になる現象や身体感覚」を知覚し、それに焦点を当て続けることで、あなたの中にある「沈黙の力」の意図を探っていく方法。
ちなみに、「沈黙の力」とは、身体の背景にある微細な感覚であり、夢の背後にある推進力のことです。
それは人生にある意味を付与しながら、ある方向に向かって気づかれることなくあなたを動かしていくのです。
そして、その意味は、人生を振り返ったり、あるいはその力と接触したときにのみ明らかになる…
さらに本書は、私たちの意識と量子物理学の関係性についても深く説明します。
量子物理学のデヴィッド・ボーム博士によると、量子波動関数は周囲のすべてのものと絶え間なく相互作用していると言っていますが、「沈黙の力」は、まさにこの量子波動(パイロット波)なのだ、とミンデル博士は言います。
つまり量子レベルでは、すべてのものは互いに誘導し、影響を及ぼしあっている…
うーむ、まさに、シンクロニシティの本質がここにありますね。
私たち人類は、宇宙のすべての粒子と同じように、
非局在的なつながりを通して係わり合い、絡み合っている。
そして、あなたは症状が潜在的な恩恵であることを発見する。
あらゆるものがジャンルを超え、真理を語るために集まったような…
そして自分が宇宙の中で生かされているような、
そんな読後感を与えてくれる本です。