「でも、昔からキョーコには格好悪い所ばかり見られてるな、俺。」
「そんなことは…」
「しかも本人に恋愛相談してたなんて、間抜け過ぎる…。」
「エエー!!あれって私の事だったんですか!?」
「……。」
あ、あれ?な、なんか雰囲気が…。
「…自分の事だと微塵も思ってなかったんだ?
社さんから『長年の片思い』って聞いてたのに。
それって、俺の浮気心を疑われてるって事かな?」
「い、いえ。そんなわけでは…。」
「俺はあの頃からキョーコの事を一途に想い続けてきたのに、他の女に想いを寄せてたと思われてたって事は、キョーコにとって俺ってすぐに好きな女を変えられる浮気者だと思ってたって事だよね。」
「い、いえ、だからそんなつもりは…。」
「お仕置きが必要かな?」
えっと思って顔をあげるとそこには…。
イーヤー!!よ、夜の帝王が御光臨されてるー!
「ねぇキョーコ。俺がどれだけキョーコの事を想ってきたのか、身を持ってじっくり教えてあげる。」
そう言うと、キョーコを抱えたまま立ち上がり優雅な足取りで寝室に向かう。
「イーヤーーー!!」
蓮の腕の中でバタバタと暴れ始めると蓮はピタリと止まった。
「イヤ?」
と聞いてきた蓮は、思いの外真剣な表情をしていた。
「や…。」
「や?」
蓮の表情が曇る。
キョーコは真っ赤になりながら先を続けた。
「優しくしてください…。」
言った途端、蓮の表情が弛んだ。
「努力はします。」
「ど、『努力は』って期待出来ないじゃないですか!」
「だってキョーコが煽るから。」
「煽ってません!」
「無意識だからたち悪いよね。」
「って、勝手に人を悪者にしないでください!」
真っ赤になって言い返すキョーコを抱えたままニコニコと言葉を返す蓮。
言い合いながらも二人はそのまま寝室に消えて行った。