[SB2次]真実を君に 18 | 三日茶坊主

三日茶坊主

“スキップ・ビート”の二次創作メインのブログです。
原作者・出版社とは一切関係ない私的なブログです。


「俺の両親は二人ともハリウッドでも結構有名な芸能人でね、俺は実力派俳優と呼ばれる父に憧れて同じ仕事を志したんだ。
でも、どんな役をしても父と比較され、自分の演技を認めて貰おうともがけばもがくほど空回りばかりして、だんだん自分の演技も分からなくなっていった。
俺は親の名声に押しつぶされてしまったんだ。」

『何をやっても父を真似してると言われる様になったら困惑して…、正直…自分で自分がよくわからなくなってきた…。』

同じような話を緒方とした時の事を思い出した。
そしてそうだ、彼は蓮の一言で救われたと言っていた。

『---なのに彼は『違う』って言ってくれたんだ。僕と父は違う人間なんだって…。』

蓮は緒方と同じだったんだ。だから、蓮は緒方の気持ちを理解して救ってあげられたんだ。

「それで俺は荒れてね、喧嘩を繰り返したりしてた。
そんな俺を気にかけてくれた人がいたん
だけどね、その人は俺のせいで事故にあって亡くなってしまったんだ。」

そう言って辛そうに俯く表情は、坊の時にも見たことがあった。

『俺はここで大切な存在は作れない…。---…どこに居ても…。』

あれは、この事でずっと自分を責めていたからだったんだ…。

「更に俺は荒れて、もういっそ自ら消してしまおうかって思ってた頃に、社長が誰も俺を知らないところで0からやり直すチャンスをくれたんだ。
そのチャンスにしがみついて日本に連れてきて貰って、“敦賀蓮”として生き始めたんだ。それが15歳の時だったよ。」

そうやって、そんな昔からずっと一人で頑張ってきたんだ…。

「それからがむしゃらにやってきて、今、ようやく役者として母国にリベンジしに行くんだ。
父親とか関係無く、あっちでは無名の俳優“敦賀蓮”として。
だから、撮影が終わったらこっちに戻ってくるよ。」

「…そうだったんですね。
でも、敦賀さん程の人が名声に潰されるだなんて、ご両親はそんなに凄い方なんですか?」

そう聞くと、少し黙り込んでから、反応を確かめるように私を覗き込んで、おもむろに口を開いた。

「……。
俺の本名はね、“久遠・ヒズリ”というんだ。
父親は、君も知っている“クー・ヒズリ”だよ。」