動き始めたばかりの町は
まだ人の動きが緩慢で、空気まで動きをとめている
晴れ渡った青空に厚い白雲がぷかっと浮かび
のどかな日常と夏の始まりの予感
緑の芝生の小さな公園では
小鳥が4羽、ペアとなって飛ぶでもなく散歩を続けている
素敵な相手を見つけ、まさに愛を捧げている真っ最中
距離を縮めようと歩み寄っては遠ざかり
相手のしぐさの真似をしては機嫌を取る
小さな公園は小鳥にとって広大な緑の庭であり
恋の季節のひのき舞台
恋の顛末を気にかけながら人間の日常に心を向けた途端
いつしか小鳥は消え
自然の中の小鳥の時間の流れはどこかへ去っていた