フィギュアスケート世界選手権5日目 | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

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よくよく考えると、私はオリンピックとかワールドカップとか世界選手権というものにこれまで一度も行ったことがなかった。だから、その独特の雰囲気というものも知らなかったことになる。


今回たまたま大好きなフィギュアスケートの世界選手権がフランスのニースで行われたため、運よくそれにどっぷりつかることができた。


しかし、どうやらどっぷりつかり過ぎたようだ。(苦笑)


一昨日(3月29日)女子シングルのショートプログラムを見て一気に緊張が高まり、一昨夜はほとんだ寝られなくなってしまったのだ。


(私が滑るわけでものないのに、ドキドキが止まらない。)


昨日朝食に行くと、ホテルのマダムもスタッフもみんな興奮している。原因は前夜アイス・ダンスでフランスのナタリー・ペシャラ選手&ファビアン・ブルザ選手の組が銅メダルをとったためだ。


「鼻を骨折したから、もう出られないとあきらめていたのよ。奇跡だわ!」とマダム。私が昨夜疲れていて、アイス・ダンスのファイナルを観に行けなかったことは秘密にした。(笑)


フランスの新聞各紙もこの銅メダルのことを絶賛していた。




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私が朝食を食べていると、東洋系の女性が食堂に入ってきた。お互いフランス語で挨拶。そのうちその方が日本人だということが分かった。Tさんとおっしゃるその女性はウィーン在住の方で、フィギュアスケートの世界選手権を観るためわざわざニースにいらしたとか。


「昨日ご覧になったんですか!? あっこちゃんどうでしたか?」とTさん。


あっこちゃんとは、フィギュアスケートファンの方が鈴木明子選手を呼ぶ時に使う愛称。Tさんは鈴木選手のファンのようだ。(後からわかったことだが、高橋大輔選手のことも熱烈に応援しているとか。)


「実は得意の3回転ルッツでミスがあって……。現在5位です」と私。Tさんの顔が曇るのがわかった。


そして、この日の午前中で研修がすべて終わった私は、大急ぎでホテル近くの花屋に飛んで行った。男子シングルのショートプログラムがあるので、高橋大輔選手の演技の後リンクに放り込む花束を作るためだ。オーソドックスに真紅のバラを10本選んだ。




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「スケートリンクに投げるから、完全にセロファンで包んで中身が出ないようにしてね」と私。
「大丈夫よ。スケート選手への花ならまかせといて。慣れたもんよ」と花屋のマダム。そしてここでもまたナタリー・ペシャラの話。フランス人の興奮がひしひしと伝わる。


マダムは遠くまで飛ぶようにと、大輪のバラを小さくまとめてくれた。




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一度ホテルに戻ってマダムやスタッフに花束を見せると、「きれい! この花束を受け取る日本人選手の幸運を祈るわ」と言われる。居合わせたスタッフ全員に送り出されて、メインリンクに向かった。


すでにショートプログラムは始まっていた。しかし大勢の日本人の方がなぜかロビーにいた。


「落ち着かなくて、他の選手の演技なんて観られない」という声も聞こえてきた。どうやら、お目当ての選手だけ観にいらしている方もいるようだ。


いつもの席に座る。


私自身の観戦メモはいろいろあるが、長くなるので日本人選手他数名のみを以下に。


16番。フランスのBrian JOUBERT選手。床を踏み鳴らして叫ぶ地元の大声援を受けて登場。上下黒の衣装。上が少しシースルーになっていてキラキラ光っている。コンビネーションの二つ目のジャンプで少しバランスを崩したようだったが、何とか持ちこたえた。キメのポーズもすべてかっこいいし、ステップ――入る前に客席に手拍子を要求――もよかった。83.47で4位。ガッツポーズとウィニングラン付き。(笑)


19番。カナダのPatrick CHAN選手。カナダからの応援団の数も多く、大声援で迎えられた。ベスト付の見慣れた衣装。冒頭の4回転で失敗があった。ステップでもバランスを崩して観客をはっとさせたが、大事には至らなかった。スケーティングは伸びやかでさすがと思ったが、全体としてそれほど良い出来ではないように思えた。終了後本人も頭を抱えていたが、相変わらず点数はよく出て89.41で1位。


21番。チェコのMichal BREZINA選手。日本の太鼓を取り入れたおなじみのプログラム。最初のトリプルアクセルを成功させると、波に乗ったようでとてもいい演技だった。4回転も成功。ステップに観客の手拍子が入った。終わってガッツポーズ。87.67で2位。


