[SB2次]真実を君に 3 | 三日茶坊主

三日茶坊主

“スキップ・ビート”の二次創作メインのブログです。
原作者・出版社とは一切関係ない私的なブログです。


む~か~つ~く~~!!
見てなさいよ、ショータロー!
メイクの魔法で役になりきりさえすれば、私だって小悪魔になって誘惑くらい出来るんだから!
ぅお~~の~~れ~~~!!

ドス黒いオーラを背負い、般若のような形相でガツガツと歩いていく。

そんなブラック全開だったキョーコだが、ふとある言葉を思い出して足を止めた。

『一応、仮にもテレビに顔が出る様になった“芸能人”がそんな怖い形相で歩くもんじゃないよ。』

ハッ、いけない、いけない。
そうよ、仮にも芸能人なんだから怒りに駆られたまま歩いてちゃダメよね。
相手が誰であろうとも、これは仕事なんだから冷静に役作りしなくちゃ。

敦賀さんに追いつくためにも、あんな奴相手に躓いてられないわ!

…こんなんじゃ追いつくなんてまだまだよね…。
もっと頑張らなきゃ。

はぁっと息を吐くと、気持ちを切り替えて歩き始めた。
そうして次の現場であるテレビ局に着き、ホールを歩いていたら後ろから声をかけられた。

「キョーコちゃーん、久しぶりー!」
「ミューズ!お久しぶりですー。」

久しぶりに会ったジェリーウッズと近況報告などをしている時に、ふと思いついて聞いてみた。

「あの、“小悪魔”ってどういうメイクになりますか?」
「あら、今度の役は小悪魔なの?」
「はい、CMなんですけど。」
「そうねえ…。」

そうして、小悪魔メイクの特徴をレクチャーして貰っていると、あるニュースが耳に飛び込んできた。

『…続いて芸能ニュースです。
あの芸能界いい男殿堂入りの俳優、敦賀蓮さんがなんとハリウッドに進出するというニュースが入ってきました。』

聞こえてきた音声につられて、二人そろってホールに設置された大型テレビモニターに目を向けると、そこには“敦賀蓮ハリウッド進出”の文字が踊っていた。

すごい!さすが敦賀さん!
まだまだ追う背中は遠いなぁ…。

そんなことを考えていると、隣からポツリと呟きが聞こえた。

「蓮ちゃん、ようやく帰れるのね…。」
「えっ?」

目を見張って凝視しているキョーコに気付いたジェリーウッズは、一瞬しまったという表情をした。

「キョーコちゃん、今のは他言無用よ!いいわね?」

そう言って、逃げるように去って行った。

茫然と見送っていたキョーコであったが、口止めされたことでそれが真実なのだと気付いてしまった。