「視聴者は“京子”だから“いじめ役”だと思って見るわけだろう。つまり、いきなり主人公達にシンクロして観てくれるわけだ。
で、そうやって観ていたら、実は“傷つけている側”と“傷つけられてる側”が逆だったってどんでん返しをくらうんだよ。
視聴者の既成概念をひっくり返すっていうサプライズをやりたくてね、それで京子君にオファーしたんだよ。」
楽しそうに説明していた監督は、一転真面目な顔になって続けた。
「不破君のプロモを観させて貰って、友人を大切にする演技が出来る事は分かっている。
でも、厳しい事言うけど、プラスのイメージをマイナスに転換するのは比較的簡単だ。しかし、マイナスをプラスに転換するのはそう簡単にはいかない。プロモと同じ演技をやっていたのでは駄目なんだ。
今回のドラマでは、プラスに転換するだけのインパクトがある、視聴者を納得させられるだけの迫真の演技が必要になってくる。
それが出来なければ、この試みは成り立たないし、ドラマも転けるだろう。
つまり、このドラマの成否はヨーコに掛かっていると言っても過言ではないんだ。」
監督の話を聞きながら、ワクワクしている自分を感じていた。
確かに難しい役なのは分かる。でも…
この役、やってみたい!