22番。高橋大輔選手。フランスの選手に負けないほどの大声援で迎えられた。3月16日がお誕生日だったためか、会場から「ハッピバースデートゥーユー」の大合唱も起こりびっくり。冒頭の4回転トーループは何とか成功したと思ったが、その後につけた3回転のトーループが失敗。軸が曲がっていたようだ。他は安定したよい演技で会場中を魅了した。スタンディングオベーション。85.72で3位。




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花束を投げ込む。


しかし私の「遠投」の実力が足らず(笑)、ちょうど選手がリンクに出入りする通路の内側に落ちてしまった。かわいらしいフラワーガールがそれを拾って、キスクラの高橋選手に届けてくれた。(ほっ。)


会場中の興奮が私にも乗り移ったらしく、最新のデジカメのはずなのに手振れがひどい。写真を撮ったらこんなになってしまった。(苦笑)




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最終グループ前の休憩時間に、会見場出口に選手のサインをもらおうと大勢のファンがいた。たまたまミハル選手が出てきたので、私もいっしょにもらうことに。




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その後、日本のスケート関係者に先導されて、高橋大輔選手がものすごい勢いで通った。サインをもらおうと待っていた地元ファンは、少しがっかりしたようだった。私が「プレゼントだけ受け取ってください」と声をかけると、高橋選手が立ち止まって受け取ってくれた。「すみません。ありがとうございます」と、演技とは打って変ったかわいらしい声でていねいにお礼を言われた。


ちなみに、これがその時渡したささやかなお誕生日プレゼント。中身は秘密。(笑)




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27番。羽生結弦選手。冒頭の4回転トーループと2回転トーループのコンビネーションを見事に決めた。ルッツがシングルジャンプになるミスがあったが、スピンでもステップでも大きな拍手をもらっていた。終わると「熊のぷーさん」のぬいぐるみがたくさん投げ込まれた。(笑)77.07の7位。




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28番。小塚崇彦選手。誰もが予想しなかった突然のジャンプの不調。4回転トーループ、トリプルアクセルを立て続けに失敗。コンビネーションでも二つ目がだめだった。「練習ではあんなに調子がよかったのに」と、残念でならない。71.78で13位。フリーでは何とか調子を取り戻して欲しい。




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詳しい結果はこちらのホームページをご覧ください。
http://www.isuresults.com/results/wc2012/SEG005.HTM


全プログラム終了後通路を歩いていたら、会見場出口で小塚選手が大勢の地元ファンに囲まれてサインをしていた。


(ジャンプの不調で心中穏やかじゃないはずなのに、本当にいい人だ……)


ホテル近くのレストランで夕飯を食べていたら、荒川静香さんのグループが入ってきてびっくり。いくらなんでも食事の時にサインをねだるのは失礼と思い、あきらめた。


食後、再びメインリンクへ。今度はペアのフリーを観るためだ。なにしろ、高橋成美選手&マービン・トラン選手のメダルがかかっているファイナルなので、見逃すわけにはいかない。


昼間の男子シングルショートプログラムと比べ、はるかに多い観客で埋まっていた。しかし日本人はほとんどいない。日本ではアイス・ダンスやペアの人気はまだまだのようだ。


高橋&トラン組は最終滑走だった。アイボリーの衣装が高橋選手にとてもよく似合う。一度ジャンプが大きく乱れたが、それ以外はとても良い出来だった。スピンでもとても大きな拍手をもらっていた。終わって苦笑いのトラン選手。結果を待つ。


124.32で見事銅メダル! 高橋選手の大げさな喜び方――成美ワールド炸裂!(笑)――に、会場中が惜しみない拍手を送った。


なお、1位はAliona SAVCHENKO選手&Robin SZOLKOWY選手で、201.49。2位はTatiana VOLOSOZHAR選手&Maxim TRANKOV選手で、201.38。実に僅差だった。


詳しい結果はこちらのホームページでご覧ください。
http://www.isuresults.com/results/wc2012/CAT007RS.HTM


表彰式はすぐに行われた。日本のペア・スケート史上初の快挙となる銅メダルの授与に胸が熱くなった。




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帰る時、ロビーではにぎやかな音楽の生演奏が行われていた。金メダルに喜ぶドイツ人、銀メダルに喜ぶロシア人、そして地元フランス人に混じって、私もいっしょに国境を越えた歓喜のダンスを踊った。




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(踊ったといっても、少しだけですが。)(笑)


さあ、そして今日はいよいよ、男子シングルと女子シングルのフリー。気合を入れて応援してまいります!;